「少女像撤去なければ10億円拠出せず」という大本営発表のデマ記事を考える
「少女像撤去なければ10億円拠出せず」という大本営発表のデマ記事を考える
「少女像撤去なければ10億円拠出さない」という記事が３０日から３１日にかけて、日本の新聞におどっている。これらの記事は、朝鮮日報（聯合ニュース）が述べているように「官邸主導」の意図的なミスリードを誘うためのリーク記事であろう。
聯合ニュースが伝えるところでは、韓国政府高官および日本政府関係者はのきなみこれを否定したという。
会談直後の合同記者会見で、尹長官は「少女像問題について、「日本政府が在韓日本大使館前の少女像に関し、公館の安寧、威厳の維持といった観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と述べている。要するに会談で決まったのは努力するよ、程度のものだったのである。
そばにいた岸田外相はこれに抗議してもいない事から考えても「少女像撤去なければ10億円拠出しないよ」というような約束があった事は考えられない。また１１月の時点で韓国政府は「少女像の撤去要求は本末転倒」と返事していたのである。
それをいつの間にか「少女像撤去なければ10億円拠出さない」という話にしてしまっている。
日本国内の新聞がこうした虚偽記事を書いた背景としては、いわいる「日本軍は世界一軍紀が正しい軍隊である」「韓国は反日、日韓断交すべき」「河野談話歴史捏造、破棄すべし」と信じているような妄想的右翼勢力の反発を、官邸が避けるためのものだと思われる。
安倍氏のフェイスブックには、従来政権支持勢力であったネトウヨたちの怨嗟の声が溢れ、桜Ｈや在特会による官邸抗議デモなどがなされており、彼らに対して「少女像撤去なければ10億円拠出さないぞ」と強い姿勢で会談に臨んだのだとアピールする狙いがあるだろう。
こうした「強いリーダー像」を打ち出すことが、安倍政権への支持につながるからだ。要するに偽りを発出ー情報操作して、マインド・コントロールをしているのである。ナチス・ヒトラーや日本の大本営、ソ連のスターリンがやった情報操作と同一のやり方と言える。
まあ確かに嘘を信じ込みやすいネトウヨたちは情報操作しやすい対象ではあるだろう。韓国では、朴大統領が批判する国民に理解を求める声明を出しているが、日本政府は声明を出す代わりに、情報操作し虚偽を広める事で、批判をかわそうとしているのが特徴的である。
安倍氏と近い関係にある産経新聞は「「対中」見据え賭けに出た安倍首相「約束破ったら韓国は終わる」「２８日で全て終わり。もう謝罪しない」 検証「慰安婦」日韓合意」という右翼勢力にアピールする目的が見られる別記事も書いている。また阿比留記者がフェイスブックでしきりにネトウヨを説得している。
もちろん、この手のアルバルーン記事は、官邸が正式発表していないので、韓国政府による正式な抗議は行われない。あくまで民間の新聞・通信社がやっていることなのだ。しかしその新聞・通信社には、安倍氏の寿司友が多く、情報源については守秘義務があり、もらすこともないだろう。こうして、以下に見られるように一斉に、嘘を並べた同じ記事が並ぶという「大本営発表」を思い起こさせる事態が進行している。
かつてこのような全体主義化が起こった際には、行くところまで行ってしまった。暴走を止める力がどこにも無くなってしまったからである。
また滅亡の淵まで行かない限り、気がつかないのだろうか？これ以上進行する前に手をうっておく必要があるだろう。現在日本は進行性の病に患っている。
30日05時03分 朝日新聞は３０日の朝刊にもこの記事を書いている。
● 共同通信４７ニュースは、27日 20時00分、２８日の９時１８分のニュース、１１時及び１５時トップニュース５「岸田氏「ぎりぎりの調整」 慰安婦問題で日韓外相会談へ」の中で会談が行われる前から、「少女像の撤去」とミスリードしており、これが伏線になっているようだ。
30日 22時55分
