河野談話を守る会のブログ2

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新しいミレニアムの共生時代実現のために日本が乗り越えるべきハードルについて

河野談話を守る会ー論文集 2-1
 
    現在日本の乗り越えるべきハードルは、先の戦争の補償
や教科書問題を含む

歴史観の問題 である

現在日本が飛び越えなければならないハードルの中でもっとも重大かつ緊急性を帯びているのは「歴史観」における国際的な対立の問題である。家永裁判以来長年にわたってくすぶり続けて来た教科書問題や「侵略戦争」「領土問題」「強制連行」「慰安婦問題」などの戦時被害者の補償を含む歴史観論争だが、去年歴史修正主義者が中心となって組閣した安倍政権が成立するに及んで関係諸外国との軋轢が強まっている。
 
   アメリカ、韓国、中国、国連、国際NGOによる勧告
 
今年の初めにはすでに東洋経済誌に「国際的な孤立を招くので河野談話を改変すべきではない」という ジョセフ・S・ナイ氏論文による勧告がなされ、さらには1月7日には米国務省のヌランド報道官により、安倍政権の「河野談話」など過去の歴史認識の 見直しに対する懸念が表明されている。かってはアメリカ議会やカナダ、オランダ、欧州、韓国など、合衆国政府と州政府が、さらには国連とアムネスティが同様の勧告を安倍内閣にして来たが、現時点で解決がなされている訳ではない。
これに対立しているのは、右翼勢力である。


 
         日本の右派論壇の活動の論理
 
                                                                                                                                       
  右派は「自分たちが本当の事を知っており、人々もアメリカも韓国も中国も・・・本当の歴史を知らない」と思い上がった考えに捉えられている。「河野談話は間違っている」「慰安婦には強制連行はなかった」「慰安婦はただの売春婦」「報酬が支払われていた商売だった」・・・などと言う論説を唱え、それが正しいのだと安部首相以下の閣僚から、末端はネット右翼に至るまでそう主張して来た。この見解は、歴史学者でもない学者たちが多く集合した『新しい歴史教科書を作る会』や靖国関係者や右翼団体が集結した『国民会議』、自民党内の右派議員が集合した『明るい日本国会議員同盟』などが唱え、漫画家小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』やジャーナリスト桜井よしこの「歴史力を磨け」的著作を通して若者たちに広がりを見せた。

2003年に中曽根康弘元首相と共に引退した奥野亮誠は「慰安婦はただの売春婦」と言って憚らなかったし、それはそのまま『新ゴーマニズム宣言3巻』の主張でもあった。さらには2005年ネットの若者にベストセラーになった『マンガ嫌韓流』の主張でもあったのだ。こうしてインターネットの中は、従軍慰安婦を否定する論調が溢れていたし、それは元慰安婦の方達への人格攻撃にまで発展した。50年代から80年代にかけての冷戦構造の制約が造りだした55年体制の中で、くすぶっていた「日本はアジアの開放のために戦った」「大東亜戦争は聖戦であった」「日本は追い詰められて仕方なく戦争した」「アメリカの陰謀だった」「ソ連の謀略だった」・・・などの『大日本帝国=正統化史観』を政治家と右翼団体、右派論壇、産経・読売新聞、正論、サンサーラサピオなどの右派新聞、雑誌が90年代には大々的に唱えるようになった。
いまや書店や図書館の何分の一かをこのような主張が占領しており、インターネットにおいてはもっと高い割合で同様な主張がなされている。


 
          森元総理の「神の国」発言
 
そしてこの主張の行き着くところは、この新しい世紀が始まるや否や飛び出した森総理(当時)の「日本は神(日本固有の神々)の国」発言であろう。鎌倉末期から室町時代にかけて造られ、江戸時代に成長し、明治から敗戦までの約75年間大日本帝国を支配した「日本は神の国」論。―――帝国末期には「日本は天皇をいただく神の国」「日本が窮地になると英霊が守る」「神風が吹く」などの妄想に支配され、「死」を美化して「行ってくるぞと勇ましく」「お国のために」と竹やりを持って自滅行為を狂騒したあの時代の根幹となる「国体論」である。これを再び唱え――――しかもその主張が一国の総理大臣の口から飛び出したのだから、この発言を聞いた多くの人の心胆寒からし憤怒やら絶望やら何やら言うに言われない感情を引き起こしたのである。
こうした延長上に-中曽根などの引退の結果今や自民党フィクサー格になった-森元総理に可愛がられて来た安倍氏が首相となり、「河野談話を改変する」「村山談話に変えて新しい談話を出す」などと唱え、さらに「靖国参拝を正当化」する発言がこれまでにない戦闘的な形でなされた。その後アメリカからの警告を受け、韓国からの抗議を受け、一時的に撤退し沈静化を図っているが、先の発言を完全撤回した訳ではなく、大切な参議院選挙の前に一時的な撤退をしているに過ぎない。
そして参議院選挙に勝利する事で、安部内閣が再び「河野談話を改変する」「村山談話に変えて新しい談話を出す」などの画策をするのは目に見えている。
その結果、中韓反日感情が吹き荒れるのは必至であり、しわ寄せは各企業と国民に行く事になるだろう。
 
