東中野による資料の改竄から歴史修正主義を観る
このブログは慰安婦問題について探求しているブログである。
南京大虐殺について、このブログでは直接のテーマとしていない。
しかし
・・・などから南京大虐殺についても多少は触れてきた。
そういうわけで、今回は再び南京大虐殺についてだが、自由主義史観研究会や新しい歴史教科書をつくる会の主催する南京大虐殺関係シンポに、講演者として呼ばれている東中野氏が行った資料の改ざんについて記録しておこう。
東中野氏は、『「ザ・レイプ・オブ・南京」の研究』の中で、敗戦直後に日本に進駐してきたアメリカ軍は、一九四五年八月三〇日の一日だけでも、神奈川県下だけで三一五件の強姦事件をひきおこしたと指摘し、右のシンポ(1999年7月31日開催、自由主義史観研究会主催のシンポジウム、「20世紀最大のウソ『南京大虐殺』にとどめを刺す連続講座とシンポの集い」)でも八月三〇日から九月一〇日までの一二日間で、一三二六件の米軍による強姦事件が発生したと強調している。占領には強姦がつきものだといいたいのだろう。ところが、同書の中で氏が参考文献としてあげているドウス昌代『敗者の贈物』(講談社、一九七九年)をみてみると、確かに三一五件、一三二六件という数字が「米軍による事件発生数」としてあげられてはいるが、ドウス氏は、「このうち、何件が強姦事件だったかは、はっきりしない」と明記しているのである。それが東中野氏の手にかかると、たちまちのうちに、三一五件、一三二六件の強姦事件に早変わりしてしまう。
日本の歴史修正主義者(隠ぺい主義者)たちは、日本軍の残虐行為を否定するために、「他の国もこうだから」と述べる傾向にある。その際に相手の非道さを強調するために、しばしば資料のねつ造を行っている。
以前米軍の強姦について調査したが、http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64224221.htmlここで書いたような「性暴行」という言葉を「強姦」に改ざんすることもウヨク勢力にはよくあることだ。
東中野氏のこうしたねつ造を、他の非真実な人たちもやるからと言って、東中野氏の問題が解決するわけではない。これは「引用ミス」というレベルではないし、自己の主張を正当化するための資料の改ざん行為に学者としての資格が問われている。
最近の右派論壇では、満鉄爆破はコミュンテルンの陰謀、太平洋戦争はアメリカによる陰謀、南京事件は中国のねつ造・・・・という一部のウヨクに気分のいいつくり話が蔓延している。そして「日本は悪くない。すべて悪いのは他の国」という嘘は国際関係を悪化させつつある。作り話をして日本を窮地に向かわせる彼らは亡国の徒であるというしかない。