イデオロギーを先に立てようとする人は、こうした膨大な資料を集め発表したりはしないものです。後に秦郁彦が発表した『慰安婦と戦場の性』(1999)の掲載資料のほとんどが、この『従軍慰安婦資料集』や1995年の『従軍慰安婦』『共同研究 日本軍慰安婦』にすでに掲載済みであった事から考えても、吉見先生の第一人者としての先駆的業績を見る事ができます。
そしてそれは、この裁判に対して歴史学者がほとんどが吉見先生に賛同しているという事実が、裏付けています。
従って、こうした膨大な資料から導きだされる史実に対して、感情的に反発する人達だけが、吉見先生の研究を「左翼」「反日」「捏造」などと呼んでいるのが実情です。自分達が偏っているので、正当な研究を「左翼による捏造」などと放言してはばからない人がいるのです。
10月7日の第一回口頭弁論で桜内被告が東京キリスト教大学教授、西岡力の名前を出したり、『正論』1月号で秦郁彦講師(元教授)と桜内議員が対談したりしていますから、両人が、被告に参考人招致される可能性が高く、どんな迷言が生まれるか?実に楽しみです。
すでにこのブログでは、彼らの論説の問題点を複数指摘しています。
歴史学者でさえなく、どこの誰とも分からない相手と論争して「勝った、勝った」「結論は出た」と言い張る自称専門家・西岡教授は論外ですが、秦論説の変遷と矛盾点についても言及して欲しいものです。
秦郁彦氏は研究者として十分な業績のある人ですが、すでに80歳代。とっくに引退しているはずが、今でも大学に所属している。元々教授だった日大法学部に、講師としているという事です。そして聞いた話ですが、講師として所属しているのに、講義している授業は無いらしい。
第一回弁論で裁判長が述べたように、吉見先生が書いた『従軍慰安婦』は、一般向けと言いながらも、膨大な一次史料を掲載しています。そこから導きだされる「性奴隷制度であった」と言う結論に対して、どんな反論が可能なのか?秦が述べるようないくつかの例外があっても、すでにこのブログで書いて来たように、ごく一部でしかありません。吉見先生は「徹底的に論破していきたい」と述べておられ、その通りになるでしょう。
さて、この裁判になった経由はすでに書いている通りです。
桜内発言動画を再度掲載しておきます。http://youtu.be/4Igni2rqWjU
この発言の「”これ”は吉見さんの著作を指していない」と被告は主張しています。
<以下、転送歓迎>
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■吉見裁判とは
名誉毀損で訴えた裁判です。
二○一三年五月一三日、橋下大阪市長は「慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」と発言して内外の批判を浴びました。特に海外での反響に対する弁明として、橋下大阪市長は五月二七日に日本外国特派員協会で記者会見を行いました。
その場において、司会者が吉見義明教授の著書に触れたことに対し、同席していた桜内文城議員が、「これはすでにねつ造であるということがいろんな証拠によって明らかとされております」と発言しました。桜内議員が「ねつ造」であるとしたのは、吉見義明『従軍慰安婦』(岩波新書、一九九五年)の英訳書であると考えられます。
吉見教授は、二○年以上にわたって日本軍「慰安婦」の実態を研究してきました。発言の撤回と謝罪を求めたものの拒否されたため、吉見教授が桜内議員を相手に提訴しました。これが、「吉見裁判」と略称している裁判です。
■吉見義明さんからのメッセージ
造」であるといい、多くの証拠で明らかにされているとまでいいました。研究者の研究成果を捏造であるというのは、その研究者に対する重大な名誉毀損に当るだけでなく、その人格までも否定するものですから、やむをえず提訴しました。第一回口頭弁論で、桜内氏は「慰安婦」が性奴隷だというのは「虚構の事実」の捏造だと主張していますので、これも争点になると思います。徹底的に論破していきたいと思います。ご支援をお願いいたします。
■問い合わせ先(ウェブサイトから)