慰安婦陰謀論の世界
ここでいう陰謀論とは、「根拠が乏しいにも関わらず誰か、あるいは何らかの組織が謀略を企て、その結果こうなった」という、妄想的世界観をいう。その組織などへの反感や憎悪が伴いやすい。
「長州藩士らは倒幕の謀略をした」と誰かが書いてもそれはただの歴史的事実であって陰謀論ではない。世界には様様な陰謀も有りうるだろう。しかし、様様な陰謀妄想も有りうる。
誰かが何かの陰謀を企てる場合、陰謀を企てた会議などがなされ、発言がなされ、誰かによる実際の行動がなされ、あるいは報告書が作成されるなどするだろうが、陰謀論にはこうした資料はまったくと言っていいほど存在しない。こじつけた解釈があるだけである。(*注)時折「シオン議定書」のような捏造された根拠が出てくる事がある)
「慰安婦陰謀論」と当会で名づけたものは、1992年に『憲友』に掲載されたものに始まり、ほとんどまったく根拠を提示しないまま、北朝鮮(朝鮮人)、韓国、中国・・などが「日本を貶めるための謀略を企てた」というような主張になっている。
①慰安婦問題は北の思想に共鳴するか組織的つながりをもっている人々がやっている(藤岡信勝)
②中国共産党の国際的反日謀略 北朝鮮も加担(西岡力)
▽▽▽ 責任転嫁するために生じる世界観
右派は陰謀論が好きである。
古谷経衡は菅野完との対談で、
「これが自称保守かよ……」という幻滅の連続でした。単に差別主義者、トンデモ陰謀論好きのオッサンたちが愚痴をこぼしているだけ。最近ではユダヤ陰謀論、国際金融資本陰謀論なんてのも、もう何度目かわからないですけど、流行っているようです。到底、表現や言論の場ではありませんでしたね。
とその差別者ぶりと陰謀論好きを語っている。https://blog.goo.ne.jp/root41_1942/e/469334e8c2ab3a9b30c1e05f63a2d1d4
国粋主義者のネット放送・チャンネル桜に長年参加し、『正論』や『WILL』に寄稿してきた古谷経衡は、若いころ小林よしのりの「ゴー宣」に洗礼を受け、彼自身が慰安婦問題否定論を述べていたこともある。しかしやがて渡辺昇一の著作を批判するなどして右派離れするようになった。
では彼らはなぜ、陰謀論的な発想をするのだろうか?
2018年の9月頃、『慰安婦の真実国民運動』の藤井実彦が台湾の慰安婦の碑に対して、足でそれを蹴るパフォーマンスを行った。ところがその様子が防犯カメラに捉えられており、台湾の全国放送ニュースで流れたから大変である。
9月11日、『慰安婦の真実国民運動』はFBで、現在調査中とする文章を載せたがこれについたコメントがコレだ。
同様な意味で、「日本は中国に戦争に引きづりこまれ、米国に太平洋戦争に引きづりこまれた」という陰謀論は、戦争を引き起こした大日本帝国の責任を転嫁し緩和するものであり、「中国や北朝鮮が日本を貶める謀略を企て」という考え方は慰安婦問題への日本の責任を転嫁し緩和しようとする試みと言えるだろう。
③慰安婦問題は日本赤化革命を狙う左翼の思想謀略だ。半島民族が将来日本侵略を企てている (元憲兵)
⑤「中国は膨大な資源と時間を性奴隷のペテンにつぎ込んできた」「中国は日本に情報戦をしかけて日本を弱体化させる情報戦争をしかけ」「性奴隷はデッチアゲ 中国の毒エサ 膨大な資金をバックに中国が・・」マイケル・ヨン
2014年11月1日の産経新聞は「著名な米国のジャーナリストが日本の慰安婦問題の調査に本格的に取り組み始めた」として、マイケル・ヨンを紹介した。しかし映画『主戦場』の中で、インタビューされたケネディ日砂恵は「日本に有利な記事を書いてもらうために6万ドルを渡した」と苦し気に告白している。