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「強姦」から見た大東亜戦争史(4)早尾報告書を読む

       
          1、『戦場心理ノ研究』(早尾乕雄著)を読む

1992年から1993年にかけて政府が調査した公式資料の中に精神科医、早尾乕雄氏が記録した『戦場心理ノ研究』という報告書がある。

元々は防衛図書館から提出された慰安婦関係資料として、日本政府が発表し、
アジア女性基金の刊行した著作物である『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』(全5巻、龍溪書舎出版)にも掲載されている。

政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成
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これだけを独立した著作として刊行もされている。


十五年戦争極秘資料集 補巻 32 〔第2冊〕 戦場心理の研究 第2冊
十五年戦争極秘資料集 補巻 32 〔第4冊〕 戦場心理の研究 第4冊

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『戦場心理ノ研究』は、早尾乕雄(1890~1968)が陸軍に提出した報告書である。

軍紀・風紀の乱れきっていた陸軍は、当時金沢医科大学に勤務していた早尾乕雄(精神科)に「戦場犯罪調査の任務」を依頼する。早尾は1937(昭和12)年11月に召集され上海へ。同年12月20日には南京へ入っている。そしてこのころは、南京で日本軍による中国人への虐殺、つまり南京事件が起きている最中である。早尾はその様子を報告書に書き留めている。この時点で揚子江に沈められた死体は「凡二万人位」(41頁)と書いている。


 「戦場心理ノ研究」には、前線・第二線・兵站部での将兵の行動や心理状態を精神科の視点から明瞭に書いている。依頼内容が「戦場犯罪調査の任務」であったため、将兵が起こした犯罪に関することがその大部分である。

また軍医として上海兵站病院に勤務していたときに診察した患者(将兵)の記録もこの報告書には書かれている。
さらに「南京、上海、杭州等代表的ノ都市ニ於ケル将兵ノ状態ニ就テ述ベテ見様ト思フ。」(43頁)として都市の兵站部での将兵の腐敗した様子を克明に書いている。


上海ではいかなる事が起こったか?





           2、日本軍により犯罪都市と化した上海

「殊ニ上海ハ日本居留民ノミナラズ各国租界ガ隣シテル中ニテノ日本将兵ノ不軍規行為ハ尤モ戒ムベキコトデアル。・・・・・(中略)・・・・上海ハ古来犯罪都市デアル。戦禍ノ後ニ租界カラハ悪分子ハ去ツテ新タニ真面目ナル租界ノ成立ヲ望ンデ居ツタ時ニ日本将兵ニヨツテ日本租界ノ空気ハ一朝ニシテ悪ヘト堕落シテ了ツタ。日本居留民ハ日本将兵ノ粗暴ヲ怒リ恰モ猛獣ノ如クニ怖レタ。彼等ノ味方トナリ彼等ノ保護ニアタル憲兵サヘモ彼等ニ向ツテ最大限ノ弾圧ノ言葉ヲ投ゲタ程デアル。即チ上海ハ兵ニヨリ犯罪都市化セラレタト考ヘテモ過言デハナイ。」(44頁)


つまり、「上海は日本兵により犯罪都市化した」と言うのである。


そこで具体的に

「飲酒上の傷害事件」や「掠奪」

「掠奪行為ハ其数枚挙ニ暇ガナイガ検挙セラレタル数ニ於テハ割合ニ少イ。是ハ特ニ甚シキ者ヲノミ検査シタ結果ト思フ。物品、金銀、宝石、貨幣等ガアル。支那若クハ日本人家ニ入リテ掠奪セルガ通例デアルガ最モ悪ムベキ行為ハ支那将校ノ戦死体ヨリ掠奪シタコトデアル。金腕輪、時計、指輪、紙幣等デアル。支那人家ニ於テモ指輪、時計、貨幣ヲ奪ヒ或ハ首飾、毛皮、被服等ヲ掠メテ居ル。毛皮、被服ニ至ツテハ戦傷病兵ニテ持タヌ者ハナイト言フテモ宜シイ。故ニ一般ニ何カシラヲ持ツテ居ラヌ将兵ハ無イケレ共高価ノ品物ニナルト自ラ是ヲ売リタクナリ支那貨幣紙幣ハ日本金ニ換ヘタクナル。其ノ交換ニ際シ或ハ金使ノ荒イコト、身分不相応ノ物品(就中写真機)ヲ所持シテル事等カラ足ガツイテ拘引ヲセラレ其ノ検査ニヨリ能ク部隊ノ裏面ヲ窺フコトガ出来タ。一般ニ上海迄来テ交換シタリ豪遊シタリセル者ハ比較的目ニツカヌカラ検挙サレタ例ガ少イ。地方ニ於テハ殆ンド大口ノハ発覚シタ様ニ思ハレル。強奪モ勿論アツタ。普通ハ邦人若クハ支那人ノ所持品デ時計、指輪等デアルガ金銭、商品、被服等モアツタ。余ガ検ベタ例ノ中ニ僅カニ茶ヲ無償ニテ持チ行カントシテ抵抗セシトテ銃殺シタ兵ガアツタ。強奪ノ場合ハ多クハ訴エラルヽニヨリ僅少ノモノデモ検挙セラル場合ガ多イ。」(46-47頁)

