秦郁彦論説の嘘・デタラメ・捏造・歪曲・誤解(4) 「「海軍慰安所利用内規」について
読めば読むほど、デタラメを見つけてしまう著作がある。
読み返す度に、新たな問題点、疑問点を発見してしまう。
資料に問題あることもあれば、論証に問題が見つかることもある。
金富子は、秦を「歴史修正のマエストロ」と評したが、なるほどその通りではなかろうか。
「海軍慰安所利用内規」の論証の問題点
この中には、
と書いてある。
しかし、日本軍の責任(国家責任)をできるだけ軽減したいらしい秦は、この「管理経営は海軍司令部に於てー括之を行ふ」と書いてあるこの資料まで文句をつけている。
こう書いているのだ。
「管理経営は海軍司令部に於てー括之を行ふ」と書いていても、もしかして「民営」かもしれない というのだ。
その理由は 「料金は業者に支払うようになっていた」からである。
つまり、ここには「経営すればその利益は経営者が得るもの」という考え方が根底にあるのである。だから、お金が業者に行けば、それは「民営」の可能性もあるじゃないか、というのである。
しかし、これは「経営」という言葉に関する無知からきている。
「経営」とは、「目的のために組織を運営すること」である。デジタル大辞泉で調べてみても、それは必ずしも、営利目的の企業の経営を意味するものではなく、「事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること。」としており、「国家の経営」なども含まれている。
デジタル大辞泉の解説
けい‐えい【経営】
[名](スル)
1 事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること。また、そのための組織体。「会社を 経営 する」
2 政治や公的な行事などについて、その運営を計画し実行すること。「国家の 経営 」
3 測量して、建物をつくること。
「十兵衛が辛苦―むなしからで、感応寺生雲塔いよいよ物の見事に出来上り」〈露伴・五重塔〉
4 物事の準備や人の接待などにつとめはげむこと。けいめい。
「湯を沸(わ)かすやら、粥(かゆ)を煮るやら、いろいろ―してくれたそうでございます」〈芥川・運〉
5 急ぎあわてること。けいめい。
「早朝告げあり。―参入す」〈小右記・長保元年一一月〉
とすれば、ここでこの資料でのべた「経営」とは、「海軍司令部が、兵の慰安目的で慰安所を運営したこと」を意味しており、その料金を誰が受け取ったとしても、「民営か海軍直営とみなすかは微妙なところ」・・・にはならない。
料金を誰が得たかは、経営主体を示さないのである。
こうしたことは些細なことである。しかし、秦の慰安婦論はこれまで多く指摘してきたように、様々な詭弁に満ちている。資料がくるっていたり、論証がくるっていたり様々である。
秦の本を読むのは実はかなり不快なのだが、今後も暇をみて、このデタラメいっぱいの著作物の問題点を指摘して行きたい。