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菅野完のデタラメ発言を考察する②社会の「右傾化」否定と菅野の立脚点



からの続き



今回のテーマである「右傾化」について書く前に、まず菅野完氏とは何者か?について書いておこうと思います。

彼は、自分のことを「右翼であり、保守である」と述べています。菅野完著『保守の本分』p3)

       「右翼であり、保守」であり、草莽の臣」

それからツイッターでは、自分を草莽の臣」と呼んでいます。

草莽の臣」とは幕末の国学の徒、尊王家が使った天皇国家)の臣下を意味する言葉です。

さらに「天皇の意見」を 大御心」と呼んでいます。



       大御心」という言葉

この大御心」という言葉は天皇は神だ」と教えられていた敗戦までの日本では、山のように使われていました。

今でも天皇を「神」としたい神社の新聞である神社新報にはしばしば書かれています。














神社新報 昭和61年1月6日)            神社新報 平成元年1月23日)↑


こんな言葉を使う菅野氏のような人間が登場し、本を書いて売れる事自体が、現在の日本の「戦前回帰」「右傾化」を表わしていると言えるでしょう。

菅野氏は「戦前回帰」「右傾化」を攻撃的に否定していますがhttp://twilog.org/noiehoie/search?word=%E6%88%A6%E5%89%8D%E5%9B%9E%E5%B8%B0&ao=a我々にとっては菅野氏自身が”戦前の人”のように見えます。

自分の事なので盲目的なのかもしれませんが、菅野氏は、彼が批判しているはず?の日本会議自民党と同様に、戦前の日本の神道的伝統の信奉者なのです。


さらに後に出てきますが、日本会議を仕切っている谷口雅春門下と同様に菅野氏は谷口雅春を崇敬しています。ひところ、稲田朋美氏が、谷口雅春を崇敬している事が話題となりましたが、似たような立ち位置ですね。

日本会議への批判が甘いのは、そのせいでしょう。もっとも重要な部分を批判できないのです。最も重要な部分とは、すなわち神社本庁などの神道勢力が「国体」「国家神道」を復活させたがっているという事です。

国体復活や天皇元首制」については、菅野氏は内心では賛成しているのではないでしょうか?
だから、山崎雅弘氏を罵倒してまで否定しているのです。


              山崎雅弘氏に対する罵倒

一方では日本会議の方向性を、戦前の国体思想の復活だとして鋭く批判している山崎雅弘氏に対して、菅野氏の罵倒は辛辣であり、日本会議に対するよりもはるかに憎しみを感じさせるものです。


要するに、[日本会議の元となる神道思想]への批判を憎んでいるわけです。それは言うまでもなく、彼が右翼だからです。

そして「神社本庁本丸論」「神道政治連盟本丸論」(と彼は名づけた)を否定しています。







                 扶桑社から出版

菅野氏の著作である『保守の本分』『日本会議の研究』が共に扶桑社から刊行されている事も忘れてはいけないことです。扶桑社は、右傾化の旗振り役である産経新聞の子会社であり、昔は[新しい歴史教科書をつくる会]の教科書を出版していました。扶桑社の100パーセント出資の子会社である育鵬社は、八木秀次氏らが造った日本会議系の教科書の版元です。

菅野氏は日本会議の研究』に先立ち、「草の根保守の蠢動」を HARBOR BUSINESS Onlineに連載していましたが、これ扶桑社です。https://hbol.jp/about

この辺りはどうなっているのか?は、よくわかりません。

ただ、日本会議の研究』日本会議が大量に買い占めたという話もあります。日本会議神社本庁p200、[鈴木邦男インタビュー])

菅野氏自身が書いているように、団体買いは日本会議のやり方の一つです。



               [生長の家]の谷口雅春を崇敬している


菅野氏は、日本会議椛島氏などと同様に、[生長の家]の創始者である谷口雅春を崇敬しています。

谷口雅春先生は偉大なる思索家であり著作者であり霊的指導者」http://www.sugano.ne.jp/2016/04/21/post-0-6/ と自分のブログで述べており、掲示板では心酔している」、「「民族派としての理論武装」・・・いわゆる「愛国三部書」をはじめとする雅春先生の愛国の情溢れるご著書」 http://shinjiro7.hatenablog.com/entry/2016/07/31/000000 などと賛美しています。

