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歴史修正主義の淵源(3)慰安婦問題と神道政治連盟


(全文 敬称略)


慰安婦問題に神社界がいち早く反応し、否定論を展開し神社本庁が組織的に活動してきたことを考察した。
これはそのつづきである。


● 1997-3-24,1面
小山孝雄参議院議員は97年3月12日の予算委員会で教科書問題をとりあげ、強制連行で教科書に書かれている「昭和十四年の写真」は問題ではないかと言い始めた。また当時の韓国教科書における慰安婦と挺身隊の混同を抗議するようにせまり、河野談話に対して不満を述べている。
これについて小山側に立って書いているのが、神社新報1997年3月24日1面の記事である。小山孝雄は、当時「神道政治連盟国会議員懇談会事務局長」であった。

この記事のつづきは2001年1月1日3面に書かれており、小山は田中恒清神道政治連盟総務会長と対談して、教科書の採択は市町村の教育委員会が権限を持っているので、神社新報の読者が「叱咤激励していただきたい」と煽っている。
小山は神政連の推薦によって当選した議員で、その活動は、●剣璽御動座●元号法制化●天皇陛下即位50年の奉祝行事●代替わり諸行事●夫婦別姓制問題●靖国問題●歴史教科書問題●国旗・国歌法制定などであり、田中は「小山さんの経歴と神政連の歴史が一体」と妙な賛辞を述べている。
                           

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●1997-5-19,1面
東海5県連合総会で、本庁への要望として
①自主憲法制定への世論喚起
靖国公式参拝定着化と神社本来の姿の顕現
そして
従軍慰安婦等に見られる偏向教科書への是正を当局に強く働きかけること
が決定した。

この総会には当の神社本庁統理(代理・加藤知衡常務理事)なども参加し、高橋史朗がいつものWGIPまじりの講演をしている。

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●1997-7-21,1面
7月14日、日本会議塚本幸一会長、副会長小堀桂一郎、神政連会長の藤本勝喜が連れだって橋本首相(当時)に面会し、
①緊急事態における法制の整備 
②教科書の従軍慰安婦記述の削除 
③旧姓の通称使用の法改正 
④ 国籍条項堅持 
⑤首相の靖国参拝
などを申し入れた。
この記事で神社新報は、靖国参拝を「追悼だ」と主張している。

日本会議神社本庁神政連)の関係は、車で譬えるなら、ハンドルが神社本庁神政連)であり、エンジン部分が日青協などの右翼団体と政治家である。菅野完は『日本会議の研究』で日青協椛島、安藤こそ「右傾化の淵源」だと書いたがそれはまったく根拠の乏しいデタラメである。日青協や右派論壇は神社本庁神政連)がそれまで進めてきた事に加わり、エンジンをふかしてきたのであり、では全体の指向性を示唆して方向性を決定しているのはどこかと言えばそれは神社界と言わざるを得ない。
なお副会長小堀桂一郎は、神社新報にしばしば寄稿する神道信者である。



●1997-9-29,2面
神政連千葉県本部・自民党千葉県神政連支部大会が9月12日に開催され、宮間孝夫本部長は、「今後の取り組みとして従軍慰安婦などの教科書の記述記載是正にも取り組んでいきたい」と述べている。


●1997-10-13,1面
神政連香川県本部研修大会が開催され、内田文博神政連事務局長・神社本庁渉外部長が、「自虐的な教科書は許されない。有りもしないことが事実にされている。躊躇せず嘘を正していかねばならない」と述べている。



●2000-5-22,1面
森総理が「日本の国は神の国であることを国民に承知していただく」と目眩がしそうなファナチックな発言をした5月15日の神政連国会議員懇談会結成30年記念祝賀会の記事。森総理の発言の影に隠れていてあまり知られていないが、この日神政連国会議員懇談会幹事長村上正邦議員は、神政連国会議員懇談会の活動として「従軍慰安婦記述等偏向歴史教育の是正」に取り組んできたことを述べている。

神政連が慰安婦問題においてどのような活動をして来たか、がよく分かる。神政連の議員であった安倍晋三たちが慰安婦の教科書記述を消そうとしたり、NHKの番組に文句をつけたようなことは極めて卑劣な行為だが彼らにとっては英雄的行為なのである。(ところでこの時会長の綿貫民輔議員は元宮司である。

●2001-3-5,1面
女性国際戦犯法廷」について述べており、神社新報によれば「このような思想的に偏った集会を中立であるべきNHK教育テレビが取り上げることが事前に分かり日本会議が1月26日、総務省片山虎之助大臣に偏向報道がないように申し入れをおこなうなど、各団体や有志がこの番組について抗議・放送中止を求める声をあげた。その結果、放送はされたものの、追加取材などが行われ、改善の試みが窺わせる点もあった」と述べている。

つまり右翼連中が「抗議・放送中止を求める声をあげ」た結果、番組が改変してしまったのである。この時NHKが加えたのが、秦郁彦によるコメントであった。


神政連は慰安婦問題が始まって以来今日まで一貫して、否定論を展開し、教科書から消す運動を続けてきたのである。



平成27年07月20日 山梨県神社庁 第170号より)

ここまで一般に出回っている「慰安婦問題の歴史」は、挺対協がどうのこうのという歴史である。しかしここでは慰安婦問題否定論の歴史を取り扱ってきた。要するにどのような人々がどのような世界観、どのような感性をもって慰安婦問題を否定してきたか?という問題である。そこで浮かびあがってきたのが、神社であり、神道信者たちである。
彼らは今日まで神道的世界観と神道的感性をもって慰安婦問題を否定してきたのである。神社界を淵源とする意見を吸収している右翼団体在特会などのネトウヨもまた多くが神社の信奉者である。https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65835486.html