自分で墓穴を掘ってしまった大高未貴氏の公開した動画
安氏の指摘
安秉直(ソウル大学名誉教授)が、大高未貴氏の文春記事に対して、”歪曲”を指摘しているのは、次の3点である。
この指摘に対して、「いやあ、安先生、それは違いますよ。私の書いた通りなんです」と証明するために出して来た(はずの)大高氏の動画だが、ちっとも証明になっていない。
上の3点の指摘に対して、最後の河野談話の件は、まったくここでは触れてもいないし、この動画で触れている2点については、安氏の主張の通りである。
動画が語るもの
さて、大高未貴が公開した安氏取材の動画を簡単に文字起こししてみよう。見どころは、安氏が「面接調査した」か?「(19人について)実質的な調査失敗」などを述べているか、否か?である。
ここで注目しておかなければならないのは、大高氏が安氏に「この(本の)中の人はそんな違和感なかったですか?」と尋ね、安氏は「だいたい(大丈夫だ)」と答えており、ただ一人だけ間違いがあったような事を首をかしげながら述べている点である。
安氏は一人だけは調査失敗を疑っていると言えるだろう。
しかし、大高氏の文章では
となっており、なぜか「全員の調査失敗を認めた」というニュアンスで書いている。
これでは「歪曲」を指摘されて当たり前である。
また安氏の指摘①では、「全員と面談調査したことがあると言ったことはない」という。
確かにその通りであり、この動画では「接触した」「私が調査した」と言ってはいるが、「面接した」などの文言が取れていない。
気のきいたジャーナリストであれば、ここは「面接されたんですか?」と聞き返して正確な文言を取ろうとするだろうが、大高氏の場合、文言をとらないで「接触した」「私が調査した」という言葉を勝手に「面談調査」に変えてしまっている。
ちなみに安氏が自分で面接していないのは、慰安婦問題を専門とする我々の間では常識であり、前提として知っていなければならない知識の一つである。また安氏は日本語で対話が可能ではあるが、母国語のように使いこなせる訳ではないので、込み入った話は文書での応答を求めるべきだろう。
そもそも、こういった取材記事を書く場合、記事を書いた時点で、インタビューした安氏に「これでいいですか?」と内容の確認をするのが当然ではないだろうか?
それは、正確な事実を書くべきジャーナリストの努力というものだろう。大高氏が安氏と会ったのは、1月である。記事を書いて、安氏に送る時間は十分にあったものと思われる。
この動画の中で大高氏は、安氏と「日本語でメールのやり取りをしている」と述べており、もしそれが本当なら、安氏に記事になる前の原稿を送るのは簡単なはずである。
しかし、なぜかそうしておらず、記事が掲載されてから数日後に安氏がそれを知ったのである。安氏によれば「“報道しない”ことを前提に会って話をした」そうだから、大高氏の方は、話しつらかったという事情があったのかも知れない。
大高未貴公開動画
(なぜ、薄笑いを浮かべているのか?それは不安を感じているからだ。)