河野談話を守る会のブログ2

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歴史学研究会・日本史研究会主催合同シンポジウムに参加して思った事



         「日本軍慰安婦制度のような制度は、他にもあったのか?」という 問題を                巡る状況について


私達が慰安婦問題に関わるさいに、「日本軍慰安婦制度のような制度は、他にもあっただろうか?」というのは、重要な一つのテーマだと思います。

これまで、秦郁彦氏は、日本軍とよく似たものは、各国の戦場、軍隊の周りにあったのだと主張して来ました。

こうした意見は、右翼論客によって『正論』や『will』に寄稿された文章にしばしば掲載されており、ネット右翼達の得意な論法の一つです。(たとえば『正論』25年8月号P99)


「日本軍にあったような慰安所は世界の軍隊にあったんだから、「性奴隷制度」などと述べて、日本軍の事だけことさらに悪く言うのは、反日日本人の捏造である」というのが彼らの主張です。

そして、その延長上に例の橋下市長の言い分がありました。
彼は、「戦場の性の問題はどこにでもあった」「どの国の軍も女性を利用した」「日本も悪かったが、各国も悪かったんだ」と述べました。

また2007年、安倍首相の米国議会演説では、「20世紀は世界に対する女性の人権侵害がなされた」と述べました。

これは、彼らが日本軍慰安婦の問題を希釈するために編み出した論理・論法です。

これに対して、吉見教授が、大阪市役所で記者会見して橋下市長を批判し、「軍の施設として組織的に慰安所を作った国はほかにない。日本の慰安婦制度は特異だった」
とコメントしたのは御存じだと思います。


         池田信夫氏と林博史教授


ついでにいえば、この吉見教授のコメントに池田信夫氏が噛みついていますが、

林博史教授が間違いを指摘したという経由もありました。





林博史教授はまた次のようにも書いています。


・・・・日本軍「慰安婦」制度というのは、国際法・刑法違反の犯罪だと認識しながら、日本軍だけでなく警察や内務省、外務省なども含めた国家ぐるみの犯罪で、これほどの国家による組織的系統的な性奴隷制度はナチスドイツを除くとほかには例をみません。「強姦予防」の名の下に「慰安婦」制度がつくられたのは日本独自のものでした。
 国際社会には、戦後、日本軍『慰安婦』問題をきちんと裁かなかったことが、今日の戦時性暴力の横行を招いたという反省があります。だからこそ、00年の国連安保理決議では、すべての国に対し、「性的その他の女性・少女に対する暴力を含む戦争犯罪の責任者への不処罰を断ち切り、訴追する責任がある」としました。現代の問題を解決するためにも、組織的大規模な性暴力である日本軍『慰安婦』制度の事実を認め、償いをすることこそが大切です。(『大阪民主新報』)



            金貴玉教授の主張する「韓国慰安婦


金貴玉教授の著作はしばしば、同じ文脈で秦郁彦氏やネット右翼に活用されています。http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n177325

彼らにとって見れば、日本に歴史観の問題で一番うるさく言う韓国にも、慰安婦システムがあったというのは、絶好の攻撃材料でしょう。

秦郁彦氏は、右翼雑誌明日への選択』2013、9月号で、金貴玉教授の説をとりあげ、各国に存在した慰安所の例として挙げ、攻撃しています。

 (ちなみに「歴史家金貴玉教授」秦郁彦氏は書いているが、専門は社会学らしい。)

とりわけwikipediaでは各所で利用されており、<慰安婦 <韓国軍慰安婦>で、慰安婦が各国に存在した証拠として挙げられている。

しかし、今回金貴玉教授の話を直接聞いてみて、分かったのは、被害証言がまったく出て来ていないのだ、という事です。すでに韓国軍慰安婦が韓国メディアによって報道されて10年以上も経つのに、被害者が誰もいないのでしょうか?

