河野談話を守る会のブログ2

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「慰安婦問題全国行動」から右派報道に対して抗議声明


広島大学の件で「慰安婦問題全国行動」から産経新聞を主とする右派報道に対して抗議声明が出ている。






抗議声明
 
産経新聞らに抗議し、映画「終わらない戦争」を上映し続けます
 
日本軍による戦時性暴力という歴史的事実を否定し、「慰安婦」被害者たちを貶める発言や行動をためらわない人々がいます。それは「在日特権を許さない市民の会」(在特会)らレイシストグループだけでなく、産経新聞をはじめとする右派メディア、さらには安倍首相と一体になった日本維新の会等の国会議員を含み、一大勢力となっています。いま、河野談話を否定する動きのみならず、決して見過ごせない出来事が起こっています。
521日、産経新聞は、歴史戦第2部「慰安婦問題の原点」と題した特集記事で、広島大学での講義で映画「終わらない戦争」が上映されたことを紹介、一人の学生の投書「いつから日本の大学は韓国の政治的主張の発信基地に成り下がってしまったのか」を口実に、上映した韓国籍准教授を批判しました。そして、この報道が出るや、大学と准教授に対して執拗な非難と嫌がらせ、脅迫まがいの抗議が続いているとの事です。
ドキュメンタリー映画「終わらない戦争」は、国連人権政策センターの企画を受けて韓国の金東元監督によって2008年に制作されたものです。金監督が制作を引き受けたのは、被害者の証言こそがなによりも真実を訴える力があると確信したからでした。
映画制作の目的は米議会での日本政府に対する「慰安婦」問題解決を求める決議を促すことでしたが、2007年7月、映画撮影中に下院議会が満場一致で決議し、その感動的な場面も映画に収められています。
私たちは、この映画の第二の目的は、日本の人々、とりわけ若者たちに見てもらうことではないかと考え、日本語字幕版を製作、日本での上映および教育現場での活用を進めてきました。
映画を提供したことで、高校生や大学生の感想文が送られてくることがあります。ある高校生は「知らなかった事実や現実を受け入れることは辛かったが、いまだにこの事実を受け入れようとしない日本にとても腹が立つ。」と書き、別の生徒は「日本人として恥ずかしく、情けなくて、なぜ日本政府は認めることができないんだろうと思いました。」と書いています。産経新聞の投書のように受け取る学生はもちろんいるでしょう。しかし、多くの学生は映像を観て、被害者の言葉に耳を傾け、自分の頭で考えようとしています。被害者の証言を「うそ」と感じるか「事実」と感じるかは、見た人の心のうちにあるものです。元「慰安婦」の証言をウソだと一方的に決めつけて、映画を見せてはいけない、都合の悪い歴史的事実を教えないというあり方が果たして教育といえるでしょうか。被害女性たちは今も辛い痛みに向き合っており、日本の謝罪こそが被害者、そして日本にとっても真の解放と平和を意味することを映画は伝えようとしたのですが、この学生が掴み取れなかったことは残念です。
日本軍「慰安婦」被害者が声をあげて23年、いまもなお解決の道筋は見えていません。この間、各国の被害者と支援団体、そして多くの日本人は、日本政府が歴史的事実から目をそらすことなく、責任を認め、被害者に心からの謝罪と賠償を行うよう求めてきました。河野談話の裏付けとなった政府史料に加え、学者などが史料を発掘して明らかになった新事実も数多くあります。しかし、日本政府は、歴史教科書からその記述を消し、さらには「慰安婦」募集の強制性を認めた河野談話を否定することで、被害者などいなかった、「慰安婦」問題などなかったと思わせようと画策しています。一方、国際的には「慰安婦」問題は現在も続く戦時性暴力の象徴的存在として広く認知され、解決を求める声が世界各国に広がっています。
産経新聞は安倍政権の主張に忠実なメディアとして一連の特集を組んでいますが、中には事実と異なる写真や記事が少なからず含まれます。「慰安婦」問題に対する悪意を持った攻撃を直ちにやめるよう求めます。
私たちは、このような攻撃をはねのけ、一日も早く「慰安婦」問題を解決するために、多くの人に映画「終わらない戦争」を届け、被害者の声、そして戦争の事実を伝え続けます。
 
201462
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動/日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワ
169-0051東京都新宿区西早稲田2-3-18AVACOビル2F
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam気付)
TEL080-6185-9995





