河野談話を守る会のブログ2

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桜井よしこ氏の妄言(3)

          2、なぜ、このような論説が唱えられるようになったか?
 
もともと河野談話に書いてもいない「従軍慰安婦の強制募集・強制連行」に対して「そんな証拠はない!」と追求する方法が印象操作に有効であるとして、後のウヨ達がそれを踏襲するようになったのはいつからだったか?
 
 
この問題については、〔誰かの妄想ブログ〕さんが、片山議員の以下のような質疑が始まりではないか?と書いている。はブログ主さんのコメントである。赤は重要なので私が強調した。
 
片山虎之助議員は『明るい日本議員連盟』のメンバーである。『明るい日本議員連盟』についてはhttp://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/63578640.html に書いている。
 
平成9年1997年1月30日参議院予算委員会にて
 
参考1 河野談話”強制連行”神話
平成9年1997年1月30日参議院予算委員会で、あの片山虎之助議員がこう発言している

「そこで、文部大臣が今言われた平成五年八月四日の外政審議室の調査、それに基づく官房長官の談話がこれまた不正確なんですよ、不正確。軍が関与していると。関与はしていますよ。関与にもいい関与、悪い関与、積極的な関与、消極的な関与があるんだから。それは兵士を守るために消極的にはいい関与をしたんですよ。だから、それは私は否定しません、否定しない。それじゃ、強制連行や強制募集、そういうことの事実が確認できたかどうかなんです。ところが、あの調査報告も官房長官談話もかなりあいまいなんです。」

河野談話には、そもそも「強制連行」「強制募集」を示す文言はない。そのため、政府委員はこう答える

「○政府委員(平林博君) お答えを申し上げます。

 政府といたしましては、二度にわたりまして調査をいたしました。一部資料、一部証言ということでございますが、先生の今御指摘の強制性の問題でございますが、政府が調査した限りの文書の中には軍や官憲による慰安婦の強制募集を直接示すような記述は見出せませんでした。

 ただ、総合的に判断した結果、一定の強制性があるということで先ほど御指摘のような官房長官の談話の表現になったと、そういうことでございます。」

ここで片山虎之助くんは得意になって次の発言をする。

「○片山虎之助君 今の審議室長の話は、資料と証言を集めた、資料には強制性を示すようなものはなかったと。ということは、(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)いや、今答弁したんだから。

 そこで、それじゃ証言ということになる。その証言はどういう人から集めましたか。」

軍や官憲による慰安婦の強制募集を直接示すような記述がなかったというのが、資料に強制性を示すものはない、にすり替わっている。政府委員もさすがにこれは見過ごせないわけでこう答えている。

「○政府委員(平林博君) その前に、強制性の問題でございますが、今御答弁申し上げましたのは、強制募集を直接示すような記述は見出せなかったと。ただ、もう少し敷衍して申し上げれば、いわゆる従軍慰安婦の方々の日常の生活等におきましては強制性が見られるということで先はどのような官房長官の談話になったということでございます。」

このやり取りが「従軍慰安婦の強制募集・強制連行」の最初ではないかと思うのだが(民間ではどうかわかないが)、もともと河野談話に書いてもいない「従軍慰安婦の強制募集・強制連行」に対して「そんな証拠はない!」と追求する方法が印象操作に有効であることをこのやり取りが示したと言えると思う。
      ~引用ここまで
 

 
文中で片山虎之助くんが述べている「強制連行はなかった」は、秦郁彦や藤岡が『正論』『諸君』『サンサーラ』などの右翼雑誌と産経新聞で散々書いた事である。
藤岡は、この直前の1996年12月11日号のサピオの寄稿記事でも「慰安婦問題のポイントは日本軍の慰安所に働いていた女性が強制連行されたものか、それとも商行為として仕事に従事したかの一点にある」と述べている。
こうした論説を受けて、1月30日の予算委員会で、新進党田村秀昭議員は「教科書の記述は誤っている」と批判し、また「従軍慰安婦」という言葉を批判した。その後で質問に立った片山虎之助議員も、これに連携して「従軍」という言葉を批判した後、上記のような質疑応答になったのである。
 
 
               3、金太郎飴のように、どこを切っても同じ
 
それは意図的では無いかも知れないが、このようなかみ合わない質疑と答弁の結果慰安婦問題と言えば「強制連行は無かった。だから河野談話はおかしい」とか書き込めばいいのだと言うウヨの方法論が生まれたのだろうと思われる。
ウヨ達は、基本的には慰安婦について何も知らない。ここで問題となる河野談話を自分で読んだことのある者さえ多くはいない。
当然、70年ごろの千田夏光の古典的著作物や78年に発表された漢口慰安所の実情をつたえた山田清吉「武漢兵站支那派遣軍慰安係長の手記」、・・・その他多くの元日本軍人の書いていた重要著作物も読まない。91年以降金学順さんをはじめとして名乗り出た多数の元慰安婦達の話・・・もちろんその話の中には無条件に信用できないものもあるが・・・をも少しも知らない。挺対協の元慰安婦達の体験談の報告(書籍)を自分で読んでいる人間はごく希である。
すでに小林よしのりの〔ゴー宣〕について、資料となる文献を自分で読まずに教えられただけであろうと述べたが、知らないで慰安婦について論じようというのだから、その主張は歪んだものにならざるを得ないのである。それで全員が判を押したように「強制連行の証拠は無かった」と書き込むしかなくなる。他の論説がほとんど存在しないからである。
ウヨ達と対話すると、全員が同じような事しか書き込まないのはうんざりだが、 桜井よしこ氏、西岡力氏、安倍元総理なども同じ事を主張し続けている。
金太郎飴のようにどこを切っても同じに思えるが、昔の軍国主義時代に軍人達が理想とした「皇民」とはまさにそのような人々であった。神権天皇制の「国体」に反するあらゆる思想と宗教を迫害し排斥した時代・・・愛国者と言う名の無自覚な亡国の徒が量産されていた時代であった・・・