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朴教授がしようと思ったことは「日本社会がいかなるセルフイメージを望むかを知って、そのイメージに合った慰安婦論を提示すること」だった

 
 
知的衰退は、情念の氾濫によって起こっている。
ユング心理学の理論によれば、ある種のアーキタイプが動く事により、知性や理性が退行し、特定の情念に基ずく言動が多くなる。
理性では到底理解できないので、後で正気になって思い起こすとどうしてあんな事をしてしまったのか、自分でも理解できないことが多い。
要するに妙な観念複合に憑てしまっているのである。

かつては日本全体がそうなってしまった時代があった。
70年から80年も前の話である。
国全体が狂っていた。

その時代に引き起こされた問題の中で最も悲惨な問題の一つが朝鮮人労務動員である。そしてその中でも少女たちを巻きこみ、さらに悲惨だったのが慰安婦問題であった。

これについてその問題を資料の歪曲、先行研究の無視、様々な混同を行いながら、慰安婦のイメージを造ったのが朴裕河氏である。
 
 
「『帝国の慰安婦』で朴教授がしようと思ったことは「日本社会がいかなるセルフイメージを望むかを知って、そのイメージに合った慰安婦論を提示すること」だった」という鄭栄桓(チョンヨンファン)明治学院大学准教授の主張に私も同意する。
 
 

 

[インタビュー]日本国内の「帝国の慰安婦」礼賛現象は知的衰退の終着点

 
 
 

在日同胞2世歴史学者の金富子・東京外国語大学教授

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金富子・東京外国語大学教授//ハンギョレ新聞社
 「日本の論壇で(朴裕河<パクユハ>の)『帝国の慰安婦』を礼賛する現象は、1990年代以後日本の「知的衰退」の終着点だ」
 
 韓国近現代社会史と文化人類学を教える同志社大学社会学部の板垣竜太教授、ジェンダー史と植民地期朝鮮教育史を専攻した在日同胞2世で、東京外国語大大学院の金富子教授が共同編集した『Q&A 朝鮮人慰安婦」と植民地支配責任』(原書は御茶の水書房刊、ペ・ヨンミ、コ・ヨンジン訳、サムチャン刊)に出てくる言葉だ。
 
 9日、この本のハングル版出版記念行事でソウルに来た金富子教授(58)に、ソウル龍山区の住宅街にあるゲストハウスで会った。 金教授は「1990年代中盤に躍り出た(“安倍晋三流”の)日本国内歴史修正主義」、そして「朴裕河の著書を支持する日本の進歩(リベラル)知識人のあまりに深刻な(退行的)動き」に対抗して戦うために本を作ったと話した。 そして昨年秋に出版されたこの本のハングル版出版を急ぐことになった理由として「“朴裕河現象”にも見られるように、若い世代が慰安婦問題の本質を(日本以上に)よく知らない韓国にこそ、この本が必要だとも考えた」と話した。
 
日本の進歩知識系の「朴裕河著書」同調に
板垣教授と共に反論著書を出版
慰安婦問題と植民地支配責任』韓国語版

Q&A形式で「事実」の誤りを明らかに
「全体の実状を無視…恣意的な情報操作」
韓国の若年層に「歴史の真実」を知らせたくて
 
 「朝鮮人慰安婦に少女は少なかった?」 、「植民地朝鮮では挺身隊と慰安婦を混同した?」、 「韓国の慰安婦問題解決運動は反日だ?」、 「日本のおかげで朝鮮が豊かになった?」 、「朝鮮人慰安婦は性奴隷ではなく帝国の慰安婦だった?」。Q&A形式で編集されたこの本の小見出しだ。 これらの質問に対する答はもちろん「否」だ。 この本の強みは、それがなぜそうでないかを専門的歴史研究者が提示する文献的・証言的事実(ファクト)で裏付けている点にある。
 
 例えば、「慰安婦=少女」のイメージは「挺身隊を慰安婦と誤解したところから生じたこと」であり、朝鮮人慰安婦」の大多数は少女ではなかった、少女は「少数で例外的」だったという『帝国の慰安婦』の主張こそ事実ではないと金教授は語る。 連行当時の慰安婦被害者たちの年齢は、パク・ヨンシム17(敬称・歳を省略、以下同)、ソン・シンド17、キム・ハクスン17、イ・ケウォル15、クァク・クムニョ17、ソン・パンニム19、パク・ドゥリ17、パク・オクソン17、イ・オクソン15、ムン・ピルキ18、ファン・クムジュ19、カン・ドクキョン16、キム・ヨンスク13だった。
 
 「朴裕河は私が引用した同じ証言集を使っていながら、被害女性の大部分が“10代の少女”だったという全体的な実状を無視し、“20歳以上”という自身の持論に合致する証言だけを選び出すという恣意的で暴力的な情報操作をしている」。金教授は朴教授が言うビルマのミッチーナにいた朝鮮人慰安婦たち(1944年に米軍の捕虜となり米戦時情報局心理作戦班の尋問を受けた)「平均年齢が25歳」は事実でないと話した。 「捕虜になった時、彼女たちの平均年齢は23歳であったし、連行当時は21歳だった。 そして20人のうち12人、すなわち過半数が10代の少女だった」(米戦時情報局心理作戦班「日本人捕虜尋問報告」)。金教授は証言集を検索し捜し出した87人の慰安婦被害者の中に未成年が74人いたという話もした。
 
