河野談話を守る会のブログ2

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「暴かれたずさんな聞き取り調査」記事によって、暴かれた政府の恣意的な秘密の取り扱い方



去年の10月16日の朝刊で、河野談話の根拠の一つとなった「元慰安婦16人への聞き取り調査」を【産経新聞】がスクープした。
ギョッとした人も多いのではないだろうか?
内容は、産経がずっと書いていたようなデマカセに近い記事だったが、問題は、この「元慰安婦16人への聞き取り調査」をどうやって産経が手に入れたかである。

「元慰安婦16人への聞き取り調査」を20年間日本政府は、「非公開」としていた。それは、聞き取りの前に「非公開」にすることを韓国側と約束していたからである。道義上公開することは不可能である。

それは、この産経の記事から1カ月ほど経った後の山田宏議員の国家安全保障に関する特別委員会 での質疑からも分かるはずである。ここで山田議員は執拗に「公開」を迫っているが、政府参考人は、「非公開」を決して譲らない。(下参照)
その10日後に、同じ委員会でまたもや山田議員が「公開」を求めるが、今度は加藤内閣官房副長官 が
「公表はしないということで対応させていただいているところでございます。」 とこれまた頑なに拒否している。

山田議員のこうした主張は、20年も昔に韓国政府と日本政府が交わした約束を破棄させようとするものであり到底容認不能だが、では産経新聞はどうやってこの情報を得たのであろうか?『正論』誌2013・12月号では、この情報を元に西岡力「さらば河野談話 暴かれたずさんな聞き取り調査」を書き、20ページを越えるこの記事にはこの聞き取り調査の詳細が書かれている。

国会議員が議員の力を持ってさえ、読む事ができないような秘密文書を、なぜか一民間新聞社が読む事ができ、さらにそれをやはり民間人である西岡力が読んでいる。

この事実は何を意味しているのか?
言うまでもなく答えは、現政権が、一民間の新聞社や西岡力に、情報をリークしたと言う事である。情報を流したのだ。
つまり、安倍政権は一方では、「特定秘密保護法案」を造り、国家の機密に国民が触れる事ができないようにしながら、他方では自分のお仲間の一民間の会社に国会議員も読めないような秘密情報を恣意的にリークしているのである。

これはかなり恐ろしい出来事である。情報は新聞の生命である。他の民間新聞社が得る事のできない情報を産経が得る事ができる事を、この産経「聞き取り公開」事件が教えてくれている。これは例えば、一民間企業に政府要人が関わっているとして、その企業に「今度石油の関税を3パーセント引き上げるよ」と情報をリークしているようなものである。こうしてその会社は、関税が上がる前に石油を備蓄したり、石油製品を買い占めたりして、大儲けができると言う事だ。
特定の新聞社に特定の秘密情報をリークするとはそれと同様の出来事ではないだろうか?
さらに、こんな事が起きる可能性もある。例えば政府が口を封じたい新聞社に対して、警察権力を使って情報を集め、それをライバルであるS社にリークする。すると政府は、手を汚さないで制裁する事ができるし、S社はライバルを追い落として行けるという寸法である。

国会議員も知る事ができない政府の秘密情報を、一民間新聞社や一民間人が知る事ができたという出来事には、様々な不快な背景が存在しているのだろうが、それを他の新聞社が書かないのも不気味である。
この出来事は「秘密法」を造った安倍政権に秘密を扱う資格が無い事を意味しているというのに、いったい何をしてるのだろうか?




国会質疑


[002/003] 185 - 衆 - 国家安全保障に関する特… - 14号 
平成25年11月15日

○山田(宏)委員 それでは、例えば、平成五年、日本政府が行った韓国の元慰安婦十六人への聞き取り調査報告書というものがあるという報道がされていますけれども、こういった文書は存在しているんでしょうか。


○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
 河野談話作成に当たりまして、当時、政府といたしましては、関係資料の調査及び関係者からの聞き取り調査を行いました。その慰安婦の方々に関するヒアリング調査というものについても存在はいたしております。

○山田(宏)委員 この情報というのか、この書類は、文書は特定秘密には当たらないと考えてよろしいですか。

○佐々木政府参考人 法案では、安全保障上の情報ということになっておりますので、当該ヒアリング調査の結果につきましては、法案で言う特定機密に該当するものではないというふうに承知いたしております。

