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「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」のホームページから「産経の誤報・捏造」について


 「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」から



産経新聞誤報に抗議

 「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」と「第12回アジア連帯会議実行委員会」は、『産経新聞』5月25日付「『歴史戦第2部 慰安婦問題の原点』~『日本だけが悪』周到な演出」の記事中に多数の虚偽、誤りが発見されたため、8月6日付で「訂正要求書」を産経新聞社に送り、その対応を待っていました。
 
 しかし、9月18日付で産経新聞社から送られてきた回答書には、訂正記事を載せたことのみで、お詫びの言葉もありませんでした。これは、吉田清治証言の虚偽をめぐり産経新聞社が朝日新聞社の事後の対応を批判し続けてきたことを、そのまま自ら行っていることになるのではないでしょうか。 
 私たちは産経新聞社に直接謝罪を要求すると同時に、産経新聞社の対応のダブルスタンダードを明らかにすることで、産経新聞に反省を促すため、当団体と産経新聞社とのやりとりをHPに掲載することにしました。
 

■訂正はしたがお詫びはなし


 この間、産経新聞は朝日の「誤報」について、「訂正したが謝罪はなかった」「間違いを認めるなら謝罪すべき」と主張してきました。しかし、今回の訂正に伴い、謝罪の言葉はありませんでした。
 
 また、訂正を要求した5項目中、訂正・取消をおこなったのは
  • 3面掲載の写真と写真説明
  • 間違った団体名の訂正
 の2点のみでした。
 その他の3点について産経新聞は「回答書」で、「改めて取材先である館雅子氏に確認」したが、「館氏自身が経験として述べておられる内容であって、事実であると認識」している、従って「訂正する事情はない」としています。
 
 ここで疑問がわきます。 

そもそも、たった一人の「経験」談に頼って、「裏付け」もなく記事を書いていいのか?  

産経新聞はことあるごとに「裏付け」を強調してきた新聞ではなかったか?
 第1回アジア連帯会議には日本からも多数の参加がありました。従って、館氏の記憶が事実か否かを確かめようと思えば、他の参加者への取材で確かめることができるのです。まして、記事に対する訂正要求が出ているのですから、「改めて」他の参加者に取材をするべきところ、「改めて」館氏にだけ聞いて「事実であると認識」したと言うのです。
 実は、産経新聞はもう一人、第1回アジア連帯会議の参加者に取材して、5月25日付記事を書いています。3面で「日本だけをたたく韓国とは違う視点を示した台湾やタイの女性に対し、『余計なことを言うな!』と怒鳴った相手」と名指しされている高橋喜久江氏です。ところが、高橋氏は取材の際、産経記者から、このように「怒鳴った」か否かについては質問を受けていないと言っています。

「怒鳴った」張本人と名指しするのであれば、本人への確認は不可欠ではなかったか?  

なぜ、わざわざ取材に行って、肝心のことについては確かめもしなかったのか?
 

■訂正せざるを得なかった明らかな捏造

 他にも疑問は尽きません。
 今回取消した写真と写真説明は、さすがに取消さざるをえなかったのでしょう。何しろ、全く違う集会の看板が掲げられていることが、新聞紙面で見てもハッキリと分かるのですから。
産経新聞』5月25日付3面に掲載された写真
 
この写真を直に見た記者が、この看板の文字に気がつかなかったということがあり得るのか?  

この写真を提供した館氏は本当にこの写真を第1
回アジア連帯会議の写真だと思って提供したのか?
 これは、いずれも答えはノーだと思います。分かっていて掲載したのでしょう。
では、なぜ明らかに違う集会の写真を第1回アジア連帯会議に参加した被害者たちだと説明までつけて掲載したのか? 

 それは1面記事で、「チマ・チョゴリを着た4~5人の元慰安婦女性」に、「活動家とみられる日本人女性や韓国人女性」が「シナリオ通りに言わせるために」「振り付け」をしているところを館氏が偶然見てしまった、と虚偽を記載しているためです。この嘘に真実味を持たせるために、明らかに違う集会の写真と分かっていながら、チマ・チョゴリの女性たちの写真を掲載しなければならなかったのでしょう。
 なぜなら、第1回アジア連帯会議に参加した韓国の被害者9人のうち、チマ・チョゴリを着ていた人は一人もいなかったからです。
(写真)第1回アジア連帯会議で発言する日本軍「慰安婦」被害者たち
 
 このように、第1回アジア連帯会議に参加した被害者は誰一人、白いチマ・チョゴリなど着ていません。この写真を掲載したら、館氏が嘘を言っていることがバレてしまいます。それで明らかに違う写真を持って来て載せたのでしょう。
 もう一つを紹介しましょう。館氏が韓国ソウルから戻って、「婦人有権者同盟」の機関誌に書いた報告文です。まずは写真に注目してください。
 
 ナント、帰国後すぐに書いた報告文では、被害者たちの「本当の写真」を使っています。館さん、本当の写真も持っているんですね。 
 この報告には、「インドに住むタイ人女性」や「台湾の女性」が「韓国側が要求する個人補償を求めない考えを表明」したとか、それに対して「激しいヤジが飛んだ」とか、「議長席に詰め寄る人などで会場が騒然となった」という報告はありません。(第一、会場には議長席なるもの自体がありませんでした)。そして「日本が歴史的な事実から逃げるか、向き合うか。戦後の冷戦構造の枠組みの陰で、戦後補償をなおざりにしたツケが今、回ってきたのである」と、報告文は締めくくられています。
  
 私たちは、当時の会議参加者による報告文を他にも入手しています。また、会議の資料集も入手しています。それらのどこにも、「館氏自身が経験として述べておられる内容」、産経が「事実であると認識」している内容はありません。当然ですよね。館氏自身が当時書いた報告文の中にすらないのですから。
 このような人の「経験」なるものだけを根拠に、「事実であると認識」していると開き直る産経新聞に、他紙を批判する資格があるのでしょうか。
 
 最後に『朝日新聞』の検証記事に対する『産経新聞』の記事から2つほど引用しておきましょう。
・結局、「騙(だま)された」「騙した方が悪い」とすべて他人のせいにしている。それでは「相手の言うことをうのみにして記事を書いているのか」ということになる。かえって読者の信用を落とすのではないか。(『産経新聞』2014年8月8日付「記者の自負心もうないのか」元朝日新聞ソウル特派員・前川惠司氏)
・朝日は検証で「意図的な事実のねじ曲げなどはありません」と非を認めなかった。少なくとも事実と異なることを流布させたのだから、せめて謝罪や訂正があってしかるべきだが、それもない。(『産経新聞』2014年8月8日付「朝日新聞慰安婦問題を考える』を検証する 随所に自己正当化と責任転嫁」
 
 私たちは産経新聞社に対し9月24日、抗議とさらなる訂正を求める書簡を送付しました。