河野談話を守る会のブログ2

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世界を経巡る橋下妄言と飛び火する日本政府のあり方

 
橋下妄言からすでに2週間以上が過ぎているが、未だに収まる気配もない。それどころか先日の【外国人特派員協会における橋下記者会見】によって、さらに世界中にニュースとして広がる結果となった。
橋下は今後、海外には行かない方がいいだろう。
どこから石を投げられるか、分かったもんじゃない。
それは冗談だが・・・全ての国の女性が石を投げたかったのではないか、と思う。そして安倍の靖国妄言に続き、また日本の悪い印象が広まってしまったのだ。
つい先年まで、日本の好感度はしごく高かったのだが、今年に入って急下降しつつある。
橋下は全ての日本人に謝れ!!
 
 
 
アメリカに謝罪するのも、パフォーマンスにすぎないのが見え見えで、力関係によってのみ、謝罪のポーズをするのである。
サルの世界のマウンティングのようなものだろう。
しかし、アメリカには謝罪しても慰安婦に謝罪しないのが彼ら(=ウヨ)である。未だに「強制連行の証拠は、政府資料には見当たらない」が、何かの言い訳になると思いこんでいるらしい。
長らく日本政府は河野談話発表までに、政府の「慰安婦」調査を行った内閣官房外政審議室に各省庁から集まった資料の中には強制連行の証拠は無いと述べてきた。
情報公開請求によりつい3月にその「政府資料」やらが公開されたのだが、その中には「強制連行」を示す裁判記録の報告がなされている。ところがこの報告は無視されている。
つまり官僚たちは、都合の悪い情報を握りつぶしたものと見える。
 
問題の資料は法務省が作成した「報告書」である。
その法務省報告書に「慰安所における売春の強制』又は『慰安所における売春を目的とした女性の強制ら致の事実が、オランダの行った戦争犯罪裁判(中略)起訴され有罪判決が言い渡された」との内容の記載がある。
法務省が、「慰安婦被害者の強制連行を証明する文書が存在する」との報告をあげたがこれを政府はこれを調査しなかった。
 
裁判の記録は言うまでもなく「公式記録」であり政府はちゃんと調査しろよ、という話である。
 
オランダ戦争犯罪裁判の記録は、
第一次安倍内閣の「閣議決定」の一ヶ月後の2007年4月17日に、林博文氏ら研究者が外国特派員協会において
極東国際軍事裁判に各国が提出した日本軍の「慰安婦」強制動員示す資料(7点)』
として記者発表している。

【資料1】日本海軍占領期間中蘭領東印度西部ボルネオに於ける強制売淫行為に関する報告
【資料2】ポンテヤナック虐殺事件に関する一九四六年三月一三日付林秀一署名付訊問調書
【資料3】インドネシア・モア島オハラ・セイダイ陸軍中尉の宣誓陳述書
【資料4】インドネシア・ジャワ島マゲラン イエ・ベールマンの尋問調書
【資料5】ポルトガル領チモール ルイス・アントニオ・ヌメス・ロドリゲスの宣誓陳述書
【資料6】ベトナム・ランソン ニェン・ティトンの口述書抜粋
【資料7】中国桂林 軍事委員会行政院戦犯罪証拠調査小隊「桂林市民控訴 其の一」

これらの文書の存在を知りながら、その文書を今日も収集せずに、歴代政権が「強制を示す文書は無い」と言い続けて来たのは、不可解を通り越して、醜悪である。
それとも、調べる気が最初から無かったのだろうか?
 
さて橋下に戻ろう。

 
 
 
 
 
ドイツ語圏のメディア4紙が、外国人特派員協会における橋下記者会見を取り上げている。
以下に概要を紹介。


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ヴィーナー・ツァイトゥンク オンライン版、オーストリア、2013年5月27日


強制売春についての発言後の大阪市長
「さあ、ショータイムです」

Burgermeister Osakas nach Aussagen uber Zwangsprostitution 
"It's showtime"