○山田(宏)委員 そうしますと、これは情報公開請求したら、出てきますか。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
 当時、十六名の慰安婦の方に対する調査結果でございますけれども、聞き取り調査の結果につきましては、特定の個人を識別できる情報を記録していること、また、当時、非公開を前提として聞き取りを行ったということでございますので、その内容については公表しないことといたしております。

○山田(宏)委員 しかし、この調査報告書によって我が国の河野談話がつくられ、そして、我が国が不当に批判をされる原点になっているんですよ。こんな情報は明らかにすべきじゃないですか。
 氏名が特定されるというのであれば、この氏名について黒く塗っても構わないから、明らかにするように求めますが、いかがですか。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御説明申し上げましたとおり、当時、特定の個人を識別できる情報を記録していること、また、非公開を前提として行った聞き取り調査に基づくということでございまして、その内容については公表しないという扱いにさせていただいておるところでございます。

○山田(宏)委員 個人を特定できなければ公表すべきだと考えておりますけれども、これは国家の名誉の問題なんですよ。
 公開をしてください。もう一度お答えいただきます。


○佐々木政府参考人 繰り返しになりますけれども、当時、特定の個人を識別できる情報を記録していること、また、非公開を前提として行っているということでございますので、その取り扱いについては、公表しないという取り扱いといたしておるところでございます。


○山田(宏)委員 証言というのは、その証言に対して反論ができなければ、それは証言として価値がないんですよ。そうですよね、弁護士として考えれば。証言が一方的に証拠にはならないんですよ。その証言が証拠としてなるかどうかというのは、それに対して反証の機会が与えられなければ、証拠として採用するのはおかしいじゃないですか。
 公開してください。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
 河野談話でございますけれども、当時、政府として、関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、河野談話のとおりとなっているというふうに承知いたしております。
 繰り返しになりますけれども、聞き取り調査の内容につきましては、先ほど申し上げたような状況から、公表しないという取り扱いにいたしておるところでございます。


この後で額賀福志郎が速記を止めている。




[001/003] 185 - 衆 - 国家安全保障に関する特… - 19号 
平成25年11月26日

○山田(宏)委員
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

例えば、この委員会でも私、お話しいたしましたけれども、かつて慰安婦の聞き取り調査をやりましたね。あの聞き取り調査のもとで河野談話がつくられたわけです。この慰安婦十六名の聞き取り調査の内容というものは、今、一部のマスメディアでは報道されています。
 私は、先日、これは特定秘密に当たるのかと聞いたら、特定秘密には当たりませんということでした。では、これを開示してください、こう申し上げましたら、いや、個人が特定される可能性があるからだめです。第二番目は、これは聞き取りのところで非公開を前提に調査したんだからだめです、こういうことなんですね。
 個人が特定されるといっても、報道されているものを見ると、名前の明らかじゃない人はいっぱいいますよ。名字だけとか、片仮名で書いてあるとか、それから名前だけじゃなくて生年月日、出身地すら不明な人たちばかりなんです。どうやって個人が特定されるのかねと、私は、まずこの点を疑念に思っています。
 さらに、この聞き取り調査の後、韓国の新聞に、何名かの元慰安婦の方々がインタビューに答えています。こういったことを見れば、どこまでが個人特定性があるのかというのは非常に疑問です。
 それから二つ目は、非公開を前提に調査したんだということは、そうすると、そういうことを文書にしたんですか。非公開を前提だったら、それは永遠に、百年、千年、一万年もこれは秘密なんですか。冗談じゃないですよ。これだったら、特定秘密よりひどいじゃないですか。こういう不明朗なものがあるというのは、私は非常に問題だと思っているんですよ。日本国の名誉がかかっているんです、これは。
 この慰安婦の問題についての聞き取り調査の内容について、例えば、例を挙げましたけれども、これは今後どうされるか、お聞きをしておきたいと思います。


○加藤内閣官房副長官 今、委員から御指摘のありましたように、この証言については、安全保障の条項には該当しないので、特定秘密には当たらないと。
 その上で、情報公開については、この聞き取り調査の結果については、今御指摘もありましたが、特定の個人を識別することができる情報を記録しているということと、また、非公開を前提として聞き取ったということで、その内容については公表しないということ、前回も御議論させていただいたところでありますし、また加えて、その一部についてということもありますけれども、たとえ氏名を伏せた等々、一部を非公開とする形であっても、他の文書や資料とあわせて個人を特定することが可能になるおそれがある、そういうことで、公表はしないということで対応させていただいているところでございます。