● 共同通信４７ニュースは30日 18時46分にも 「韓国団体、内外で少女像増設宣言」 と題して「挺対協)」は少女像の設置運動を展開する」と述べた事に対して、「日本は大使館前の少女像の撤去を求めており、韓国側が応じるかどうかは韓国が設立する財団への10億円の拠出を含めた合意の履行に影響する見通し。挺対協は撤去に応じない考えも鮮明にしており、撤去が実現しないまま別の場所で像が設置され続ければ、日本政府は態度を硬化させそうだ。」と書いている。
● 産経ニュースは「慰安婦像撤去が１０億円拠出の条件 韓国政府は「完全な捏造だ」」 .12月31日06:45
◆ １２月３０日の 12:51の朝鮮日報は、「少女像移転が前提」との報道を「ねつ造」と批判＝韓国当局者」 と記事を書いて、「韓国政府当局者は・・・日本メディアの報道について、「完全なねつ造」と強く批判した。」「日本メディアからこうした報道が相次いでいることについて、日本内の保守勢力や右翼団体などの反発を意識したものと認識しているとされる。」としている。
少女像問題が未解決のまま財政負担に踏み切れば、国内世論の理解が得られないと判断しているため。撤去を拠出の条件とすることは、安倍晋三首相の「強い意志」の反映だという。政府筋が明らかにした。
こうした考えは、慰安婦問題をめぐる協議の中で韓国側に伝えているとみられる。
◆ 中央日報 「 ＜韓日慰安婦交渉妥結＞朝日「１０億円、少女像の移転が前提」…日本外務省は否定」 31日09時
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/30/2015123002565.html
慰安婦めぐる日本の報道に懸念強まる 合意揺るがす恐れも
2015/12/30 17:27
【東京聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦問題をめぐり、韓日外相が２８日に発表した合意に含まれていない内容が日本メディアにより「内々の合意」事項などとして報じられ、これに韓国政府が反論する事態が相次いでいる。報道は支持基盤である保守層を意識した安倍晋三首相の「希望事項」が反映されたものとみられるが、韓国世論の反発を呼び、ただでさえ危うい合意を根本から揺るがしかねず、懸念が強まっている。
韓日は外相会談で、慰安婦被害者を支援するための財団を韓国政府が設立し、日本側が１０億円程度を拠出すること、日本側が撤去を求めているソウルの日本大使館前に設置された慰安婦被害者を象徴する少女像について、韓国政府が関連団体との協議を通じて解決に努力することなどで合意した。
朝日新聞は３０日、複数の日本政府関係者の話として、少女像の移転が財団への拠出の前提になっていることは韓国と内々に確認済みだと報じた。
これに対し、韓国政府当局者は「完全なねつ造」と即座に反論したが、韓国のポータルサイトなどには報道を受け韓国政府を批判する書き込みなどが殺到している。
２９日には、韓日外相が前日の会談で、韓国政府が慰安婦関連資料の国連教育科学文化機関（ユネスコ）世界記憶遺産への登録申請を見送ることで合意したとする時事通信の報道をめぐり、攻防が繰り広げられた。
韓国外交部当局者が報道を「事実無根」と一蹴したところ、３０日付の産経新聞は「（韓国が）記憶遺産不参加を否定」と一面トップで報じた。毎日新聞や日本経済新聞なども同様の報道をしている。
登録申請は政府が関与することではなく、韓日間にそうした合意はなかったというのが韓国政府の立場だが、日本メディアの記事は一見すると韓国が登録を申請するという意味に誤解されかねない。
東京都市大の李洪千（イ・ホンチョン）准教授（メディア情報学）は「日本の報道内容は（慰安婦問題に対する）日本政府の解決意欲を疑わせるもの。合意を受けて韓国政府が被害者らの説得に苦労しているなか、こうした報道は韓国の世論を分裂させ、韓国政府の立場を苦しくさせる」と指摘した。そうなると日本政府が望む通りの解決は得られないとし、「日本政府は一方的な自己主張をするのではなく、韓国政府の被害者の説得に力添えすべきだ」と述べた。
