もし日本が自国の負の部分に向き合い、それを解決する型をつくるなら、世界をリードする国となるであろうということ
明らかに日本を糾弾・非難したり、貶めたりするような意図を持っていない。
はっきり言えば、「慰安婦問題を解決するように勧告」するのは、日本への愛である。
「本当の愛国」と言える。
戦前、大日本帝国は軍事力を使って、各国の領土・領地を分捕ることで、アジアを支配しようとした。
だが、そのようなやり方が、長く続くわけがなかった。
必要なのは、軍事力による支配ではなく、信義を重んじ、道理を尽くすことだ。そして支配者になるのではなく、率先して問題を解決し、リードしていく事である。悪事を隠すのではなく、あからさまにし、綺麗に清算することが大切である。そしてそれを理念として示すべきである。
実行される正しい理念は、世界が求めているものである。
ちょうどよい例が我が国にはあるだろう。はるか昔奈良時代、行基という人は、各村に溜池を造り、橋をかけ、奉仕して回った。私度僧の1人にすぎず、当時私度僧は禁じられていたので行基は朝廷から激しい迫害を受けた。にも関わらず、人々は彼を慕い、集まり、「菩薩」と称えた。やがて迫害していた朝廷さえ、行基を称えるようになった。無償の奉仕をする者を世の中はリーダーとするのである。それと正反対のことをやったのが、皇軍だった。彼らは各国に出かけて行っては、そこで食料と女性を奪ったのである。
多くの人が誤解しているが、20世紀中ごろ、アメリカが世界のリーダーとなったのは、その軍事力もあったが、それよりもその打ち出していく理念が世界をリードする内容を持っていたからである。
ドイツや我が国日本も無償援助を受けている。
ネトウヨたちは、1965年に3億ドルの援助資金を韓国に渡したのがご自慢だが、日本は敗戦直後20億ドルに近いガリオア援助を受けている。勝手にアジアの覇者になるために、侵略戦争をおっぱじめた国に対して、よくやってくれたものだ。そして冷戦である。
この冷戦にしても、共産主義よりな人達は、「帝国主義」「侵略戦争」と非難するが、ベトナムにしろアフガンにしろ米国には1円の利益にもならない戦争だったことが重要である。戦争自体は常に悲惨この上ないが、日本軍がやったような領土分捕り目的ではなかった。「自由と民主主義」という理念の戦争であった。
こうした行動によって、世界の価値観をリードして来たのが米国だが、その理念も一種の「自国利益」のために陰りが出て来たのが、1990年以降である。先年の盗聴事件などもあり、今や超一流国ではなくなっている。もっともこの盗聴事件自体はどの国も、諜報員が情報を集めるのは非公式にやっている事なので本気で問題視した政府は無かったが、指導理念の衰退は否めない。
世界のために他国の紛争に介入し、自国を犠牲にしてきた米国が今や余裕を失い自国利益優先になり始めている。それはまた、彼らの精神を形造っていたキリスト教の衰微でもあるのだろう。
ここでもし日本国が率先して「慰安婦」問題を解決するなら、世界をリードする理念を一つ打ち立て、道筋を造ることになる。どの国も自国の負の部分に対する清算は不十分だからである。要するに自国の負に向き合い、その解決の型をつくるべきなのである。
ゆえに日本政府は何をどのように解決するか、十分な清算になるように深く検討すべきである。