ヴィーナー・ツァイトゥンク紙特派員 ゾニヤ・ブラーシュケ

外国人特派員協会のBaumgartner会長が『さあ、ショータイムですよ』と辛辣な言葉で……記者会見を開始した」と、冒頭から橋下氏に厳 しい書き 出しです。外 国メディアの前で自らの立場を釈明すると公言して記者会見に望んだ橋下氏ですが、その記者会見が茶番劇でしかないことを、Baumgartner会長は早 くも参加者に周知させたという訳ですね。続いて、記者は、「橋下は、この間の性差別的と評価を下された発言を釈明する意図を先週末に明らかにし た。だが引 き続き問題発言がなされたことに鑑みれ ば、3時間近くに及んだ記者会見の後も、事が収まり、論争が終焉することは期待できない。」と、橋下氏の特派員協会での外国人メディア懐柔策が効を奏さな かった事を指摘しています。
その後、概要以下の内容が続きます。
「橋下は、慰安婦は必要だったとの発言によって、とりわけ韓国から、だが又自国民、中でも女性の怒りを買った。元慰安婦からの要求にも関わらず、 彼は その発言を撤回しなかった。そればかりか、彼は「河野談話」の一部について「明確化」を要求し、その際、日本国家と軍が強制売春制度を維持運営した事は明 らかであるという点を否定した。また日本は、戦時に女性を性的に悪用した唯一の国ではなく、アメリカ、フランス、イギリス、ロシア、そしてドイ ツもそのような犯罪を行った、と述べた。
慰安婦」のケースとは対照的に、橋下はアメリカに対しては失言を謝罪した。
政権発足当初は河野談話を見直すと言っていた安倍首相は橋下発言に距離を保っている。菅官房長官は、政府は河野談話の変更を意図していないと述べ た。」 以上。

全文は以下のリンク先より。
http://www.wienerzeitung.at/nachrichten/welt/weltpolitik/549092_Its-showtime.html


フ ランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク オンライン版、2013年5月27日

日本における歴史の修正G 橋下の二つの顔 
導入:橋下大阪市長は、第二次世界大戦 の日本の戦線買春宿は必要であったと述べて、外国を挑発した。彼は公然と歴史を修正して、安倍首相を窮地に陥れた。

カーステン・ゲルミス
以下概要です:
「橋下は、記者会見において本音と建前を見事に使い分けた。同時に、第二次世界大戦における日本の戦争犯罪を否定するナショナリストの新戦略 を示して、自 分こそが真にインテレクチャルな右派の指導者だと選挙民に向かって自薦した。戦争責任の否定と日本の歴史を修正しようと言う点で、安倍と橋下 に大きな違い はないが、日本が輸出を延ばし経済の歩調を整えようと絶望的な努力を続けている限り、首相である安倍は、ナショナリスティックな言辞を労して 日本を孤立さ せるわけにはいかない。
橋下はこれを承知しており、7月の参院選後に国政に打って出ようとの噂がある。橋下は先週、日本軍の戦線慰安所(原文は買春宿)は当時の見地 からは必要だったと述べて、メディアをにぎわせた。
その発言が国際的にこれほど物議を醸そうとは予期していなかったと見え、橋下は外国人特派員協会で「誤解」を解くと宣言した。が、そこで橋下 が見せたのは 見事な本音と建前の使い分けだ。責任逃れをするつもりはない、女性へのセックスの強要は人権侵害だと、世界に対して義務を引き受けるかのよう な回答をす る。だがその次のセンテンスでは、彼の本音をナショナリスト陣営向けに振りまく。戦時の性暴力は日本軍特有ではなかった、アメリカも、イギリ スも、ドイツ も、フランスも、ロシアも戦争では女性の権利と尊厳を傷つけたと。日本軍の犯罪を相対化するつもりはないと言う側からそれを相対化し、他国も 同様に悪かっ たと言う。これは日本のナショナリストの新方針だ。従来の日本の修正主義者は犯罪を単に否定したが、橋下は責任を認めておいて、他国だってそ れより良くは なかったのだとその軽減を図る。だが彼は他国との違いを厳密に知っていて、「国家の意志」であったかどうか、これが問題の核心だと認める。そ して国際的研 究と生存者の証言によれば、まさにこの点が日本の強制買春制度の特異な点なのだが、法律家である橋下はここでも相対化する術を知っている。軍 が女性の人権 の侵害に組織的に関与したか,それともそうでないかは被害者に取って大きな違いではないのだと。」
これに続いて記者は、橋下はこの挑発によって、低迷しつつある 維新の会 の支持率引き上げを図ろうとしていると分析しています。アベノミクスが打ち出されて以降、経済問題では、真の野党勢力はなくなったが、安倍が 公式の場で、 慰安婦問題に関して沈黙せざるを得ないのに対して、橋下は真の日本の歴史修正主義の代表として自党を再び話題に載せようとしていると。そして 韓国外相から の批判の言葉で結んでいます。

 

他に下記の2紙が報告しています。

ノイエ チューリッヒャー ツァイトゥンク、スイス オンライン版,2013年5月27日
apの配信として、アメリカへの謝罪のみ取り上げています。
http://www.nzz.ch/aktuell/newsticker/osakas-buergermeister-entschuldigt-sich-bei-us-soldaten-1.18087939

ディ ヴェルト オンライン版 2013年5月27日
他国にもあったとの橋下発言を捉え、反証を試みています。
http://www.welt.de/geschichte/zweiter-weltkrieg/article116568069/Sexsklavinnen-gab-es-auch-in-westlichen-Armeen.html