河野談話を守る会のブログ2

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河野談話を引き継ぐというのだが・・・

                    
                1、右派のやって来たこと

2012年8月野田総理参議院で「強制動員した証拠は無い」と話した。 橋下市長は同月の21日「慰安婦が(日本)軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない。あるなら韓国にも出してもらいたい」と語り、共同代表の 石原慎太郎も 「貧しい時代には日本人だろうと韓国人だろうと売春は非常に利益のある商売で、貧しい人は決して嫌々でなしに、あの商売を選んだ」と述べている
これらが安倍政権が閣議決定した事で振りまかれた「妄言シリーズ」の目玉であろうか。安倍首相を含めてたくさんの右派が慰安婦問題に関するバカみたいな理屈=「強制は無かった」を信じているおり、連日日本の国益を害して来た。もちろん、慰安所に有刺鉄線が張ってあったり、逃亡すれば捕まえられ連れ戻されたのが「強制ではない」という詭弁をまともな脳みその持ち主なら信じないだろう。

2007年2月ごろ、米決議案の影響で国会の中で議論が再燃した。口火を切ったのは例によって稲田朋美議員であり、予算委員会で「河野談話を撤回する意思はあるか」と尋ねた。塩崎(官房長官)は「河野談話を継承」と答えたていたが”右翼が趣味”という安倍首相は「強制性を裏付ける証拠はなかったのは事実」(3月1日の記者会見)などと述べて翌日のいくつかの日本の新聞やニューヨークタイムズワシントンポストなどが「安倍は河野談話を否定した」と報道した。

NTやWPの報道は正しい意見だった。安倍は「河野談話」には「強制があった」と明記されているのを「強制はない」と否定しているからだ。元々自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会 http://senkyomae.com/img/url.png 」では日頃から河野談話を否定し、河野洋平氏を呼びだして尋問した事もある。この会は米国慰安婦決議反対 http://senkyomae.com/img/url.png 反対に名を連ねた議員たちのたまり場でもあった。(例えば副幹事長をしていた古屋圭司 、慰安婦妄言でおなじみの西村真悟議員など・・・が反対決議に名を連ねている)

2012年の首相返り咲き選挙中も安倍は、「河野談話に代わって別の談話を出す」と述べていたので、同盟国の米国にさえ修正主義者として警戒されているのが実情である。
一国の総理がこうした妄想発言をした事によって、日本が受けた損害は測り知れないだろう。2007年の安倍政権による「強制の証拠はない」という閣議決定は、強制を広義と狭義い分けるという詭弁の産物であり、日本の右派以外には世界の誰も支持していないのだ。(ニューズウイーク07年3月21日号)

当時、米慰安婦決議案は何度も米議会に提出されていたが、そのつど廃案にされていた(8回だというが、正確なところは分からない)。2006年の決議案は委員会を通過したが、在米日本大使館ロビイストを雇って廃案にした。このロビイストは翌年2007年の下院決議の際にも使われ日本は毎月500万円の巨額資金をつぎ込んでいる。

何度も廃案になった慰安婦決議案であり、今回(2007年)も無理だと予測されていたのが、安倍政権が生まれ、がぜんやる気になった日本大使館は自ら書簡を届けた。さらに歴史修正論者達は何をとち狂ったのか?わざわざ、歴史修正主義を宣伝する意見広告「THE FACTS」を全国紙にぶち上げる。
ネットウヨク同様に本人たちはまともな事を言ってるつもりなのだが、外から見れば甚だ醜悪な捏造に満ちているこの意見広告は米国人の反感を呼んだだけだった。「THE FACTS」に書かれていた数多くの歪曲は『日本軍慰安所制度について』(吉見義明)にしっかりと指摘されている。
これらの活動が逆効果となり、結果「米国慰安婦決議案」の共同提案議員はすぐに42人に急増してしまった。こうした”愛国”のふりをした”反日活動”によって日本の立場は世界の中で日に日に悪くなってきたのである。

2013年、安倍政権は、「バタビア法廷の記録にあるスマラン事件」を閣議決定して認めた。ところが「強制連行」は認めなかった。戦後、凶悪事件として発覚し、首謀者たちがのきなみ有罪となったこの事件にはたくさんの供述書や証言が残っており、「強制連行」があったのは確実だが、これさえも「強制連行」でないという。するといったい何が「強制連行」になるというのだろう?
こうした安倍政権の姿勢を含めて、今世界では注目が集まっている。そしてこれらの不可解な安倍政権の動きは不快感をもって世界に伝えられている。もちろん米国政府は同盟国の首相として、ある程度は庇ってもくれるだろうが。

慰安婦問題の解決に向かう事が、日本の真の国益にかなっているのであり、安倍政権はただちに問題解決へと向かうべきである。後数日で安倍談話が出る見込みだが、「慰安婦」に関してはおそらく何も述べないであろう。



