河野談話を守る会のブログ2

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日本政府の約束不履行


              慰安婦問題は、日韓問題ではない

右派論壇や雑誌では、しきりに慰安婦問題を「日韓間の問題」として宣伝している。これは慰安婦問題を韓国と日本の国家間対立の問題として歪曲しており、そうなるとその解決は「ケンカしてるだけなので、和解せよ」と言う事になってしまう。

しかし、「慰安婦問題」はそもそも「日韓国家間の問題」ではない。被害者たちは、日本が侵略した全ての国と民族にまたがっており、彼女たちと日本政府(と国民)の問題が「慰安婦問題」である。就任以来朴政権は何度も公式に慰安婦問題を解決するように日本政府に要請して来たが、それは解決を促しているだけである。これを称して「反日である」などとも言えない。朴クネ氏は韓国右派に属しており、反日的な人物ではない。そしてこの慰安婦問題の解決は「韓国政府と日本政府の和解」ではなく、日本政府が被害者の主張にいかに答えるか?である。


            被害者の要求

被害者の要求は、おおむね「水曜デモ」のつぎの7つの要求に示されている。これは韓国の被害者だけの声ではないのだ。

(1)日本政府は日本軍『慰安婦』強制連行の事実を認めよ!
(2)これに対して公式に謝罪せよ!
(3)蛮行の全貌をあきらかにせよ!
(4)犠牲者たちのために慰霊碑を建てよ!
(5)生存者や遺族に対して賠償せよ!
(6)このような過去が繰り返されないために
歴史教育の場でこの事実を教え続けよ!
(7)責任者を処罰せよ!

このほとんどが、「河野談話」にすでに示されているが、残念ながら日本政府はこれを履行していない。

私が尋ねたところ、被害者たちが最も望んでいるのは、(6)ののような過去が繰り返されないために歴史教育の場でこの事実を教え続けよ!」である。

これはやはり「河野談話」で謳われている。

「われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」と述べているにも関わらず、日本政府はまったく約束を履行していない。ゆえに韓国ばかりではなく、国連からも毎年のように「教育」の求める勧告がなされている。

どの政権も「河野談話を踏襲する」と述べるにも関わらず、1997年には中学歴史教科書の全てに書かれていた「慰安婦」は、2007年には、ほとんど消えていた。これは、自民党政治家の圧力とその意を受けた文部省からの圧迫が教科書会社に加えられたからである。

さて、その内実を見てみよう。

          町村信孝文部大臣の答弁

永野茂門は、1994年(平成6年)5月6日に戦争について妄言をしてたった11日間で法務大臣辞任した。
太平洋戦争について侵略戦争という定義付けは間違っていると思う。戦争目的そのものは当時としては基本的に許される正当なものだった」また、南京大虐殺について「あれはでっち上げだったと思う」という盲目的な歴史論であった。

その永野議員がその後、98年6月8日の行財政改革・税制等に関する特別委員会町村信孝国務大臣に教育について質疑した。

この質疑の中で、町村大臣は、「歴史教科書はバランスに欠く」ので「今後の教科書の検定、あるいはそのもう一つ前の執筆の段階から各編集者に、もう少しいいバランスを保てないんだろうか、そして採択の段階でもう少し改善すべき余地はないんだろうか、そんなことを今教科書検定に関する審議会で御議論している」と述べている。

まずここまで確認していただきたい。


検索システム〉による

 町村大臣のやっていらっしゃることに全く同意であります。国じゅうを挙げてこの教育改革キャンペーンを力強く推進する必要があると思いますので、大臣は今のようなことで頑張っていただきたいと思います。
 次に、時間が迫っておりますが、教科書、特に歴史教科書問題について大臣はどういうような所見をお持ちでしょうか、承ります。


 歴史教科書、それぞれ検定を経て採択をされて使用されているわけでございますから、それぞれにおいて誤りがあるとは思っておりません。
 ただ、私も幾つかの教科書を読んでみたときに、全体のバランスがどうかなというところでいささか欠けている点があるのではないか。特に明治以降の日本の歴史というものを振り返ったときに、当然、よかった点あるいは反省すべき点、両方あるんだろうと思いますが、いささか日本の歴史の特に明治以降、否定的な要素を余りにも書き連ねている印象を与えるそういう歴史の教科書が多いような印象を私も個人的に持っております。
 その辺を今後の教科書の検定、あるいはそのもう一つ前の執筆の段階から各編集者に、もう少しいいバランスを保てないんだろうか、そして採択の段階でもう少し改善すべき余地はないんだろうか、そんなことを今教科書検定に関する審議会で御議論をいただいているところでございます。

永野茂門君 
私は、今のような教科書では大臣がねらっていらっしゃる、あるいは総理が所信表明でお示しになったような人材は育ちにくいのじゃないかと。この際、今おやりになっておるそうでありますけれども、教科書検定制度について検討していただくことをお願いしておきたいと思います。
 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、総理、この際、教育改革についての御決意を改めてお伺いしたいと思います。




まり、「侵略戦争ではない」「南京虐殺はでっちあげ」論者の永野が納得し、「頑張っていただきたい」と応援するような「教育改革キャンペーン」を推進し、その一貫として、検定やそれ以前の執筆の段階から各編集者に、改善要求する手段を「教科書検定に関する審議会」で話しあってると言うのだ。

この答弁のとおり、1999年1月文部省は、教科書会社経営者に「もっとバランスのとれた内容にせよ」「著者を見直せ」と要求・指導した。
もちろん、これは要求とは言え、実質強要に近いだろう。教科書会社にとって、検定に通るかどうかは死活問題だからである。
ために東京書籍、教育出版、帝国書院は、1999年8月、教科書の慰安婦記述から「従軍」と「強制」を削除した。その後、12月には首相官邸筋から
教科書会社社長に対して、「慰安婦記述について慎重に行うように」電話があったという。この圧力によって4社が「慰安婦」を教科書から削除したのである。(『危ない教科書NO--もう21世紀に戦争を起こさせないために』

こうした絶え間ない圧力が教科書会社に掛けられた結果、現在の中学歴史教科書には、「慰安婦」の記述が消えてしまったのである。

歴史の事実を政治的圧力によって変えようとするとは・・・。