日本軍将兵の証言・手記にみる慰安婦強制の実態(4)
■鹿野正伍『ある水兵の戦記』光風社,1978年
■『海を越える一〇〇年の記憶』図書新聞,2011年
松原勝「軍による『慰安所』管理は紛れもない事実」pp.109-127
― その夏島に「慰安所」があったのですね。松原 南國寮と南星寮の二か所、同じような規模でね。(夏島の地図を指し示しながら)このチョンチョン橋を渡って海岸の方へ 出て左折すると四経、四施とあるでしょ、その先に三棟ほどの南國寮がありました。源氏名でみどりさんという人がいてね、当時22歳っていってました。だまされてこんな所に連れてこられたってね。私がそこへ行き泊ると、泊まりを受けなかった女の子たちが3、4人集まってきて、いろいろ話をしてくれました。私はどこどこの出身だけど、親やきょうだいと引き離され、だまされてきたんだというわけですよ。人によってはね、子どもや夫にも引き離されてきたんだと泣いて訴えるわけです。高級将校のメイドにならないかとか、海軍病院の雑役の仕事だとか、30円くらいの月給で食事も泊まる所もただだから1年くらいこないかとね。でも、ここへ連れてこられて初めて仕事を知って心が裂けるように思ったと。ひどい話で、日に10人もの相手をさせられるとも言ってました。僕が第四海軍施設部の職員だと知っていたし、若かったからね、気を許していろいろなことを話してくれました。
「朝鮮人」の「12~13人」の女性たちは「レストラン・ガール」と騙されて連れて行かれ慰安婦を強要されています。これも刑法第226条に違反する犯罪ですが、軍の方でそれが犯罪であると認識している様子がありません。
■溝部一人 編『独山二』〔独立山砲兵第二連隊の意〕私家版,1983年,p.58
1940年8月、湖北省董市附近の村に駐屯していた独立山砲兵第二連隊は、「慰安所」の開設を決定し、保長や治安維持会長に「慰安婦」の徴募を「依頼」した。その結果、20数名の若い女性が集められたが、その性病検査を担当した軍医は、8月11日の日記に次のように記録している。
さて、局部の内診となると、ますます恥ずかしがって、なかなか襌子(ズボン)をぬがない。通訳と維持会長が怒鳴りつけてやっとぬがせる。寝台に仰臥位にして触診すると、夢中になって手をひっ掻く。見ると泣いている。部屋を出てからもしばらく泣いていたそうである。次の姑娘も同様で、こっちも泣きたいくらいである。みんなもこんな恥ずかしいことは初めての体験であろうし、なにしろ目的が目的なのだから、屈辱感を覚えるのは当然のことであろう。保長や維持会長たちから、村の治安のためと懇々と説得され、泣く泣く来たのであろうか?
公文書に記述された慰安婦の強制
■『日本人捕虜尋問報告 第49号』1944年
1942年5月初旬、日本の周旋業者たちが、日本軍によって新たに征服された東南アジア諸地域における「慰安役務」に就く朝鮮人女性を徴集するため、朝鮮に到着した。この「役務」の性格は明示されなかったが、それは病院にいる負傷兵を見舞い、包帯を巻いてやり、そして一般的に言えば、将兵を喜ばせることにかかわる仕事であると考えられていた。これらの周旋業者が用いる誘いのことばは、多額の金銭と、家族の負債を返済する好機、それに、楽な仕事と新天地――シンガポール――における新生活という将来性であった。このような偽りの説明を信じて、多くの女性が海外勤務に応募し、2、3百円の前渡し金(前借金)を受け取った。
この資料は歴史修正主義者に都合良くつまみ食いされることが多いのですが、丁寧に読んでいけば、軍から慰安婦の徴集を依頼された日本人の業者が朝鮮半島で騙しによる誘拐と人身売買によって、連行当時17,8歳の未成年を含む女性たち22名を連れて来ていること。そして女性たちが軍の管理下の慰安所で本人に意思に反し性的“慰安”を強要されたことが明らかにされています。
「慰安婦」制度が違反しているもの
ここで取り上げた以外の日本軍将兵の手記や証言記録
従軍慰安婦資料集
引用・参考文献(一部)
私の従軍中国戦線―村瀬守保写真集 一兵士が写した戦場の記録
posted with amazlet at 12.12.13
村瀬 守保
日本機関紙出版センター
売り上げランキング: 841747
日本機関紙出版センター
売り上げランキング: 841747
7%の運命―東部ニューギニア戦線 密林からの生還 (光人社NF文庫)
posted with amazlet at 12.12.13
水木しげるのラバウル戦記 (ちくま文庫)
posted with amazlet at 12.12.13
皇軍慰安所とおんなたち (歴史文化ライブラリー)
posted with amazlet at 12.12.13
日本軍「慰安婦」制度とは何か (岩波ブックレット 784)
posted with amazlet at 12.12.13
以上、転載終わりです。
「慰安婦に対する強制」を否定する事などできないのだと言う事がよくわかりますね。