      2、稲田朋美議員の予算委員会での質疑


さて、上で述べた稲田朋美議員の予算委員会での質疑を見ておこう。



○塩崎国務大臣 先ほど来稲田先生から御指摘のいわゆる慰安婦問題につきましては、政府の基本的な立場というのは、平成五年八月四日の河野官房長官談話を受け継いでいるというところでございますし、それは、安倍総理も同様のことを国会で答弁されていると思います。そういうことでございますので、政府としては、この談話を受け継いでいるということでございます。

○稲田委員 私は、内閣として受け継いだということは、それは理解するんですけれども、それが事実関係としてないというのであれば、その根拠がないというのであれば、やはり見直しも考えていただきたいと思います。
 総理は、予算委員会の質疑に答えて、強制性というのは狭義と広義があるんだと。狭義の、例えばこういう米国下院決議で書かれているような狭義の強制性はないけれども、広義の強制性はあるという趣旨なのか、ちょっとそこはわかりませんけれども、広義ということを言い出せば、本当に経済的理由で慰安婦になったとか、そういうことも含まれるのかもしれませんが、そういった点も含めてぜひ検討をしていただきたいと考えております。
 次に、慰安婦の問題につきましては、日本国内で十件の裁判が起こされております。もう既に終わったものもありますが、結果としては、平成十年の山口地裁判決で認容された以外はすべて請求は棄却をされているわけです。しかし、その理由中の判断で、慰安婦に対する不法行為、すなわち米国の下院決議で書かれているような事実があったというふうに認定されているわけです。
 例えば、東京高裁の平成十五年七月二十二日判決。少し読みますと、「ささいなことを咎められて警察署に連行されて、拷問され、福岡と聞いている地に連れて行かれ、毎日何十人もの軍人に性行為を強要された。」などと書かれておりますし、また、平成十六年の十二月十五日判決、控訴は棄却ですけれども、中国で、「日本軍が占領した地域には、日本軍人による強姦事件を防ぐ等の目的で、「従軍慰安所」が設置され、日本軍の管理下に女性を置き、日本軍将兵や軍属に性的奉仕をさせた。」「日本軍構成員らによって、駐屯地近くに住む中国人女性(少女を含む。)を強制的に拉致・連行して強姦し、監禁状態にして連日強姦を繰り返す行為、いわゆる慰安婦状態にする事件があった。」などと、まさに米国の下院決議でしようとしているような内容のことが日本の判決の中に書き込まれているわけです。
 このように、裁判所が、請求自体は棄却しながらも、判決理由の中で事実認定をしているのはなぜかということなんです。私は弁護士をしていたのでその理由は推測できますけれども、この点について、慰安婦からの裁判について事実関係を、すなわち原告が主張している事実関係を国として争っているのかどうか、また、証人だとか当事者が出てきて、証人尋問、当事者尋問をするときに、国の代理人は一問でも反対尋問をされているんでしょうか、法務省の当局にお伺いいたします。

      ↓  部分抜粋
「東京高裁の平成十五年七月二十二日判決。少し読みますと、「ささいなことを咎められて警察署に連行されて、拷問され、福岡と聞いている地に連れて行かれ、毎日何十人もの軍人に性行為を強要された。」などと書かれております」

と稲田は述べているが、これは韓国遺族会裁判 東京高裁判決(2003年7月22日)の沈美子さんの証言であろう。

「平成十六年の十二月十五日判決、控訴は棄却ですけれども、中国で、「日本軍が占領した地域には、日本軍人による強姦事件を防ぐ等の目的で、「従軍慰安所」が設置され、日本軍の管理下に女性を置き、日本軍将兵や軍属に性的奉仕をさせた。」「日本軍構成員らによって、駐屯地近くに住む中国人女性(少女を含む。)を強制的に拉致・連行して強姦し、監禁状態にして連日強姦を繰り返す行為、いわゆる慰安婦状態にする事件があった。」


は、中国人一次裁判 東京高裁判決のことである。判決文はこうなっている。

~(略)~従軍慰安婦が設置され日本軍の管理下に女性を置き、日本軍将兵や軍属に性的奉仕をさせた。八路軍が、1940年8月に行った大規模な反撃作戦により、日本軍北支那方面軍は大損害を被ったが、これに対し北支那方面軍は、同年から1942年にかけて徹底した掃討、破壊、封鎖作戦を実施し(いわいる三光作戦)、日本軍構成員による中国人に対する残虐行為も行われることがあった。このような中で、日本軍構成員によって近くに住む中国人女性(少女も含む)を強制的に拉致・連行して強姦し、監禁状態にして連日強姦を繰り返す行為、いわいる慰安婦状態にする事件があった。(「中国人一次裁判 東京高裁判決」 部分抜粋)


何の問題もない記述である。これのどこをどう争いたいのか?さっぱり分からない。