先月の韓日首脳会談の前後にも、同じようなことがあった。安倍首相が朴槿恵（パク・クネ）大統領に対話内容の非公開を提案したにもかかわらず、日本メディアは首脳会談の少人数会合で議論されたとする内容を相次ぎ報道し、そのたびに韓国政府は「事実と異なる」などと否定した。
stomo@yna.co.kr
１０億円拠出、像撤去が前提＝元慰安婦支援で安倍首相意向
元慰安婦支援で、韓国政府が設立する財団に日本政府が１０億円を資金拠出することをめぐり、安倍晋三首相がソウルの日本大使館前の少女像撤去が前提との意向を示していることが３１日、分かった。政府関係者が明らかにした。像撤去に先立って資金を拠出すれば、国内世論の反発が避けられないと判断しているためで、韓国政府の対応を注視する考えだ。
日韓両政府は２８日に慰安婦問題で合意した。韓国の尹炳世外相は外相会談後の共同記者発表で少女像撤去について「関連団体との協議などを通じ、適切に解決されるよう努力する」と表明したが、実現時期などは明確になっていない。岸田文雄外相は同日、日本側記者団に「適切な移転がなされる」と説明した。一方、韓国の元慰安婦支援団体は撤去に強く反発している。
日本側は一連の交渉で資金拠出について、「少女像撤去が前提」との方針を伝えているとみられる。これに関し、政府関係者は「像が撤去されない限り、資金は出さないというのが首相の意向だ」と指摘した。
安倍政権としては、像撤去の見通しが立たないまま１０億円を拠出すれば、首相の支持基盤である保守派などが反発しかねないとの懸念が強い。このため、当面、合意履行へ向けた朴槿恵政権の「努力」を見極めていく方針だ。（2015/12/31-19:52）
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151231-00000064-jij-pol
元慰安婦支援で、韓国政府が設立する財団に日本政府が１０億円を資金拠出することをめぐり、安倍晋三首相がソウルの日本大使館前の少女像撤去が前提との意向を示していることが３１日、分かった。政府関係者が明らかにした。像撤去に先立って資金を拠出すれば、国内世論の反発が避けられないと判断しているためで、韓国政府の対応を注視する考えだ。
日韓両政府は２８日に慰安婦問題で合意した。韓国の尹炳世外相は外相会談後の共同記者発表で少女像撤去について「関連団体との協議などを通じ、適切に解決されるよう努力する」と表明したが、実現時期などは明確になっていない。岸田文雄外相は同日、日本側記者団に「適切な移転がなされる」と説明した。一方、韓国の元慰安婦支援団体は撤去に強く反発している。
日本側は一連の交渉で資金拠出について、「少女像撤去が前提」との方針を伝えているとみられる。これに関し、政府関係者は「像が撤去されない限り、資金は出さないというのが首相の意向だ」と指摘した。
安倍政権としては、像撤去の見通しが立たないまま１０億円を拠出すれば、首相の支持基盤である保守派などが反発しかねないとの懸念が強い。このため、当面、合意履行へ向けた朴槿恵政権の「努力」を見極めていく方針だ。（2015/12/31-19:52）
＜ネットの意見＞
yunishio @yunishio
また、韓国政府は、慰安婦像の移転について何も手を打つことができない。民間団体が設置したものだからだ。だから「適切に解決されるよう努力する」と控えめな約束しかできないし、意地悪く勘ぐれば「何もしなくても」約束を破ったことにならない。
yunishio @yunishio
要するに、今回の日韓合意は日本が一方的に義務を負うものであり、外交的「敗北」と見なされるべきものだから、であるからこそ日本政府は「慰安婦像の移転が交換条件」などというデマを国内向けに流す理由がある（韓国側にはない）。
ｆ