質問コーナーで 「韓国軍慰安婦たちはどんな人ですか?」 とTさんたちが尋ねると、10分間も長々と演説しましたが、ほとんどが教条的なお話で、肝心の「韓国軍慰安婦たちはどんな人ですか?」という質問には答えませんでした。

それは被害証言が無いからだと思います。
彼女としては教条的な話で誤魔化したというところだったのでしょう。10分間も演説したあげく内容のない答弁に終始しました。

*金貴玉教授は「韓国軍慰安婦の類型には、軍人の拉致、強制結婚、性的奴隷型、昼は下女として働き、夜には慰安を強要されたり、また慰安婦が軍部隊へ出張する事例もあった」(金貴玉「朝鮮戦争時の韓国軍「慰安婦」制度について」『軍隊と性暴力―朝鮮半島の20世紀』宋連玉, 金栄編、現代史料出版 2010年所収)と書いているが、この話は誰をインタビューした話なのか?疑問である。

      
   旧日本軍所属の韓国人が造ったのは事実だろう

確かに、韓国軍は慰安所を造り、それは旧日本軍を真似たものだとは思います。構造的には日本軍慰安婦と似ている訳です。それは否定できません。しかし、これを深刻な人権侵害だと告発する被害者がいないのであれば、「日本軍慰安婦と同じ」というのは言えないと思います。

金貴玉教授は、「韓国軍慰安婦を認めるのであれば、日本軍慰安婦を認めなければならない」と述べていましたが、深刻な被害が無いものを日本軍慰安婦と同列の人権侵害として扱うのは無理です。

もちろん女性に与えられた売春環境としてジェンダー問題では同列なのかも知れませんが。

質問コーナーで、取り上げられませんでしたが、私も質問を書きました。

日本軍慰安婦の場合、
①多くが強姦から始まった 
②慰安を拒否すると殴られたりして、耳が聞こえなくなる、骨が折れるなどの深刻な被害があった。
③精神的トラウマを負った
④自由廃業が不可能だった 

・・・・・などの酷い扱いがありましたが、韓国軍慰安婦にはそういう事があったのですか?


という質問です。

しかし残念ながら答えていただけませんでした。



      日本軍慰安婦におけるジェンダー視点以外の問題点


日本軍慰安婦問題にはジェンダーの問題の他に、今でも存在する民族差別、(あるいは迫害)、その差別、迫害の元となった国家神道天皇制)の問題、日本の風習、習俗の問題が加えられているからです。

このような多様な問題が集約しているのが、日本軍慰安婦問題です。

当時の日本人は自分達を「優秀な民族=天皇の赤子」ということで非常に思い上がり、他のアジア民族をバカにしていました。

そこで天皇を中心とした国家を造ろうとして、アジアを侵略しました。
これは単なる侵略戦争ではなく、宗教侵略戦争です。=心を支配しようとする戦争でした。
そこで、日本軍は侵略した各国に必ず神社を造りました。
日本軍が各国で創設したものがあるとすれば、「神社」と「慰安所」でした。
現代のヘイトデモの国粋主義連中が「我々はすばらしい民族だ」と言いながら、他民族に対して「ゴキブリ」だの「殺す」だの平気でやっているように、戦争中は「優秀な日本人」が他の(劣等な)民族の女性を犯すのも、黙認状態でした。

そうした精神の反映として「日本軍慰安婦」問題のような酷い出来事が起こったのでした。

ドイツでもゲルマン古代の神々を復活させ、ゲルマン民族の優越性を唱えており、とても似た国だったので、おそらく似たような事が起こっただろうとは思いますが。

           習慣と習俗の問題

習慣の点では、例えば、江戸時代以降の日本には「丁稚奉公」というのが有って、朝早くから夜遅くまで働かされ、休暇はお正月だけ・・・とかいう扱いが、昭和時代まで多く有りました。それは、日本がキリスト教国ではないので、「安息日」の習慣がなかったからです。
欧米の奴隷制度よりも酷いこの制度ですが、社会全体がそうなので休暇が少ないのは日本軍もそうでしたし、慰安婦もそうでした。慰安婦たちが少しでも休むために、性器を洗わないで検査を受け、わざと検査にひっかかるようにするという話がありましたが、これは「日本独自の休暇を取るのは悪い事」という丁稚奉公的考え方が根底にある。
あるいはその源となった「お客様は神様思想」の問題点が入っているのです。

こんな風にして、いろんな問題が入っているのが、日本軍慰安婦問題であり、だからおそらく同列にできるようなものは海外には少ないと思います。


<関連>




NYTの記事
http://www.nytimes.com/2009/01/08/world/asia/08korea.html?_r=2&hp 

連行され、大日本帝国のために売春宿で奴隷として働かされていた韓国女性たち。戦時中における、その醜い行いに ついて長年どれだけの責任を負うのかと、韓国は日本の言い訳に対して非難を行ってきた。 

