河野談話を守る会のブログ2

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リー首相の無知を考える




安倍総理大臣や教科書議連に属した閣僚の多くにとって、かつての日本の戦争が「侵略戦争」であった事は決して認めたくない事柄である。とりわけ、その大義なき戦争の中で蔓延した強奪や強姦、数多い民間人虐殺の歴史は、無かったことにしたいのだ。しかし、そんな事は被害国は許さない。なぜなら現に被害者がいるからである。南京事件慰安婦もまだ被害者が生きておられる。今回の70年談話で、安倍がオマケのように触れた「侵略」という言葉も、もし被害国から、あるいは米国からの不断な圧力がなければ、盛り込まれることは無かっただろう。
そういう意味では、「周辺国家は(日本との関係を)損ねるから黙れ」と言いたげだった前回の発言と言い、リー首相の無知の極みというしかない。歴史修正主義がどんなものか、知らないのである。シンガポールは日本が軍事的に自由になり、領土問題でいさかいが絶えない中国をけん制してくれる事を期待しているのかも知れないが、歴史修正主義が今後も台頭するなら、日本は信じられないほど愚劣な、あの戦争をもう一度繰り返すことになるだろう。事実、すでに戦争可能な体制は整いつつあり、戦争自体は繰り返していなくとも、「愚劣さ」の点ではすでに繰り返しつつあるのだ。「愚劣さ」の頂点に達する前に、回避しようとする我々の試みが理解される事は少ないだろうが、歴史修正主義がどんなものかは理解して欲しいと思っている。
歴史修正主義とは、歴史に対する解釈を変えることで、現実の解釈をも変え、未来への選択をも変えようという試みである。それは一個の世界観であり、このブログで述べて来たようにその中核には、国粋主義宗教の世界観が存在しているのである。

その世界観の中では、「日本は常にすごい国(神国)」なのであり、虐殺や強姦などするはずも無い事なのだ。http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64984722.html 現状、「日本すごい」嵐の中で、あの戦争の罪悪を述べる者には必ず汚い言葉が浴びせられるという我が国のお寒い事情を知ったなら、リー・シェンロン首相も、言葉を失うに違いない。残念ながら、この病的な国粋主義の観念はそれ自体は特に問題はないような素朴なナショナリズムと結び付く傾向があるのが我が国なのである。シンガポールの2万人以上と言われる民間人虐殺を無かったことにし、「日本の明確」な責任を否定し正当化する連中もいるのだ知ったら、リー首相も呆れかえるに違いないのだが。





周辺国に「和解」呼び掛け 70年談話でシンガポール

 【シンガポール共同】シンガポール外務省は16日、安倍晋三首相の戦後70年談話と全国戦没者追悼式での天皇陛下のお言葉について声明を発表。日本の「明白な戦争責任」に言及した上で、中国や韓国など周辺国に対し「天皇陛下のお言葉や安倍氏の談話、歴代内閣の歴史認識に基づき、さらなる和解に努めることが重要だ」と呼び掛けた。
 旧日本軍は1942年、シンガポールを占領。抗日運動を抑え込むため多数の中国系住民を殺害したとされる。
 リー・シェンロン首相はことし5月の講演で、日本の従軍慰安婦問題や南京事件をめぐる反省と謝罪が「あいまいだ」と批判した。
2015/08/16 07:01   共同通信