菅野完のデタラメ発言を考察する②社会の「右傾化」否定と菅野の立脚点
からの続き
今回のテーマである「右傾化」について書く前に、まず菅野完氏とは何者か?について書いておこうと思います。
彼は、自分のことを「右翼であり、保守である」と述べています。(菅野完著『保守の本分』p3)
「右翼であり、保守」であり、「草莽の臣」
それからツイッターでは、自分を「草莽の臣」と呼んでいます。
「大御心」という言葉


こんな言葉を使う菅野氏のような人間が登場し、本を書いて売れる事自体が、現在の日本の「戦前回帰」「右傾化」を表わしていると言えるでしょう。
菅野氏は「戦前回帰」「右傾化」を攻撃的に否定していますが、http://twilog.org/noiehoie/search?word=%E6%88%A6%E5%89%8D%E5%9B%9E%E5%B8%B0&ao=a我々にとっては菅野氏自身が”戦前の人”のように見えます。
だから、山崎雅弘氏を罵倒してまで否定しているのです。
山崎雅弘氏に対する罵倒
扶桑社から出版
菅野氏の著作である『保守の本分』『日本会議の研究』が共に扶桑社から刊行されている事も忘れてはいけないことです。扶桑社は、右傾化の旗振り役である産経新聞の子会社であり、昔は[新しい歴史教科書をつくる会]の教科書を出版していました。扶桑社の100パーセント出資の子会社である育鵬社は、八木秀次氏らが造った日本会議系の教科書の版元です。
この辺りはどうなっているのか?は、よくわかりません。
菅野氏自身が書いているように、団体買いは日本会議のやり方の一つです。
「谷口雅春先生は偉大なる思索家であり著作者であり霊的指導者」http://www.sugano.ne.jp/2016/04/21/post-0-6/ と自分のブログで述べており、掲示板では「心酔している」、「「民族派としての理論武装」・・・いわゆる「愛国三部書」をはじめとする雅春先生の愛国の情溢れるご著書」 http://shinjiro7.hatenablog.com/entry/2016/07/31/000000 などと賛美しています。
”皇軍がアジアを侵略すれば、「真実の姿」がアジアに現れる”というのですから、かなり狂信的(ファナチック)な人ですが、戦後もその狂気は継続しており、現日本国憲法無効+明治憲法有効論を唱えていました。谷口雅春は、皇軍が戦地で何をしていたのか、戦後も知ろうとさえしなかったのです。そして谷口の盲目さは、弟子たちの歴史修正主義への親和性となったのです。
こうした盲目的な人物を賛美して「愛国の情溢れるご著書」などと言ってしまうところが、菅野氏の右翼的価値観なのだと思います。
その谷口の弟子が椛島氏達ですが、椛島氏と付き合いがあった鈴木邦男氏は、(椛島氏などは、菅野氏の『日本会議の研究』を)「むしろ喜んでいるでしょう。」と述べている事も付け加えておきます。(『日本会議と神社本庁』p200、[鈴木邦男インタビュー])
さほど厳しく批判されたわけでもないし、本当に喜んでいるのかもしれません。
鈴木邦男氏の語る「社会全体の右傾化」
週刊金曜日 成澤宗男編著)

「いまやその辺のおじさん、おばさんが「草の根保守です」と称し、「従軍『慰安婦』は朝日新聞のウソです。」と街頭で演説している時代ですよ。社会全体が右傾化していることもありますが、そうした風潮に日本会議は乗る事ができたのでしょう。」
と述べています。
これに対して、菅野氏のツイッターでの「右傾化」否定発言を並べておきましょう。
①
「安倍政権の反動ぶりも路上で巻き起こるヘイトの嵐も『社会全体の右傾化』によってもたらされたものではなく実はごくごく一握りの一部の人々が長年にわたって続けてきた『市民運動』の結実なのではないか?/「神道政治連盟本丸論」が妄言である理由http://hbol.jp/65505
②
安倍政権の特色は、右傾化でも何でもなく、「既存のルールの破壊」なんだと思う。まさに、反憲路線。
③
④

まあ、当たり前と言えるでしょう。
右傾化は、80年代までは緩やかに進行していましたが、共産主義が敗北の時期を迎えた80年代以降は急激に進行して来ました。http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64294494.html
それは、やはり菅野氏が「偉大な先達」と持ち上げる堀幸雄の著作『戦後の右翼勢力』 http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/63802457.htmlにも書かれている事です。


菅野氏はどうやら、持ちあげた人の本さえろくに読んでいないようです。
21世紀が始まってからはさらに右傾化が進行し、ネトウヨなどという嘘つき軍団が生まれました。それ自体が「右傾化」であり、戦前回帰」の一貫です。
戦前中も嘘つきが蔓延していたからです。http://www.aozora.gr.jp/cards/000231/files/43873_23111.html
それから菅野氏はこんなことを述べています。
路上で在特会を見、新聞で安倍政権を見ると、「日本はなんでこんなに右傾化したんだ?」と思う。が、自分の生活範囲を見渡すとそうでもないことが分かる。で、実際データもそれを示してる。この乖離。。。この乖離が、拙著『日本会議の研究』http://amzn.to/1QfsgVNの出発点、
自分の生活範囲を見渡すと右傾化していないというのですが、元々が右翼の一員である菅野完氏が、右傾化を感じないだけの話です。右傾化を感じる感受性を持っていないのでしょう。
我々は菅野氏が使う「草莽の臣」や「大御心」という言葉自体にも”右傾化””戦前回帰”を感じています。
しかし、当人には違和感が無いわけです。
人間というものは自分の立ち位置によって、物事が様々に見えたりするものです。
自民党の三原じゅん子代議士が、国会審議の場で「八紘一宇」という言葉を肯定的に述べたり、新藤義孝元総務相国会で「皇紀」に言及したりしたのも、そしてまたそれに対して広範な非難が起こらないのも、社会全体の右傾化を示しています。
(三原じゅん子氏は先日の参議員選挙で神奈川県で断トツのトップ当選しています。http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2016/news/20160711-OYT1T50076.html)
そして我々の生活範囲にも、右傾化の波はおとずれています。
日常生活から見た右傾化
第一に言えるのはテレビなどで、「日本スゴイ」系の番組がやたらと増えたことです。戦前中も「日本すごい」ブームがありましたが、それが「大日本は神国である」とした『神皇正統記』から連なる系譜であることを、早川タダノリ氏は述べています。
付け加えるとこの「日本すごい」は、「中国・朝鮮」罵倒とセットになっており、『神皇正統記』や『愚管抄』の時代から高揚しはじめた国粋主義の系譜の中で、山鹿素行の「本朝まされり」や本居宣長の「中国朝鮮は、西方の野蛮」の現代的蘇りです。http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64811138.html

それから、我々のような慰安婦問題関連団体は、ここ数年の日本の右傾化を実感しています。
例えば支援団体の人達の間では、慰安婦問題のチラシを配ったりすると近所の人から、一言文句を言われたり、論戦をふっかけられるするという話が聞かれるようになりました。
それが、ここ数年の話なのです。
ごく普通の主婦たちが、「慰安婦の強制連行はなかった」などと言ってしまう時代なのです。
また、全国行動代表の梁澄子氏によれば大学の授業に参加する者の中に、確実にネトウヨと言える人種が増えたのだと言います。
こうした社会の右傾化は実に明らかであろうと思います。