今、韓国の元売春婦のグループは異なる権利を悪用したとして、当時の政府指導者らを告発した。北朝鮮から韓国を 守った米兵と性交渉するよう奨励し、1960年代から1980年代までの間、直接性風俗業界の手綱を取っていたとして 過去の韓国政府と米軍を起訴したのである。両国は売春婦がアメリカ軍を相手にするとき、確実に性病もちでないように するため、テストや処理システムも共同で構築していたという。 

彼女らは、体面のためにアメリカ当局がそういったシステムの構築を強要していたという主張には全く耳を傾けず、自ら の歴史については厳しい態度をとらずに日本には賠償金を求め続けている韓国政府を起訴したのである。 

「わたし達の政府は、米軍の大きなポン引きの一人だったんです。」訴えた女性の一人、Kim Ae-ran(58)さんは最近の インタビューでこう話している。 

売春を奨励していた問題の人々の動機のひとつに、韓国政府はアメリカ軍が撤退することを恐れており、それを防ぐため ならなんでもすると考えていたことにもあるという。しかし、彼女らは、朝鮮戦争後数十年間の戦後経済を支えるために 政府は売春婦たちを商品としてみなしていたと示唆している。 

政府は官僚らを基礎英語とエチケットを売春婦たちに身に付けさせるといった後援(もちろん、より高く”売る”ために)だけ ではなく外貨不足で韓国が破綻していたときにも、ドルを獲得するために激励へ行かせていたという。 
「彼らはわたし達を”ドルを得る愛国者だ”と褒め、出来るだけG.I(アメリカ兵)に体を売るように促したんです。」 

奨励者らはアメリカ軍が性感染症について懸念していたため、基地を囲んでいた売春街での”取引”を規制する試みにも 関わるようになっていったという。 

幾人かの女性が主張している最も扇動的なものの1つに、1960年代から1980年代までの間にアメリカの憲兵隊と韓国の 当局が、性病を広げていると思われる女性を探してクラブを定期的に立ち入り検査をしていたというものだ。彼らは軍人 たちが、簡単に性交渉の相手を決めれるように、売春宿によって無理やり付けられていた番号札を利用して女性を選別。 

それから、韓国の警察が病気であると思われる売春婦を連行していった、と言う。そしていわゆるモンキーハウス(麻薬 中毒者の隔離施設で窓には鉄格子がついている)に拘束し、回復するまで無理やり売春婦達は薬物療法を取らされた という。 

彼女らは、第二次世界大戦中に日本人によって売春を強要されたことについて、広く公共の共感を勝ち得たいわゆる 従軍慰安婦と自分達を比較し補償と謝罪を求めている。自ら選んだ、必要だったから、強制であったかに関わらず 売春婦は全て政府の政策の犠牲者であったと言うのだ。 
「活発だった関係官庁の連帯や売春街への助力はどこがしていたのか、という質問には韓国政府と米軍の 両方だと答えます。」と1997年に”Sex Among Allies.”を執筆した学者のKatharine H. S. Moonは言う。 

韓国の女性部(盧武鉉政権下で発足した、男女平等実現のための専門部署で女性問題を扱う)は、この件に ついてのコメントを差し控えている。ソウルにあるアメリカ軍司令部も同じくだが”人身売買と売春などの非合法 活動は容赦しないか、または支持しない”との一般論では返答してきている。 

ニューヨークタイムズでは米軍基地近くの売春宿で働いていた8人の女性にインタビューを行った。その結果、 韓国とアメリカの記録文章を再検討することになった。 時の流れの中では、ほとんど断片的であると言えるが 記録文章は女性らの主張の多くを何らかの形で補っていた。女性らはこの習慣は何10年にも渡り続いていた と主張している。 

ある意味、女性の主張は驚くべきものではない。何十年もの間、売春が不法である韓国が米軍基地の近くで 売春を許可していたのは明らかであるからだ。世界中の軍事基地の周囲と同じように、韓国でも飲み屋や 売春宿は長い間米軍基地を囲むようにして立ち並んでいる。 

また、議会の傍聴録の写しには少なくとも何人かの政府指導者がある種の必要性があるとして売春を見なして いたと示唆する記録が残っている。1960年には2人の議員が、同盟国軍人の「自然に必要なもの」が売春婦の 供給によって満たされており韓国ではなく、日本へ彼らがドルを費やさないよう仕込むべきだと政府に促している。 当時のLee Sung-wooは答弁で政府が「売春婦の供給」とアメリカへの「レクリエーションシステム」における、 幾つかの改良を進めていると答えている。 

