【憎悪を煽る新聞報道】「韓国の裁判所は、論理ではなく国民感情に従っている」という事にしたい産経と読売
もの言う新聞 と言えば聞こえはいい。
だが、本当はろくに取材もしない新聞だということはとっくの昔にバレている。
いや、取材どころか、資料にもろくに目を通さない。自社の過去記事さえ忘れ去って、平気で矛盾した記事を書く。捏造常習犯のネトウヨの言う事を真に受けて記事を書く。そして偏見に染まった人間にコメントをさせて、ヘイトと対立を煽動する。
今回の徴用工判決に関する記事でも、そんな産経らしさがいかんなく発揮されていた。そして今や安倍ちゃんの覚えめでたい読売新聞も似たようなもんだ、という話。
1、 「国民感情、国民情緒を重視した判決である」と無根拠に主張する産経
例えば、10月31日。徴用工判決が出た翌日の記事だ。産経はこう書いている。
こういう見出しで報道する場合、例えば、韓国の法曹関係者に判決に至る経由を取材したり、国民感情そのものを調査したり、報道全体を調べたり、主張の裏付けとなる様々なデータを取得する行程が必要なはずだが、この記事はただ「韓国で徴用工問題は国民感情や日本への不満を元に叫ばれている。」と想像しながら、「・・・「国民感情を重視した判決」と韓国国内の事情を問題視されても仕方がない」としている。
何が「仕方がない」のかさっぱり分からないし、論理の飛躍も甚だしい。
ところが、次の瞬間には「国民情緒を理由に国際常識をひっくり返し、法の枠組みを壊そうとする国際常識への挑戦でもある」と断定し、断罪するに至っている。
子供の作文みたいに根拠も論理も存在していない。自分の意見感想を書く個人ブログじゃあるまいし、全国紙の片隅に存在しているはずの産経新聞が報道という名の想像を広めて行ってしまうのは、いかがなものか?そしてそれはこの新聞の敗北の原因なのである。虚偽と憶測によって対立を煽る「歴史修正主義」新聞に未来などないに決まっているではないか?
2、読売イムズ
ところが同日、示し合わせたように似た考え方を示した新聞があった。読売新聞である。
該当部分は赤線で。
(「一方的な歴史観」て何だろ?)
「韓国では世論の圧力が強く、大法院の司法判断でさえ、国民感情に左右されやすいともされる。」・・・・と書いている。
「国民感情に左右されやすいともされる」というのだが、誰が「大法院の司法判断でさえ国民感情に左右されやすい」と主張しているのだろうか?またしても根拠は皆無であり、主語を省くことのできる日本語の特徴を利用した伝聞情報である。
こうして<この判決は法理を尽くしたものではなく、韓国民の感情に流されたものだ>と印象操作をしているのである。
しかし、すでに当会を含め、この判決についてその法理の正統性を検証し、理解している人はたくさんいる。
例えば、
『「徴用工判決」で報じられない「不都合な真実」』山本晴太弁護士
大法院判決を受け入れるように促している弁護士たちの声明にはすでに200名以上の弁護士・研究者の賛同があつまっている。
朝日)徴用工問題「根本的解決を」 弁護士らの声明、賛同増加
『日韓協定』(『財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定』)をちゃんと読み、政府答弁等を調べ、2012年およびに今回の判決文を読んでみれば、明らかに大法院の法解釈に理屈が通っているからだ。
すくなくとも、「個人の請求権はない」とか「個人の実体的権利は消滅していないが、訴訟によって行使することができなくなった」などという日本政府の無茶苦茶な主張などよりは根拠が明確であり、筋が通る判決なのである。
しかし産経・読売は、日本政府に忖度しながら、「今回の大法院判決は、法理ではなく国民感情の産物」としたいらしい。約80年ほど昔、軍と右翼の手下のようになっていた新聞業界だが、それによく似ているのである。
これを読んだ国民は「韓国の野郎、理屈も何もありはしねえ」と対立と憎悪を募らせたに違いない。
実際に、一連の産経と読売記事に触発されて今回の判決を「韓国世論」やら「国民感情」の影響と見なし、憎悪を募らせた人を何人も見かけるのである。
「タカリ国家」
「国家と呼べない民族」という謎の文字列
楽しいですか?読売さん
ヘイトと対立を煽っているのは、日本側の歪曲報道である。
3、読売の産経化現象
読売新聞の産経化現象は、様々な人に指摘されている。読売新聞の安倍政権支持率は(産経ほどではないが)常に他のメディアより大きい数字になっていることは誰でも気づく話である。
この「読売新聞の産経化現象」はすでに1999年、『季刊戦争責任研究』という歴史学専門誌の中で、高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)によって「日の丸君が代」報道にからんで指摘されている。(『戦争責任研究』1999秋号)
(ただし、当会では「自虐史観」にからんで90年代中ごろにはすでにかなり右傾化した人物がいた、と考えている。これはいずれ考証しよう。)
(~以下略~)
つづきは、『戦争責任研究』1999秋号。
4、やがて全国紙でなくなる産経新聞
世の中は無関心かも知れないが、もうすぐ産経は全国紙ではなくなるようだ。それに対して、厳しい意見が寄せられている現実を産経は知った方がよいだろう。https://togetter.com/li/1289644
それは、かつて大新聞と並ぼうと200万部を狙い、「営業戦略」として「教科書攻撃キャンペーン」を行ってきた産経新聞の路線の敗北と言えるだろう。https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/63991423.html
それにしても100万部とは、落ち込んだものだ。