河野談話を守る会のブログ2

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西岡力が語る歴史音痴なウソ

 

 
「・・・どこの軍隊でも、軍人たちに対する性の処理施設みたいなものがあったわけで、ないところでは強姦が行われた。満州北朝鮮におけるソ連兵のいたるところでの強姦はよく知られているが、米軍も日本進駐直後には強姦事件を起こしたし、慰安施設をつくるように要求し、実際に造られた。」
 
( 『よくわかる慰安婦問題』 西岡力 P179 )
 
 
おそらくこういうのを読んで、橋下市長も洗脳されてあんな事を言ったのだろう。
間違いだらけなので、指摘しておこう。
 
 
 
間違い①
「米軍も・・・・・・慰安施設をつくるように要求し、実際に造られた。」
 
さすが、歴史をちっとも知らない西岡力である。
どんな根拠が有ってこんな事を書くのか?さっぱり分からない。どこかの歴史学者の近現代講義でも聞いてから、書いていただきたいものだ。
 
特殊慰安施設協会(RAA)」は米軍が要求した訳ではない。日本政府が勝手に気をまわして造ったのである。ウヨクが大好きな秦郁彦も次のように書いている。「・・・日本政府は、占領地における日本兵の行状を聞き知っていただけに、あわてふためいた」慰安婦と戦場の性』P166)
 
これについては、
 
当時警視総監だった坂信弥氏が終戦前後の内務省及び地方庁の活動状況」座談会『大霞』の中でこう述べている。
 
 「東久邇さんは南京に入城された時の日本の兵隊のした事(強姦の頻発)を覚えておられる。・・・・それでアメリカにやられたら大変だろうなという頭があったんだろう。・・・・どうしたらいいのかということで、やはり慰安施設をね、一応さばく所をこしらえておこうじゃないかという事が内閣の方針として決まったのですね。それから内務省に回ってきた。」・・・・・・(この史料は南京虐殺の様相も教えてくれている)
 
つまり、この特殊慰安施設協会(RAA)」は、米軍が慰安施設をつくるように要求して造られた」わけではなく、日本側が南京事件のような強姦が起こるのを恐れて、「性の防波堤」として造ったのである。警察官が募集に駆けずり回ったという(秦P167)。
 
しかしこの特殊慰安施設協会(RAA)」も翌1月には、公娼廃止の指令が出て、3月までに閉鎖されている。わずか半年足らずの寿命であった。
 
西岡力は、事実に反する事ばかり書いている。
歴史を調べた事もないのに書いているとしか思えない。それで「自分は専門家だ」なんて書くのだから(西岡『よくわかる』まえがき)、恐れ入る。
 
 
間違い②
「性の処理施設みたいなものがあったわけで、ないところでは強姦が行われた。」
 
へえー?
すると性処理施設 があったにも関わらず、山のように強姦していた日本軍は、どうなるんだ?
 
日本軍がたくさんの強姦をしたのは、もう動かし難い事実である。
彼らは決して、元から強姦魔だった訳ではない。慰安所も含めて日本軍の間違ったシステムによってそうなってしまったのだ。その原因についてはすでに考察してあるので参照にされたい。
 
 
一次的には、強姦が減る事もあるが、結局、触発された欲望は、限りない消耗戦の中で、増大していくだけである。
「若い兵士の中には、慰安所で女性を知るとしんぼうたまらなくなり、強姦に走る者もいた」 (「朝日新聞」 2013年7月2日)
 
という元軍人の証言もあるように、慰安所の存在が兵士の欲望を刺激し、「どうせ殺す敵の女だから、殺す前にやっちまえ」とばかりに強姦に走ったりしたのだ。
 
あるいはこの戦争に大義があり、兵士を消耗品として扱うのではなく、時には長期休暇を与えて、家族の元に帰らせ、人間性を取り戻させるようにしていたなら、これほど悲惨な記録が残らなかったであろう。しかし、兵士たちは、消耗品であり「お国(天皇の名)のために死ぬ」事が美徳のように考えられていた時代であった。