戦後70周年 <安倍談話>がもし「強制」「侵略」の言葉を削除したら、日本はどうなるか?
「村山談話と同じものでは出す意味はない。同じ表現にはならない」
歴史修正主義内閣として、その危険性が米国議会の報告書でも述べられている安倍政権である。
1992年の12月、生まれた当初から、安倍政権は「河野談話」「村山談話」否定を政権の公約としていた。いや逆転勝利を収めた9月の自民党総裁選から安倍氏は「河野談話の見直し」「村山談話の見直し」を訴え、自民党内部に巣食っていた憲法改正+歴史見直し派の応援をとりつけて総裁になったと言える。
ところが、組閣するや否や2013年に初頭には、ジョセフ・S・ナイ氏論文による勧告がなされ、さらには1月7日には米国務省のヌランド報道官が、安倍政権の「河野談話」など過去の歴史認識の 見直しに対する懸念を表明したので、あわてた安倍氏は「河野談話や村山談話を見直さない」意向を示した。
しかし、安倍の支持基盤である「日本会議」「つくる会」ネット右翼などの右派がそれで収まるわけがない。いや教科書議連出身の安倍内閣閣僚たちや、10数年間にわたって執念を燃やしてきた当の安倍自身が収まるわけがないのだ。
韓国朴大統領の「慰安婦問題解決を」という訴えをしり目に、「河野談話」「村山談話」を取り消すための様々な策謀が右派には渦巻いていた。産経新聞、雑誌「正論」、「WILL」、「VOICE」「サピオ」などでは、韓国攻撃、朝日新聞攻撃と河野談話攻撃が目玉商品となり、ネット右翼たちはやれアメリカで「慰安婦の碑」ができると聞いては、醜悪な抗議文を送りつけ、河野談話白紙撤回署名に血道をあげた。
そして絶好の機会が来た。
戦後70周年である。
ここで安倍談話を発表するのは、しごく自然なことだ。(という彼らの計画)
そして、「慰安婦の真実をしめす」ためにのどに突き刺さった棘である河野談話の「強制」を示す文言と村山談話の「侵略」の文言を抜き去るのだ。対外的には「河野・村山談話を継承します」と言っておけばいい。・・・おそらくこうした浅知恵を働かせる者がいるのだろう。しかしそんなことはアメリカ政府も韓国政府もお見通しなのである。
さて天木氏の予見通りに、1月29日に開かれた通常国会は荒れ、安倍は長妻氏の質問に答えをはぐらかしている。
下にこれまでの経過と今回の国会質疑についての報道を掲載するが、細かい部分を知るために国会質疑を報告している山崎氏たちのツイッターも先に掲載しておこう。
安倍首相、総理談話事前の国会議論に否定的
今年発表する予定の戦後70年の総理談話をめぐる議論で、29日の衆議院予算委員会で民主党の長妻代表代行が談話の案を事前に国会に示し議論する考えがあるかただしたのに対し、安倍首相は否定的な考えを示した。
長妻代表代行「十分に事前に国会にもですね、(談話の案を)お示しをいただいて、これはある程度、国会で議論する時間というのは設けていただくということはできますか」
安倍首相「安倍内閣としては安倍内閣の責任の上において談話を発出させていただきたい」
また、長妻氏は村山談話に日中戦争などについて「過去の一時期、国策を誤り」との記述があることを取り上げ、「総理自身も国策を誤ったと考えるか」と質問した。これに対し、安倍首相は「一つ一つの字句について論評するつもりはない。村山談話についても全体として受け継いでいる立場は変わらない」と述べた。
安倍首相は今月25日のテレビ番組で、歴代内閣の談話を全体として受け継ぐと述べた上で「今までのスタイルを下敷きにすると、『今まで使った言葉を使わなかった』『新しい言葉が入った』などこまごました議論になる」などと述べ、これまで用いられてきた表現には、こだわらない考えを示していた。
公明幹事長、「戦後70年談話」で与党協議を要求 (30日18:32)TBS
安倍総理が、この夏に出す予定の戦後70年の談話について、公明党の井上幹事長は、与党による協議を経てから作成すべきという考えを示しました。
「政府与党の間でコンセンサスがないといければいけないというふうに思っていますので作成過程でも、必要があれば、我々の意見は申し上げるということだと思う」(公明党 井上義久幹事長)
井上幹事長はこのように述べて、安倍総理の戦後70年の談話について、与党による協議を経てから作成すべきという考えを示しました。
戦後70年談話について安倍総理は、村山元総理らの談話に明記された「植民地支配と侵略」などの表現を踏襲しない可能性を示唆していますが、井上幹事長は「安倍総理は歴代内閣の基本的な方針を受け継ぐと言っているので、それをしっかり踏まえた談話になるのが当然だ」と述べました。
一方、菅官房長官は、井上幹事長の発言について午後の会見で、「談話の発表にあたっては与党の理解を得ていくことは重要だというふうには考えている」と語りましたが、具体的な協議の場を作る必要があるかどうかについては明言しませんでした。