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軍人たちの慰安所(1)『独山二-もう一つの戦争』(溝部一人)が伝える慰安所



『独山二-もう一つの戦争』(溝部一人編)が伝える慰安所

1990年ごろ、まだ誰も被害者が名乗り出ていなかった時代に日本政府は「慰安婦は業者が連れまわっていた」と答弁していた。まるで勝手に連れまわっていたと言わんばかりの言い草だったが、それから元慰安婦の方々が名乗り出ると共に公文や元軍人、兵士の書いた著作も多数発掘され、「慰安婦慰安所」研究は飛躍的に進んだ。
もはや誰も「慰安婦は業者が勝手に連れまわった」と言えないだろうと思っていたら、まだその手の事を言い募る人がいるらしい。さらに少し違った角度から朴裕河が右派と同様に研究を無視して「業者の責任が大きい」論を振り回し始めた。

彼らは、どんな風に慰安所が造られたか?実証研究の成果がまるで分かっていない。そこで元日本軍軍人・兵士たちがどんなことを書いているかをちゃんと示しておこうと思っている。

さて最初は、溝部一人氏の『独山二-もう一つの戦争』である。著者は溝部氏と同じ部隊にいた軍医であり、慰安所の創設に関わっている。

現地軍が慰安所を造る場合、いくつかの方法がある。
① ひとつは業者(自分たちの故郷の人間の例も)に頼んで女性を送ってもらう場合。
② 次に政府(警察を含む)に依頼して女性を送ってもらう場合。この場合、朝鮮および台湾総督府に依頼する場合もある。
③ 進軍する際に強姦した女性をそのまま、監禁し強姦しつづけるような場合。これは裁判では「慰安婦状態」と表現されている。
④ そして進軍し占領した現地の女性を調達する場合である。こうした場合、スマラン事件のように収容所から女性を集めたり、フロレスの事件のように憲兵が配下とした警察隊に女性を集めさせたりもした。日本軍は占領するとその占領地に食料を割り当てて出させたりしたのだが、(これ自体が押しこみ強盗みたいなものだが、さらに進軍中は、強奪した場合も多い)
村なら村で食料を割り当てるついでに、女性も供出させたのである。戦国時代の国取り領主にでもなったつもりだったらしい。
作者は強制売春をさせられる中国人女性を前に「村の治安のためだと泣く泣く来たのだろうか」「戦に敗れると惨めなものだな」と感想を漏らしている。
この部分は研究者には非常に有名である。ただし『正論」とか『WILL』とかしか読まない右派には有名ではない。自称専門家の西岡力にしてもこうした実証研究のための資料を自分の著作で紹介することはない。考察した様子さえない。自称専門家でさえそうなのだから、その影響下の右派の書く慰安婦本は、到底実証的とは言えないものになっている。いわば空想本だろう。あるいは妄想本というべきか?右派がしばしば引用する話に小野田さんの証言があるが(それぐらいしか無いらしいが)、彼はただ客として慰安所に関わっただけなのでその内実が分かっていなかった。しかし、この作者は、慰安所を造る側にいて、それをこと細かく記録している。その細かい部分がなかなか参考になるのだ。






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赤線は当会による)


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隊長会議で「慰安所」について細かい部分まで決定するという舞台裏

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慰安所を造るという話はあったが、それが具体化したのだと述べている。

それは大隊長にはたのしい事なのでニコニコしていたという。

しかし後で出てくるわけだが、女性たちには決して楽しいことではなかったのだ。



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隊長会議で「慰安所規則を制定し、料金も決定している。さらに女性の源氏名さえ決定している。




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「数名はバージン」「みんな素人だ」と述べている。「受け持ち」とか「最大限一人5人」というのは、要するに「素人なので」性行為をして、やり方を教えるという事だろう。
いわば「水揚げ」である。
朝鮮人や台湾人慰安婦たちの証言では、しばしば軍の将校が役得で、最初に「水揚げ」し、処女を奪うという話がある。その相談をしているのがここだろう。

設備(部屋、受付、洗濯、風呂、便所・・などを造る相談をしている。「各人1カ月あたり100円は稼いでもらう」そうだ。




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軍医として検診しているが、15歳の娘もいて、まるで性体験もない女性もいたのである。
それが犯罪だという意識も無いらしい。


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15才の娘に身体を出させようというのか、コラ! 



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将校クラブに5人回すという。

ここでも「娘娘した者は調教」という話が出ている。
大隊長は嬉しそう・・・なんだそうだ。

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要するに、占領地で女性を徴用、供出させ、兵士の相手として強制売春させる。もちろん、業者が勝手に連れ歩いたものではない。軍人のスケベな意思が造ったのである。それにしても供出は、司馬遼太郎が述べたように「匪賊」というか、ほとんど「犯罪者集団」というしかない。それとも国際法には、銃剣をもって押し入った占領地では女性を出させて戦地奴隷型慰安所を造ってよいという規定があると言うのか。
もし私の住んでいる地域にどこかの軍がやってきて、占領したあげく「食料と女を出せ」と要求したら、町長は住民と相談して泣く泣く、何人かの女性を出すかも知れない。もし私の家族がそんな目に遭ったら私は狂ったように抵抗するだろう。
そういう事を「皇軍」はやったのである。
安倍は「20世紀においては女性の人権が・・・我が国も・・・」と魔法の呪文のように繰り返しのたまうが、何をやらかしたのか?本当に分かってて言ってるのか。もちろん勉強不足の我が国の政治家どもがそんな事を理解しているとは到底思えないのである。