            戦争責任の総決算
 
敗戦直後、キリスト者賀川豊彦によって「一億総懺悔」が唱えられた。しかしこれは、掛け声だけに終わり、韓国や台湾、樺太満州・・・などの植民地支配や先の戦争の実態とその戦争責任はあいまいにされた。日本政府は戦争責任の追及を恐れて8割もの公文書を焼却し、その中には多数の慰安婦関係の書類もあったはずである。すぐに米ソによる冷戦の火花が散りはじめ、天皇への戦争責任の波及は、日本の共産化の危険をはらんでいたので、米国サイドもおざなりにするしかなかった。こうして55年体制の中では、先の戦争の責任を問う事もできなかったが、やがて東西冷戦が終わりを告げる中で新たな戦いの花火が上がった。これが1990年、長崎元島市長事件であった。この時、市長であった元島は議員の質問に答えて「私は、先の戦争での天皇の戦争責任はあったと思う」と答え、その後右翼の街宣車数十台が押し掛ける事態となり、やがて銃撃された。これ以上象徴的な事件はないだろう。
この時代韓国では、慰安婦問題が研究され初め、91年8月14日には、元慰安婦として金学順さんが名乗りをあげ、それに触発された多くの被害者が名乗りをあげる事で、戦時下に引き起こされた「性と暴力を巡る裁判」が始まった。こうして戦争責任を追及する声は少しづつ高まって行った。慰安婦問題は、やがて日本軍が引き起こしていた強姦、強制売春などの戦時性暴力を明るみに出して行く。我々日本人としては心苦しいが、こうした先祖様の罪悪と向き合う事を余儀なくさせられているのである。悪事を認める事には“痛み”が伴う。しかしこの“痛み”があってこそ、やがて日本を含むアジア共生時代が訪れるのであろう。かつてキリスト者賀川が唱えた「一億総懺悔」が先の戦争を振り返る事を意味しているなら、今こそ「懺悔」の時かも知れない。
 
 
 
 
①   「河野談話見直しは愚作」 
東洋経済オンライン: ジョセフ・S・ナイ氏に聞く)
 

私がもう一つ懸念するのは、いわゆる「従軍慰安婦」に関して93年に発表された河野談話朝鮮半島での慰安婦募集への政府関与を認め、「総じて本人たちの意思に反して行われた」とした)を見直す動きが出ていることだ。日本は自ら災いを招くことをすべきではない。日本が将来について考え、韓国との関係を改善しなければならないときに、好ましくない方法で歴史に異議を申し立てるのは理にかなったことではない。

(略)
 
 
②   世界のメディアが安倍首相を非難、国際社会で日本は孤立へ=韓国
2013/04/29(月) 12:01 
  米国など世界の有力メディアが、安倍首相の最近の発言を取り上げ、「過去を否定し、侵略を当然視する妄言」として強く非難したとして、複数の韓国メディアが29日、報じた。
韓国メディアは、「世界のメディア、安倍首相のゆがんだ歴史認識では国際社会で孤立するだろう」、「安倍政権では、国際社会での親友はいなくなる」、「安倍はゆがんだ歴史認識によって、自ら危険に陥ると米有力紙」などの見出しで伝えた。米紙ワシントンポスト(WP)は27日の社説で、「経済や国防などの画期的な動きで期待を集めた安倍首相が、自身のゆがんだ歴史認識のために、これまで成し遂げたすべてのことを危険にさらす」と指摘した。また同紙は「安倍首相の妄言で、韓国と中国が激怒するのは理解すべき反応。数十年前の歴史を正直に認め、ヨーロッパで確固たる地位を占めたドイツのように行動することが、日本ではなぜ難しいのか」と問い返した。
 
 
③   米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)も27日、安倍首相の相次ぐ「過去への逆走」を非難した。同紙は社説で、「第2次世界大戦を誰が起こしたのか。地球が太陽の周りをまわっているのかという疑問と同様に、異論の余地がない問題だが、安倍首相は新しい解釈をしている」と皮肉った。続いて「日本は米国の同盟国ではあるが、安倍首相の『不名誉な発言』は、国際社会で日本の友人を増やすことないだろう」と批判した。さらにフランス紙のフィガロは、「安倍首相は改革主義者の反動主義に変化している」と非難。「特に日本経済が回復し、これまで埋もれた国粋主義者の姿が再び見え始めた。自衛隊法を改め、正規軍に転換しようとしている」として、日本の右傾化を警戒した。韓国メディアは、世界有力メディアの鋭いペン先が安倍首相の「侵略妄言」に突き刺さっていると伝えた。(編集担当:李信恵・山口幸治)
 
 

 
                                 河野談話を守る会ー論文集 2-1