事件の経過を最初から述べると、産経が以下のような記事を書いた。


これが、呼び水となり、維新や在特から崔准教授と映画「終わらない戦争」への攻撃が繰り広げられた。
そこで日本科学者会議広島支部から以下のような抗議がなされた。

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日本科学者会議広島支部

 
 広島大学、崔真碩准教授へのサンケイ新聞による不当な攻撃を許すな】


 
産経新聞』報道を契機とする言論への圧力を許さず,学問の自由を守ろう

  5月21日付『産経新聞』は,広島大学に勤務する韓国籍の准教授の授業で,従軍慰安婦の問題が取り上げられたことを批判する記事を第1面に掲載した。当該准教授は「演劇と映画」と題するオムニバス形式の授業の自分の担当回で,もと従軍慰安婦が証言を行っているシーンを含む「終わらない戦争」という映画(金 東元監督.2008年製.韓国語/日本語字幕60分)を上映し,それに自身のコメントを附すかたちで授業をおこなった。もちろん,この授業は「韓国の政治的主張」とは何ら関係がない。映画の上映は「演劇と映画」を論じるこの授業の素材として妥当であり,それをどう判断するかは学生にまかせるべきである。仮に学生が異 論を唱えたとしても,それは学生と教員との間の相互理解にゆだねるのが正当な対処であって,外部の報道機関が介入するべきではない。

  しかし,今回,聴講していた学生のひとりがこの授業内容を不快に思い,『産経新聞』に投書したことを契機に,『産経新聞』は,同じ授業を聴講していた他の学生への取材や,当該准教授にたいする充分な取材をおこなうことなく,当該准教授へは電話での質問だけで,この記事をつくりあげた。当該記事では,「いつから日本の大学は韓国の政治的主張の発信基地に成り下がったのか」との投書をおこなった学生の言い分を根拠に,当該准教授が,『産経新聞』の指摘する「河野談話」の問題点を説明せず,学生に議論の余地を与えることなく,一方的な主張を押しつけたとした。この記事が出されて以降,広島大学には"抗議"の電話等が殺到している。多くが,「国民の税金で運営されている国立大学でこのような反日的教育がおこなわれているのはけしからん」という内容である。

  かつてドイツでは,政権獲得前のナチス党が,その青年組織に告発させる形で意に沿わない学説をもつ大学教授をつるし上げさせ,言論を萎縮させていった歴史がある。その忌まわしい歴史を彷彿とさせる本件にたいして,われわれが拱手傍観しているようなことがあれば,特定の政治的主張をもつ報道機関がその意に沿わない講義のひとつひとつを論評し,特定の政治的主張をもつ外部のものが大学教育に介入してくるきっかけを与えることになる。

 そもそも,学問の自由は日本国憲法が保障する基本的人権のひとつであり,大学の授業で教員は,自身の学問的信念に基づいて教育研究を行う自由をもつ。もちろん,その教育研究に対して学生が異議を唱えることも当然の権利であり,教員はその異議を受け止め,相互理解を深めることによって,学問の府である大学の教育研究が深化する。よしんば,学生が大学の講義内容への告発を報道機関に行った場合でも,当該報道機関はそれを大学内部における教員と学生の対話によって解決するように対処するべきであり,充分な裏付けも取らずに扇情的な記事に仕立てることは,大学における言論のあり方を否定し,教員と学生の信頼を壊すものである。また,公正な報道をもって社会の木鐸の機能を果たすべき新聞が,学生の1通の投書をもとに、特定の教員の講義内容を攻撃することは、学問の自由への侵害であるとともに,著しく公正を欠くものである。

 日本科学者会議広島支部は,広島大学当局に学問の自由を守るために毅然とした姿勢をもとめるとともに,広島大学内外のすべての大学人にたいして,今回の事態に際し,特定報道機関その他からの言論への圧力を許さず,ともに学問の自由を守る行動をとるように訴えるものである。
 
                                          2014年5月23日
                                          日本科学者会議広島支部幹事会
 
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説明
 
 教養教育科目の一つとして提供された講義について、それを受講していた学生が、その内容に対する不満を産経新聞に投稿し、それを受けて同紙が5月21日に新聞の1面で取り上げ、学生の主張を無批判に取り上げ、講義を不当に攻撃しました。

その記事の趣旨は、授業が従軍慰安婦問題について、根拠のない極めて偏った内容であり、韓国の主張を一方的に表明したもので、討議の余地を与えないものだとするものです。

 それを受けて、日本維新の会の中丸啓議員が、衆議院の内閣委員会で文部科学省に説明を求め、ネット上では、担当教員に対する不当な非難と中傷が行われ、大学宛に多数の抗議が寄せられています。遂には、「在日外人の特権を許さない市民の会」(在特会)が当該講義の開催を阻止するといって来ている。

 授業内容についての不満を、外部のマスコミや政治団体が取り上げ誹謗中傷するという事態は、大学における学問の自由に対する重大な侵害であり、学生・教職員が安心して意見表明できる場を奪うものです。また、とりわけ韓国籍の教員に対して理不尽な攻撃をしていることは、自由で平和な一つの大学を建学の理念とし、世界に開かれた大学をめざす広島大学にとって、無視できない問題です。




こうした事態を受けて冒頭のような抗議声明が出されたのである。