吉見教授の強制連行の定義についてはこれまで断片的に紹介して来ました。
一番分かりやすく書いているのは、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』p11~p14、と『季刊[戦争責任研究]第64号2009年夏号』のp3~p6 ですので簡単に要約します。
まずは
1910年に日本も結んでいた『婦女売買に関する国際条約』の第2条の「詐欺・暴行・脅迫・権力乱用などにその他一切の強制手段」が「強制」の中に入る
と吉見氏は指摘しています。
かいつまんで書くと
戦前の刑法第33章の『略取及び誘拐の罪』の第226条の「国外移送目的略奪罪」「国外移送目的誘拐罪」「国外移送目的人身売買罪」「国外移送罪」4つの犯罪に違反する行為
という。
「第226条」には
帝国外に移送する目的をもって人を略取または誘拐したる者は2年以上の有期懲役に処す、帝国外に移送する目的をもって人を売買し又は被拐取者若しくは被売者を帝国の外に移送したる者亦同じ
と規定されている。
そして「狭義の強制」を唱えて「日本政府に責任なし」という意見については、「国外移送目的略奪罪」に該当するケースだけを罪としているのだ」と批判しています。
「従軍慰安婦」の徴集では「第226条」に反する多くの罪悪が国家の計画と承認の下になされました。 「国外移送目的略奪罪」に該当するケースだけを罪とするのではない。また「当時は合法だった」という意見もありましたが、「合法」でも何でもなく違法であったと言えるでしょう。こうなるともう右翼サイドからの反論はまったくありません。ただ無視している。あまりに正論なので「正論」誌も反論できるものではないからです。
なるほどウヨ達が、吉見氏を 蛇蝎のごとく嫌う理由がよく分かりますね。
正確な知識とそれに基づく批判は、逃れようもないからです。
ここで一句; 正しいがゆえに ウヨが嫌いな 吉見かな (字余り)