「詐欺・横領」

「詐欺、横領ハ都市ニテ行ハレタ。即チ商人ガ兵ニヨリテ煙草、ビール等ヲ酒保ヨリ安価ニ買ヒ貰ハントスルコトニ旨ク渡リヲツケテ金銭ヲ受領シ其ノマヽ姿ヲアラハサヌ方法デアル。或ハ某所ヨリ某品ヲ窃取シテ是ヲ買ヒ求メシ如クニ伝票ヲ切リ経理官ヨリ金銭ヲ受領シテ其ノマヽ酒色ニ消費シタ例モアル。如此例ハ公ニナツタノハ勿論数ガ少イ。」(47頁)

 「強姦」「路上での女性に対する嫌がらせ」

強姦ハ慰安所ノ開設ノ有無ニ拘ハラズ頻発シタ。輪姦モ相当ニアツタ慰安所ハ普通三十分間兵ハ二円デアル。是ハ月給ニ対シテ余リニ高過ギル。依ツテ強姦ガ止マナカツタ。然シ支那民衆モ各地ヲ通ジテ下層階級者ガ多イノデ戦禍ノ跡ニ住ミ生活ノ道ガナクナリ自然若キ女ハ節ヲ売ル様ニナリ而モ安価デアルカラ兵ハ此ノ方ヘ走ル傾向ガ多カツタ。故ニ強姦ト思ハレタ例モ能ク調査スレバ和姦デアツタコトガ次第ニ諒解セラルヽ様ニナツタ。即女側ガ一銭デモ受取ツタナラ、女ガ一枚ノアムペラデモ敷イタ形跡ガアレバソレハ強姦デハナイト云フコトニサレタ。然シ支那婦人ハ日本兵ヲ強姦ノ訴ヲナスニアタリ事実無根ノ場合モアル様ダツタ。姦シテ後女ヲ殺シタリ姦シタ後其夫ヲ殺シテ逃走シタ例モアツタ。路上婦人ニ戯ルヽ兵ハ枚挙ニ暇ナキ位ニテ上海ニ於テハ其ノ為メニ日本人ハ勿論、支那、外国人迄迷惑ヲスル。是ハ西洋人間ニハ極メテ稀デ下層社会ヘ入ルトアルガ日本兵士ノ中ニ多ク是ヲ見ルノハ婦人ニ対スル礼儀ヲ教育サレテ居ラヌカラデアル。勿論兵スベテガ其ノ傾向アリトハ言ハヌ。此ノ挙ニ出ヅル者ガ少クナイノデアル。歩行蹣跚(ママ)トシテ通リ掛リノ婦人ニ向ツテ悪戯ヲナスコトハ例ヘ其ノ女ガ何デアロウト兵ノ体面上許スベキコトデナイ。南京ニテ上陸当日一水兵ハ醉後途上一婦人ヲ捕ヘ小路ニ連レ込ミ実行中憲兵ニ捕ヘラレタ。而モ午後三時デアツタ。如此ハ強姦、和姦等ヲ論ズルノ余地ハナイ。軍人タルノ資格ナキ者ノ行為デアル。厳罰セラレタルノヲ満足ニ思フ。南京ニアル支那人傷兵収容所ニ於テ支那看護婦ガ強姦サレ部隊長ニ訴エ出タ。部隊長ハ「皇軍ノ兵ニ強姦サレタラ光栄ニ思ヘ」ト怒鳴ツタトイフ。甚シキ勝利者ノ暴言デアル。」(47-49頁)

南京で部隊長は、日本兵に強姦された中国人看護婦に対して
皇軍ノ兵ニ強姦サレタラ光栄ニ思ヘ」
と怒鳴ったという。

いったい何様だったのだろうか?
 
 


         3、強姦ハ慰安所ノ開設ノ有無ニ拘ハラズ頻発シタ・・・


日本軍慰安所は、頻発する強姦を抑えるために、という名目で造られた。
ところが、強姦は増えているようにも見える。
日本軍が侵略したあらゆる場所で”強姦”事件は多発した。

早尾乕雄氏の『戦場心理ノ研究』もその様子を詳しく伝えている。

http://blog-imgs-54.fc2.com/k/u/r/kurokango/201303032055035ac.jpg 強姦の具体的な例
 
            ↑は、アジア女性基金で見ることができる
 
 
 

一、ある兵は、兵站病院を退院現場に復帰の途上、飲酒酩酊の上、所属隊宿舎の付近の支那家屋に侵入し、同家二階に居合わせた支那婦人(21歳)を強姦した。
二、・・・・・
三、ある兵はある支那民家へ立ち寄ると、同家の娘(16歳)が兵を見て怖し逃げ出ようとすると是を捕らえて強姦したばかりであなく、翌日も到って再び強姦した。
四、・・・・・
五、・・・・
 

十六、・・・・軍当局は軍人の性欲は抑えることが不可能だとして、支那婦人を強姦せぬ様にと慰安所を設けた然し強姦は甚だ旺んに行われて、支那良民は日本軍人を見れば必ず是を怖れた。・・・・・
 
 慰安所を造っても強姦は頻発したのである。