吉見VS秦 対局(7)
吉見 いや違いますよ、田舎から連れてこられた女性だという風 に・・・
秦 それを言い出したらね、
吉見 それからもう一つ言いますとですね、この女性は重い借金を 負っている。という風に長沢軍医は言っているわけです。
秦 だからそれもおかしいですよね?
吉見 それでつまり、誘拐罪でもありですね、人身売買罪にもなる わけですよ。ところが、結局この女性は解放されないでその まま軍の慰安所に入れられてしまうわけですね。これが犯罪 だっていう認識が軍の側にないっていうのは、非常におかし いですよね。
吉見 こういう事態が起こったらですね、女性は解放して送り返さ なきゃいけないはずですよね。
秦 じゃあその前に業者の方の責任もありますわね。
吉見 業者は逮捕しなきゃいけないということになるわけですね。
そりゃもちろん、送り出した警察もちゃんとチェックしてな いという問題もありますよね。
秦 借金を返せばね、借金を返せば何の問題もないわけですよ。
吉見 つまり、借金を返すまでに何年間かそこに拘束されるわけで すよね。
秦 そうすると親が最後は返さにゃいかんのですよ、親が。
秦 親が売ったのが悪いでしょ。
吉見 いやいや、秦さんがわかってないのはそこですよ。
秦 どうして。
吉見 借金を返せば解放されるっていうんであれば、それはあれで すよね、人身売買をそのまま認めてることになるじゃないで すか。
ちょっとここで一通質問メールが来ています。
秦 えー、私は自分の本の中でね、それを計算したんです。生還 率は控えめにみて、9割以上と。
秦 ええ、実際はね、日赤の看護婦さんなんかがね、96%以上な んですよ、生還がね。大体ね、慰安婦とそれから看護士さん による野戦病院はね、前線から離れた、比較的安全な場所に いたわけですね。しかし戦争末期になりますとね、そうもい かなくて、戦闘に巻き込まれたこともあるし逃げ遅れてね、 それから玉砕地っていうのがあるでしょ?島でね。
だからそういうのも考慮にしましてね、私は日赤の看護婦さ んの、生還率より低かったことはないだろうと。
秦 ええ、そうです。
吉見 何%というのを計算したことはないんでわからないんですけ れども、たぶん日赤の看護婦さんよりももっと生還率は悪か ったんじゃないかと思いますね。というのは、慰安所の生活 というのは非常に厳しくてですね、毎日数人から数十人の、 男性、軍人の相手をさせられるという日々が続
くわけですよね。その中で性病を移されたり、体を悪くした り、そこで病気で亡くなるっていうケースも非常に多いと思 いますので、戦地で命を落とした、女性は決して少なくなか ったんではないかということは言えると思うんですね。
この後も橋下市長の会見などでもしばしば話題になる、強制 連行ということもありますし、また軍の関与とか、その後の 論争以降の責任の取り方論などの議論のポイントを、続けて いきたいと思います。