谷口雅春は、戦時中は軍部に全面協力し、「皇軍天皇のもので、進行するところに実相が顕現」なんて言ってた人です。「実相」というのは「仮のすがたの奥にある真実のすがた」の事です。

皇軍がアジアを侵略すれば、「真実の姿」がアジアに現れる”というのですから、かなり狂信的(ファナチック)な人ですが、戦後もその狂気は継続しており、現日本国憲法無効+明治憲法有効論を唱えていました。谷口雅春は、皇軍が戦地で何をしていたのか、戦後も知ろうとさえしなかったのです。そして谷口の盲目さは、弟子たちの歴史修正主義への親和性となったのです。

こうした盲目的な人物を賛美して「愛国の情溢れるご著書」などと言ってしまうところが、菅野氏の右翼的価値観なのだと思います。

その谷口の弟子が椛島氏達ですが、椛島氏と付き合いがあった鈴木邦男氏は、椛島氏などは、菅野氏の『日本会議の研究』を「むしろ喜んでいるでしょう。」と述べている事も付け加えておきます。(日本会議神社本庁p200、[鈴木邦男インタビュー])

さほど厳しく批判されたわけでもないし、本当に喜んでいるのかもしれません。


                                     鈴木邦男の語る「社会全体の右傾化」

週刊金曜日 成澤宗男編著)
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←この著作日本会議神社本庁の中で鈴木邦男氏は 
「いまやその辺のおじさん、おばさんが「草の根保守です」と称し、「従軍『慰安婦』は朝日新聞のウソです。」と街頭で演説している時代ですよ。社会全体が右傾化していることもありますが、そうした風潮に日本会議は乗る事ができたのでしょう。」
と述べています。


これに対して、菅野氏のツイッターでの「右傾化」否定発言を並べておきましょう。




「安倍政権の反動ぶりも路上で巻き起こるヘイトの嵐も『社会全体の右傾化』によってもたらされたものではなく実はごくごく一握りの一部の人々が長年にわたって続けてきた『市民運動』の結実なのではないか?/「神道政治連盟本丸論」が妄言である理由http://hbol.jp/65505



安倍政権の特色は、右傾化でも何でもなく、「既存のルールの破壊」なんだと思う。まさに、反憲路線。


あとこれはとても重要なので何度も何度も繰り返しますが、神道政治連盟が目立つからとて、神道政治連盟は右傾化の主力ではありません。また、神道政治連盟が唱えていることも、日本会議が唱えていることも、「戦前回帰」なんかじゃありません。彼らが言うのは、戦前にすらなかった別の物です
2015年11月24日


世の中は右傾化していない。その証拠に、次世代の党は、あんな議席しかない。しかし、ネットの空間と、安倍政権だけは右傾化している。な ぜ な ら ば2chで右傾化言説を書き込んでいたのも、安倍政権を支える日本会議のコアも、日本青年協議会だからです。
 2015年11月24日



   [偉大なる先達]魚住昭に「陰謀論の罠に陥る」と批判された菅野氏の右傾化否定


菅野完氏は、日本会議の研究』の中でも、「日本の社会全体が右傾化しているとは言い難い」と書いています。しかしこれは菅野氏自身が「偉大なる先達」と持ち上げる魚住昭氏によって、軽く否定されています。



『創』 2016 ,8号 魚住昭×青木理の対談「日本会議と安倍政権」から)


まあ、当たり前と言えるでしょう。
日本会議在特会など巨大な右翼団体が生まれたことや、安倍政権が誕生した事自体が、「社会が右傾化した」ということです。

右傾化は、80年代までは緩やかに進行していましたが、共産主義が敗北の時期を迎えた80年代以降は急激に進行して来ました。http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64294494.html

