田母神俊雄のツイートに関するトホホな話
田母神俊雄元幕僚長と言えば、アバグループの懸賞論文に入選した論文が有名である。
この論文の内容は、歴史を少しでも知ってる人間なら、あまりにバカらしすぎて相手にしたくないレベルの【陰謀論もの】だった。「ソ連のスパイだったホワイトがハルノートを起草した」とか「張作霖を爆殺したのはソ連の工作員だった」「日本はルーズベルトの罠にはまり、真珠湾を攻撃した」とか、要するに日本側には主体性がなく、大国にこづき回され、侵略は「させられる」わ、戦争は「させられる」わだというのだ。
いづれも根拠に乏しく学問的には否定されていることを並べたたてただけのものだったのだ。
まったく根拠のないものもあり、根拠にしたものが信憑性に欠けたり、さらに複数の資料が否定しているものを並べており、こんな空想好きな方を相手に論争するのは疲れるだけだと誰もが思ったのだろう。
アバも素人ばかり集めないで、どうして専門の歴史学者を選考委員長にしないのか?
本当に我々には理解しがたい話である。
例えば、「張作霖を爆殺したのはソ連の工作員だった」の根拠となっているのは『マオ 誰も知らなかった毛沢東』の中のわずか3行の記述なのだが、この著作の作者は後に、「これまでの未公開資料を根拠にしたわけではなく」総合的に分析した結果だと答えた(『正論』06年4月号)。
つまり伝聞と類推によるものであり、裏付けとすべきいかなる一次資料も存在しないのである。証拠が無いのだ。一方従来の河本大佐説にはたくさんの裏付け、一次資料が証拠として存在する。河本が磯谷中佐にあてた手紙には「今度こそヤる」と宣言されており、『昭和天皇の独白録』には田中内閣が倒れた裏事情として書かれている。河本の部下だった「尾崎義春少佐の回想記」にも細かい事情が書かれている。その他自白やインタビューを含め、山のように存在している資料を全て無視して、自己都合の陰謀論をさしたる根拠もないままに宣伝しているのが、田母神論文であった。
第一、田母神俊雄が描いたようなことが事実であるなら、戦前の我が国は米国やソ連、中共の陰謀にいつもいいように操られただけの情けない国という事になってしまう。そんな世界観で満足できるとしたら、よっぽど間抜けである。
実に不誠実な歴史との向き合い方をする田母神元幕僚長だが、このデタラメな歴史論文で自衛隊を辞めて以来、毎日のように講演であの戦争を「聖戦」として語り続けている。もちろん聞いている聴衆は、中韓嫌い、米には反発の靖国、伊勢好きな方たちである。神道国家主義カルトの方々だけが、あの戦争を「聖戦だ」なんて位置付けては喜んでいるからである。日本の中で「天皇に戦争責任はあるよ」と述べただけで拳銃で撃ったり、ナイフで刺したり、はたまた嫌韓捏造をしながらヘイトデモをするような連中だけが、拍手喝さいの「聖戦」論である。
歴史を自分のたわいのない空想でもてあそんで何が楽しいのか知らないが、いちいち修正するのは止めていただきたいものだ。
しかしこのツイート、よくもまあー
このブログも橋下発言はしっかり批判しましたが「歴史をまともに勉強した事のない無知な人たちが多いのです」とか、こんな間違いだらけの歴史観のお方に言われるとは・・・・実にとほほなお話でした。