KimさんとMoonさんの二人は性病のコントロールが両国政府のために行われていたとする女性らの主張を 支持している。彼女らはリチャード M. ニクソン大統領が1969年に米軍撤退のプランを発表したことで、米兵の 数がさらに減少すると韓国は恐れ、政府によるコーディネートが特に著しくなったと言っている。 

「お客が去っていくのを思いとどまるためには、売春街でどれだけ良く扱われたかと感じさせることだと考え、 まず環境を整えることになりました。」と、Kimさんはテレビのインタビューで答えている。 

Monnさん(ウェルズリー大学教授)によると、1970年代に米軍高官と韓国政府官僚の会談議事録に、両国で 性病の流行を予防するための期間を示すものがあったという。未登録、または健康診断を受けなかった売春婦 を拘束し、売春婦として登録するためには処置を受けたことを保障する人や診断書が必要であるなどの政府 
努力や、1976年における共同巡回に関するレポートには”隔離”を勧める内容も含まれていた。 

最近、売春街は存在しているものの韓国経済が急進したことで、フィリピンからの女性らが彼女らに取って 代わり始めている。多くの元売春婦は主流社会から隔離された売春町に住んでおり、大部分は貧しく社会 からは忌避されいる。養子縁組のため、海外へと送り出した混血児の思い出にとり憑かれた者もいる。 

Jeonさん(71歳。姓を明かすだけを条件に取材に同意してくれた)は1956年の18歳の時に戦災孤児になり、 飢えに追い込まれて北朝鮮国境に近いDongduchonの売春街で働きはじまたという。1960年の時に男子を 産んだが、アメリカのほうがより良い未来があるだろうと信じるようになり、息子が13歳のときに将来のため 彼を手放した。 

10年ほど前に米兵となった彼は彼女を訪ねてきてくれたが、もう自分のことは忘れるように言ったという。 

「わたしは母親として過ちを犯してしまいました」と、Jeonさんは言う。現在、廃品回収業でわずかな収入を 得て福祉援助を受け暮らしている彼女は「わたしが今、彼に頼れるような権利は全くないんです。」「そして、 自分の人生について考えれば考えるほど、私や私のような女性たちは韓国とアメリカの同盟による最大の 被害者だと思うようになりました。」と話す。 

「振り替えると、私の体は自分のものではなく政府と米軍のものだったんだなと思います。」 





 ニューヨークタイムズ紙の原文ではEx-Prostitutes(元売春婦)となっているのに産経が勝手に慰安婦(Comfort Woman)と誤訳して捏造、誤誘導をしています。
1/8 韓国人元慰安婦、韓国政府と米軍を告発 NYタイムズ紙 – 産経新聞
 米ニューヨークタイムズ(電子版)は8日、韓国の元慰安婦のグループが、1960年代から80年代にわたって米兵との性的行為を強制されたとして、当時の政府指導者に謝罪と賠償を求めて告発したと報じた。このグループは組織的な慰安施設の設置に直接的に関与したとして、米軍と韓国政府をあわせて告発した。
 同紙によると、元慰安婦のグループは朝鮮戦争後、韓国に駐留していた米軍の基地近くにあった慰安施設で米兵を相手にした売春を強要されたと証言。一帯では、米軍の憲兵隊と韓国当局者が施設を見回り、番号札を使って性病に感染したとみられる慰安婦を排除しており、性病が疑われた女性は警察当局が、窓に鉄格子がはまった「モンキーハウス」と呼ばれる施設に収容し、快復するまで治療が施された、と証言している。
 同紙は、韓国の専門家が、当時の韓国政府は米軍の撤退を恐れており、それを防ぐために手段を選ばなかったと指摘しているとし「慰安施設には韓国政府と米軍の積極的な関与があった」とする別の専門家の談話を伝えた。

(原文)Ex-Prostitutes Say South Korea and U.S. Enabled Sex Trade Near Bases - NYT
(魚拓)

原文に1カ所「comfort women」が使われている箇所がありますが「彼女たちは従軍慰安婦と自分達を比較し補償と謝罪を求めている。」という文脈で使われています。