 当時「日本内務省警保局長通牒」(1938)は、日本本土(内地)での慰安婦徴集対象を「内地の遊女、その他事実上醜業(売春)に従事し満21歳以上、そして花柳病(性病)その他の伝染性疾患がない者」に限定したとされている。 戦力損失を防ぐためには「性病がない若い慰安婦」が必要だったのだ。 「21歳以上と定めたのは、当時国際条約で未成年を20歳未満(1910年条約)、21歳未満(1921年条約)と規定したので、日本の政府がこれを意識した結果であった。 だが、このような条件を満たす女性を内地で集めることは難しく、彼らは朝鮮、台湾、中国などの“外地”に目を転じた。 宗主国である日本は内地とは異なり外地では国際条約を適用することもなかった」
 
 中国の漢口慰安所兵たん慰安担当だった山田清吉も「半島(朝鮮)から来た彼女ら(慰安婦)は(売春)経歴もなく年齢も18、19歳の若い女が多かった」という証言を残した。
 
 これは「慰安婦を“少女”と思いたいのは、植民地を汚れない“純潔な少女”で表象しようとする欲望がさせること」とし「何より“未成年の少女”に対する執着は、むしろそうではない慰安婦たちを抑圧する」(ハンギョレ2016年2月6日土曜版「朴裕河教授の反論」)とか、「韓国の被害意識を育て維持させる上で効果的だったので現れた無意識の産物」(『帝国の慰安婦』)とした朴教授の立論根拠自体を押し崩す。 朴教授と彼女を支持する日本のリベラル知識人は過度な韓国民族主義を恨むが、むしろ彼らこそが「深刻な人類普遍の問題を民族主義問題に縮小歪曲し焦点を曇らせている」ということが金教授の考えだ。
 
 青森県弘前慶尚南道南海郡出身の両親の下に生まれ育った金教授は、北海道大学で史学を専攻し、お茶の水大学で植民地時代のジェンダー歴史で博士学位を受けた。 日本軍慰安婦問題追及のために作ったウェブサイト「fight forjustice(正義のための戦い)」の運営委員、日本の戦争責任資料センター「戦争と女性に対する暴力」リサーチ アクションセンター(VAWW RAC)共同代表も務めている。 3部で構成された本の第2部は、このウェブサイトの内容から選び出し修正・補完したものだ。 彼女は「1990年の日本講演時、慰安婦問題を家父長制の問題だと指摘したユン・ジョンオク梨花女子大教授の講演に大きな刺激を受け」慰安婦研究に本格的に飛び込んだ。 彼女が2005年から2009年初めまでの3年半、韓神大学校日本地域科助教授を務めたのもそのような縁と関係なくはない。
 
 この本に出てくる「日本軍慰安婦問題解決全国行動」の梁澄子(ヤンジンジャ)共同代表は、アニメ『少女の話』に出てくる被害者のチョン・ソウンさんの証言に関して、「自分の意志で行った」というチョンさんの証言部分を故意に削除したと朴裕河教授が主張したが、それは事実ではないとして批判した。 真鍮の器の供出に抵抗した父親が逮捕されると娘のチョン・ソウンが父親を釈放してやるという言葉を信じて、代わりに(慰安婦ではなく日帝当局が要求した)工場の仕事をしに行くとして「それで私が自ら願い出て行ったわけだ」(韓国語版)、「行くと言ってしまったのだ」(日本語版字幕。韓国語版音声もその通りになっている)というのが実際に言ったことだ。 金教授によれば、朴教授はこの証言の部分を作家と運動団体が(自分たちの論旨に不利だという理由で)故意に抜いてしまったと主張したが、実際は抜かずにそのまま残っているということだ。
 
 金教授はまず「これ(この証言)を」自発的に行った」と解釈する朴裕河の感覚を私はとうてい理解できない」とし「また、実際に消してもいない音声を作家または運動団体が消したという話まで作り出して運動団体を“記憶を操作する”人々として描写しなければならなかった理由はいったい何だったか分からない」と付け加えた。
 
 「軍人たちがこっそりと刺してくれたが、一緒にアヘンを刺して、それをやればとても良いと言いながら、女も刺して自分たちも刺して、そのようにしました」というおばあさんの証言を「性的快楽のために」兵士たちと共に麻薬を打ったと感じられるように主張した部分に対しても同じこと。
 
 ジャーナリストの西野瑠美子は「業者が人身売買で徴集し連行したので、日本軍には責任がない」という主張が嘘であることを明快に整理する。
 
 帝国の慰安婦はハングル版と日本語版は違う。 例えばハングル版には日本が植民地支配の謝罪について「公式的にはただの一度も具体的に言及したことがない」となっているが、日本語版にはその部分が「両国の首脳が会うたびに謝罪してきたし、その事実は韓国に一層知らせるべきだが、それ(今までの謝罪)は実に曖昧な表現に過ぎなかった」に変えられている。 そして「上のようなケースに処した日本人もまた、そういう謝罪や補償を受けることはなかった」という話で、植民支配と民族的差別を曇らせ薄めることさえしたと本は指摘する。
 
 日本のリベラル知識人による『帝国の慰安婦』礼賛を日本の知的衰退の終着点だとした人は、朝鮮近現代史在日朝鮮人史を専攻した在日同胞の鄭栄桓(チョンヨンファン)明治学院大学准教授。 彼は韓国語でまもなく出版される著書『忘却のための「和解」 『帝国の慰安婦』と日本の責任』(世織書房)が『帝国の慰安婦』が犯した多くの事実認識上の誤りと矛盾、論理的飛躍を暴くだろうと予告して、日本語版を読んでこそその核心内容を正しく知ることができる『帝国の慰安婦』で朴教授がしようと思ったことは「日本社会がいかなるセルフイメージを望むかを知って、そのイメージに合った慰安婦論を提示すること」だったと主張した。
 
ハン・スンドン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
韓国語原文入力:2016-04-11 19:34
http://www.hani.co.kr/arti/culture/book/739189.html 訳J.S(4038字)