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産経小森記者が何を考えているか分からない件


産経の古森義久記者がまた変な記事を書いている。

【米政府の慰安婦問題調査で「奴隷化」の証拠発見されず…日本側の主張の強力な後押しに】http://www.sankei.com/world/news/141127/wor1411270003-n1.htmlという11月27日の記事である。

記事によると「米政府が日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。」という。

そしてこれは「日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される」
とも書いている。

また、『正論】平27、2月号でもこう述べている。

IWGのアメリカ議会アテ最終報告が2007年4月に公開された。
「・・・アメリカ政府の各関連省庁や軍部が7年もかけて実施した大規模調査で「日本軍の慰安婦に関する戦争犯罪や女性の組織的な奴隷化に関連する文書を探す」ことが明示されたにも関わらず、その種の主張を裏付ける政府や軍の文書はただの一点も発見されなかったのである」

という。
なかなか面白い話だ。
もしそれが事実なら、2007年になされたIWG調査報告書に反して、その直後に米下院決議がなされたことになる。

しかしIWGの報告書と言えば、性奴隷の根拠となる資料があったという報道があった。掲載しておこう

2015年 01月 23日(金)聯合ニュース


旧日本軍の慰安所への関与 米国では「あり」結論済み

【ワシントン聯合ニュース】日本の戦争犯罪記録を調査してきた米連邦政府の合同調査団が慰安婦を日本による「組織的性奴隷制度」だったと2000年代に結論付け、各政府機関に関連資料の調査を命じていたことが25日までに分かった。
 ワシントンの外交筋によると、ナチス・ドイツと日本の戦争犯罪に関する記録を調査する記録作業部会(IWG)は2007年4月、日本が組織的に慰安所の運営に関わっていたことを結論付ける内容の最終報告書を米議会に提出したという。 
 米政府のこれら規定と関連資料の調査活動は慰安婦問題に関する国際社会の一般的な見解と態度を示すもので、慰安婦と国家の関連を否定しようとする安倍政権にとって大きく不利な要素になるものとみられる。
 報告書によればクリントン政権で国家安全保障問題担当補佐官を務めたサミュエル・バーガー氏は2000年12月、関連機関に公文書を送り、1931年から1945年まで日本によって行われた戦争犯罪の関連記録を調査するよう指示した。それによりIWGは関連機関に対し資料を探すための指針を提示した。 
 指針には▼強制労働または奴隷活動を含む戦争捕虜と民間人に対する旧日本軍の処遇▼民間人を相手にした迫害と残酷行為▼細菌兵器の開発と使用、特に731部隊と部隊長だった石井四朗▼天皇と特定戦犯を不起訴にした米政府の決定など▼植民地女性に対する日本の組織的性奴隷制を意味するいわゆる「慰安婦プログラム」と関連した資料の発掘――との内容が記されている。
 IWGは関連機関の下調べの結果を基に2003年5月から10万ページに及ぶ機密指定解除文書と日本文書に対する本格的な資料調査を行った。 
 IWGが2006年に発行した「日本戦犯研究報告書」(Researching Japanese War Crimes)によると、約4年間行われた同調査は慰安婦と関連した多くの資料を発見することはできなかったが、植民地における女性と少女の拉致(強制連行)を告発する一部文書を見つけ出した。
 日本がシンガポールで400人余りの中国女性を拉致したという1943年の中国メディアの報道や、インドシナで活動していた旧日本軍の将校が現地女性に慰安婦活動をするよう威嚇したという発言内容が含まれていると研究報告書は伝えた。 
 同研究報告書には日本に対する反感を減らし、性病の拡散を防ぐために旧日本軍が1932年ごろから民間業者を雇用し、慰安所(comfort stations)を運営したとの記述もある。
(写真)

米国で発見された資料は、いくつかあったと思うが、手持ちの記録では例えば

 1995年11月30日付け朝日新聞朝刊 
戦犯裁判の記録に慰安婦2人の名前 米・公文書館で発見 /神奈川

日本人と朝鮮人が協力して従軍慰安婦問題などを究明している朝鮮人強制連行真相調査団(団長・鈴木二郎都立大名誉教授ら)が、米国にあった戦犯裁判記録から、グアム島で強制売春させられた現地の二人の女性の名前を見つけたことを明らかにした。日本側の同じ裁判資料に、女性を慰安婦として日本軍にあっせんしたと記述があり、調査団は「慰安婦問題が戦争犯罪であることを示す具体的な資料だ」と指摘。(中略)
 記録は今年七月、調査団が米の公文書館で見つけたBC級のグアム戦犯裁判の一つにあった。それによると、第二次世界大戦中にグアム島にいた日本人移民の貿易商が、「日本軍に協力した」などとして反逆罪に問われ、その一つに、現地の女性二人に対し、「同意なく売春を強制した」容疑があった。貿易商は終戦間もなく、死刑判決を受けたが、終身刑に軽減された。
(後略)

 米の公文書館で見つけたそうだ。

産経新聞だけが慰安婦に関する戦争犯罪や女性の組織的な奴隷化に関連する文書は一つも発見されなかった」と言い張りたいなら、それでもいいが、<キジトラ速報>によるとhttp://kizitora.jp/archives/ianhu-michael-yon-sankei.html

この記事を流し読みすると、「米政府・軍の全文書を調べても慰安婦の奴隷性を裏付ける資料は一点も発見されなかった」かのように読めてしまいますが、今回対象になったのは「未公開や秘密の公式文書」だけです。報告書のまえがきには以下のように書かれています
The IWG uncovered and released few Asian theatre records because few such U.S. records remained classified. Unclassified records were not under IWG jurisdiction.
そもそも機密ではない文書はIWG調査対象外ってことで、アメリカで機密対象になっていた文書の中から慰安婦関連の資料はほとんど発見されなかったってだけの話。

 だそうだ。まあ、そんなものだろう。


<予断と偏見>に満ちた産経の記事を読んでいるネトウヨたちが同じような<予断と偏見>に侵されてしまうとしても、それは自業自得だが、それにしても変な記事ばかり書く新聞である。