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原告側に「謝罪しろ」と述べた朴裕河氏の奇怪な<調停案>


3月28日に東京大学駒場キャンパスで、慰安婦問題にどう向き合うか  朴裕河氏の論者とその評価を素材に」という題名の研究会が開かれた。


研究会と言っても、討論形式でやる面白い企画だった。ちなみにこの日、私の隣に座っていたのが先日急死された若宮啓文氏である。


さてこの研究会で<全国行動代表>梁澄子氏はこんな指摘をしていた。

朴裕河氏は、調停の際にナヌムの家に「謝れ」と要求した。」

調停というのは、刑事裁判をする前に、日本で言えば示談交渉のような話し合いの場である。ここで話がまとまれば刑事告訴を取り下げてもらえるかも知れないのだから訴えられた側にはチャンスである。

ところが、その調停の場で「原告サイドの人間に謝罪しろと主張した」というのだから、「エッ?」ていうような話である。どうなっているのか?想像が難しい。

そこで資料を取り寄せてみた。
下で公開したのはその翻訳である。

注目は調停案の①と③、⑤だろう。


まず、この調停の時点での経過を簡単に説明すると

2013年8月、韓国で 『帝国の慰安婦』発売
    ↓
ナヌムの家のハルモニたち9人が朴裕河氏を2014年6月16日に名誉棄損で刑事告訴 同時に仮処分申請
    ↓
「出版など禁止」を含む仮処分申請が出ているにも関わらず、11月には日本語版を出版

朴裕河氏は、原告側が出した調停案を「第三国で出す本も韓国で削除された部分を削除すること」という意見を受け入れ難いので拒絶したというhttps://www.facebook.com/parkyuha/posts/1217953421564903。しかし、仮申請中なのに出版しているのである。)

    ↓
2015年2月17日の段階で、仮処分決定
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2015年4月から10月にかけて刑事調停が開かれる


さて
①ではまず、原告に対して、日本の責任を問うために著述された本であり、慰安婦ハルモニたちの名誉を毀損しようとする意図や目的は全くないという事実を認めろ」と述べている。一体どっちが被告なのか?

③は問題部分である。
なるほどナヌムの家の所長安信権と顧問弁護士の朴ソナ」に対して「謝罪」しろ・・・と述べている。

それが和解の条件なのだそうだ。

イメージ 1


(朴裕河著 『和解のために』

『和解のために』という、その実効性はともかく、日韓の政治問題を解決して和解に導こうという著作を書いた人間が考える調停案とはとても思えない。
これではケンカを売っているようなものだ。

④で「削除版を元通り復旧する」というのは、仮処分で削除した部分を元に戻すというのだ。

⑤「今後、原告と被告が互いにお互いを告訴しないことを約束する」
今後メディアを相手に原告/被告に対し誹謗しない」

④⑤ともに一方的に自分のプラスになる事を述べている。相当自己中な人らしい。これで和解が成立すると思っていたのだろうか?

謎である。

ハルモニの側は十分、受け入れられるはずの譲歩した調停案を出しているのだが・・・





朴裕河が提示した第1次調停案> 2015824

 原告側と被告側は、「日本帝国主義と植民地支配と侵略戦争の被害者として、慰安婦ハルモニたちが経験した言葉に言い表せない肉体的、精神的苦痛」に対し深く共感し、20年以上葛藤を繰り返してきた慰安婦問題が、高齢のハルモニたちがこの世を去る前に速やかに解決すべきだということに同意し、そのために日本政府がこれまでの努力に加えて国会決議をはじめとする明白な謝罪と補償の行動に出ることを求める。
 両者はまた、日韓両国市民の相互理解と友好協力の道を開かなければならないことに共感し、次のとおり合意する。
① 原告側は、被告朴裕河の『帝国の慰安婦――植民地支配と記憶の闘い』が慰安婦問題に対する日本の責任を問うために著述された本であり、慰安婦ハルモニたちの名誉を毀損しようとする意図や目的は全くないという事実を認める。
 しかし、初期の読解で結果的に少なからぬ誤読と曲解があったことを原告側は認める。同時に、被告は朝鮮人慰安婦をめぐる様々な状況と慰安婦動員の立体的な構造を探る過程で、慰安婦ハルモニたちが世の中の見方によっては名誉が毀損されたと感じ得る記述があったことを認め、これに対し謝罪する。謝罪の仕方は後日議論する。
21)その過程で、原告側関係者は、同書が慰安婦問題を解決するためにプラスになり得る新しい認識を打ち出すことを目的としており、当然ながらハルモニたちの立場に立って書かれた本であることをハルモニたちが理解し納得できるように努力する。
③ ナヌムの家の所長安信権と顧問弁護士の朴ソナは、民事刑事訴訟当時、被告朴裕河の本が慰安婦ハルモニを誹謗したかのようにわい曲、要約してメディアに配布し、その結果として被告朴裕河が本意とは関係なく、全国民の公憤をかうことになった点について謝罪する。
④  以上の合意を前提として20156月の削除版を元通り復旧する。その際、序文で被告側は同書をめぐる経緯について記述し、本意でなく、慰安婦ハルモニたちを傷つけた可能性があった点について謝罪の言葉を記述する。
⑤ 以上の合意を前提として、原告側は民事刑事訴訟を取り下げ、今後、原告と被告が互いにお互いを告訴しないことを約束する。また、共同記者会見を開いて、この事実を公表すると同時に、今後メディアを相手に原告/被告に対し誹謗しないことを約束する。
 


 
<第2次調停案> 刑事調停委員会201596
本件の告訴人と被告訴人は、「日本帝国主義と植民地支配と侵略戦争の被害者として、慰安婦ハルモニたちが経験した言葉に言い表せない肉体的、精神的苦痛」に対し深く共感し、20年以上葛藤を繰り返してきた慰安婦問題が、高齢のハルモニたちがこの世を去る前に速やかに解決すべきだということに同意し、そのために日本政府の明白な謝罪と補償の行動を求める。
一方、告訴人と被告訴人は日韓両国間の慰安婦問題の円満な解決と同時に両国市民の相互理解と友好協力の道を開かなければならないことに共感する。
ここに、告訴人と被告訴人は次のように調停し、本件を円満に解決する。
 被告訴人らは、被告訴人の朴裕河が著作し、被告訴人のチョン・ジョンジュが出版・配布した本である『帝国の慰安婦』(以下、「本書」という)によって、告訴人を含む慰安婦ハルモニたちの名誉と人格権を侵害したり、侵害する憂慮があることに対し、告訴人および慰安婦ハルモニたちに心から謝罪し、合わせて慰めの言葉を差し上げる。
 告訴人らは、被告訴人が本書を著作・出版・配布した目的が、慰安婦問題を合理的に解決する上でプラスになり得る新しい歴史認識を打ち出すことにあり、慰安婦ハルモニたちの名誉と人格権を侵害する積極的な意図や目的があったとは思わない。
 被告訴人らは、「ソウル東部地方裁判所2014カハプ10095図書出版禁止および接近禁止仮処分」事件の決定主文第1項が禁止した行為を韓国内外で直接的にも、間接的にもおこなわない。
 被告訴人らが告訴人らに上記のような謝罪をするのと同時に、告訴人らは被告訴人に対する本件刑事告訴を取り下げ、「ソウル東部地方裁判所2014カハプ104726損害賠償(キ)」事件を取り下げ、被告訴人は上記取り下げに同意する。
 本件調停費用は各自負担とする。
 



*「ソウル東部地方裁判所2014カハプ10095図書出版禁止および接近禁止仮処分」