東京都が教材採用した副読本「江戸から東京へ」と「マッカーサー発言」の変な翻訳とでたらめな解釈 を調べてみました
同じ靖国好き同士の馴れ合い質問
麻生は答えて言った。
そこで松原は次のように述べた。
麻生は「security」を.「自衛」と翻訳し、松原は「安全保障」と翻訳している。
しかしどちらも及第点は無理だろう。
前後の文章とつながらないからだ。
問題となる文章は、
であり、推奨できる翻訳は
「security」を「その脅威から逃れる必要」とここでは訳しているが、これなら前の文章からの意味が通じる。
しかし「自衛のための部分が大きかった」とか「安全保障のためだった」などと翻訳してしまうと、文章全体が日本語としておかしくなる。「日本は、資源の供給を絶たれることにより、1,000万から1,200万の失業者が発生することを危惧した。日本が戦争に飛び込んでいった動機は、自衛のための部分が大きかった」となる訳だが、これでは「失業者が発生することを危惧」という前文と「自衛のため」が繋がっていないのだ。
ブログでは【美しい壺日記】さんが翻訳をもう少し上手くまとめてくれている。
自衛戦争証言である」という宣伝
産経及び『正論』誌はこれが「自衛戦争証言である」と宣伝している。
どの辺が自衛戦争証言なのか?さっぱり分からないのだが?
さらに「朝鮮と満州の敵勢力を掃討して日本を防衛する。マ元帥のこの行動は、日本が戦前、独立を保つためにとった行動そのものだった。、朝鮮の地に自ら降り立ち、大陸からの中ソの脅威に直接立ち向かってはじめて、極東における日本の地政学的位置を痛感し、戦前の日本がおかれた立場を理解したのである。」という解説をしているが、この解説はただの想像であり、「日本の地政学的位置を痛感し」などとは言えない。
サンケイ・『正論』の書くことはどうもよく分からない。
歴史のお勉強
さて歴史を少しおさらいしよう。
経済面からの当時の状況の説明
さて、「だから中国もあまり経済的においつめないようにしようじゃないか」というのがマッカーサー発言の意図である。
というわけで1941年太平洋戦争に突入した経済的な観点からは、マッカーサーが述べたように、日本は、資源の供給を絶たれることにより、1,000万から1,200万の失業者が発生することを危惧した。日本が戦争に飛び込んでいった動機は、大部分がその脅威から逃れる必要に迫られてのことだった」とその経由述べてもそれほどの間違いではない。
しかし、完全に正解でもないだろうと思う。
もちろん、戦争は経済的な原因によってのみ引き起こされる訳ではないのは当たり前である。
マッカーサーは、黒船が来る前の時代から、すでに日本の国粋主義者の間に世界侵略の野望が芽生えていた事を知らなかったのである。そして「日本人は天孫民族であり、世界を支配すべき民族である」という妄想の中で、その野望が形を変えながらふくれあがりほとんど精神医学的な狂気の中で、国内の良心と理性を破壊し太平洋戦争へと突入したのである。
ウヨクは意味が通じなくても自分好みの誤訳が好きだ
さてこれを2013年、中山成彬議員が再び国会で取り上げている。
この国会答弁の中で、中山なりあきもやはり「安全保障の必要に迫られてのことだった」と翻訳しているが、これで意味が通じると思っているのだろうか?
しかも「明確に侵略戦争を否定している」とまで述べている。
驚いた事に、東京都の教材「江戸から東京へ」の中にこれまで論じて来たよう誤訳がそのまま使われているというので、さっそく調べてみた。
【東京都の教材「江戸から東京へ」25年度版】P125
と述べているので、その考えに基づいて、副読本にしたらしい。
こうして、「この戦争を日本が安全保障上の必要に迫られてのことだったと捉える意見もある。」と書く以上、
当然両論併記で、「侵略戦争と捉える意見もある」と書いてあるんだろうな?
というよりも、村山以来の歴代内閣は、「村山談話」を踏襲し、小泉談話などでも「侵略」は明記されており、子供にもそう教えるのが当たり前である。もしそうしないなら、口先だけの謝罪であったと非難されても文句は言えないのである。
安倍政権はちゃんと答えるべきだ。いや、この場合、文句をいうべきなのは東京都なのかも知れないが、今後文部大臣の権限が強化され検定が厳しくなるらしく、「副教材ですばらしいものについてはぜひ全国で共有化されるように、文部科学省としても働きかけをしてまいりたい」と上文でも述べているのでぜひ下村文相を追及して欲しいものだ。まさか、文部大臣の権限で「侵略」と書かないという事になると今後、米国を含めて大問題になるよ。安倍が靖国参拝したことで「虎の尾を踏んだ」のだ。