それは、やはり菅野氏が「偉大な先達」と持ち上げる堀幸雄の著作『戦後の右翼勢力』 http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/63802457.htmlにも書かれている事です。



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菅野氏はどうやら、持ちあげた人の本さえろくに読んでいないようです。

21世紀が始まってからはさらに右傾化が進行し、ネトウヨなどという嘘つき軍団が生まれました。それ自体が「右傾化」であり、戦前回帰」の一貫です。

戦前中も嘘つきが蔓延していたからです。http://www.aozora.gr.jp/cards/000231/files/43873_23111.html

それから菅野氏はこんなことを述べています。

 路上で在特会を見、新聞で安倍政権を見ると、「日本はなんでこんなに右傾化したんだ?」と思う。が、自分の生活範囲を見渡すとそうでもないことが分かる。で、実際データもそれを示してる。この乖離。。。この乖離が、拙著『日本会議の研究』amzn.to/1QfsgVNの出発点

自分の生活範囲を見渡すと右傾化していないというのですが、元々が右翼の一員である菅野完氏が、右傾化を感じないだけの話です。右傾化を感じる感受性を持っていないのでしょう。

我々は菅野氏が使う「草莽の臣」や「大御心」という言葉自体にも”右傾化””戦前回帰”を感じています。

しかし、当人には違和感が無いわけです。
右翼団体構成員、ファシストと酒を飲んで、天皇談議に花をさかせる菅野氏ですから、右傾化は望むところなのでしょう。

人間というものは自分の立ち位置によって、物事が様々に見えたりするものです。

自民党三原じゅん子代議士が、国会審議の場で「八紘一宇」という言葉を肯定的に述べたり、新藤義孝総務相国会で「皇紀」に言及したりしたのも、そしてまたそれに対して広範な非難が起こらないのも、社会全体の右傾化を示しています。
三原じゅん子氏は先日の参議員選挙で神奈川県で断トツのトップ当選しています。http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2016/news/20160711-OYT1T50076.html

ネットや雑誌では「反日」「売国奴」「国賊」という言葉が多用されるようになり、戦前の言葉が蘇って来ましたが、こうした言葉の復活は思想の復活を示しているのです。
青木理氏が述べているように、少し前なら非難されたような右翼的発言が堂々とできるように社会が変化しているのです。それは「慰安婦」問題ではつぶさに観察することができることです。

そして我々の生活範囲にも、右傾化の波はおとずれています。

                日常生活から見た右傾化

第一に言えるのはテレビなどで、「日本スゴイ」系の番組がやたらと増えたことです。戦前中も「日本すごい」ブームがありましたが、それが「大日本は神国である」とした『神皇正統記』から連なる系譜であることを、早川タダノリ氏は述べています。
付け加えるとこの「日本すごい」は、「中国・朝鮮」罵倒とセットになっており、神皇正統記』や『愚管抄』の時代から高揚しはじめた国粋主義の系譜の中で、山鹿素行「本朝まされり」本居宣長「中国朝鮮は、西方の野蛮」の現代的蘇りです。http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64811138.html



            慰安婦問題支援団体の人達が語る社会の右傾化

それから、我々のような慰安婦問題関連団体は、ここ数年の日本の右傾化を実感しています。
例えば支援団体の人達の間では、慰安婦問題のチラシを配ったりすると近所の人から、一言文句を言われたり、論戦をふっかけられるするという話が聞かれるようになりました。
それが、ここ数年の話なのです。
ごく普通の主婦たちが、「慰安婦の強制連行はなかった」などと言ってしまう時代なのです。

また、全国行動代表の梁澄子氏によれば大学の授業に参加する者の中に、確実にネトウヨと言える人種が増えたのだと言います。

さらに、大学で南京事件を教えている 片野真佐子氏は、「質問する学生は、たいてい右寄りです。」「今は、大学とは名ばかりの状態です。」と述べています。


こうした社会の右傾化は実に明らかであろうと思います。