河野談話を守る会のブログ2

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朴裕河のこの主張は黒田勝弘(産経)の著作から誕生した!!





             1、黒田勝弘の著作と朴裕河の著作の比較


産経新聞記者である黒田勝弘が書いた『韓国人の歴史観』(文春新書)という本がある。

この本には、朴裕河「敵対関係ではなく同志的関係」の原型となる考え方が示されている。

例えば



「しかし歴史的想像力を含めて言えば、当時の日本軍と慰安婦との関係は、「強制と謝罪」論者がいうような敵対関係ではなく、むしろ協力関係だっただろう。」
『韓国人の歴史観p27)


「そこには敵対関係は無い」
『韓国人の歴史観p27)


 と書かれている。つまり「協力関係だった」というわけだ。

朴裕河はこの主張を大幅に取り入れている。抜き出してみよう。



(彼女たちは)「本格的に帝国主義に乗り出した国家に協力する存在
『帝国の慰安婦p39)



「・・・彼らの最後を疑似家族として見守る役割等をしっかりと果たしていた。」
『帝国の慰安婦p83)

 

朝鮮人慰安婦日本兵士との関係が構造的には「同じ日本人」としての<同志的関係>だったからである。」
『帝国の慰安婦p83)

 

朴裕河日韓関係を改善すると称して、この主張をそのまま取り入れ、証言集と文学作品を使って、さもそれが真実であるかのように糊塗している。

韓国で朴裕河「日本右翼の代弁者」と呼ばれることがあるのは、こうした内容によるのである。

それにしても、黒田自身が「想像力」の産物だという「敵対関係ではなく、むしろ協力関係だっただろう」という考え方を、そのまま証明するために文学作品を多用する朴裕河の方法論には、呆れてしまう。




             2、韓国で批判されて有名になった黒田の著作


韓国では黒田勝弘の書いた『韓国人の歴史観に対して、「朝鮮日報」が批判記事を書いている。そして挺対協などが、抗議に押しかけたと黒田は下の産経の記事に書いている。↓



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イメージ 1

2002年5月11日

赤線を引いた部分 ↓

「著書には歴史的想像力の問題としていえば、当時の日本軍と慰安婦は、(支援団体がいうような)敵対関係ではなく、むしろ協力関係だっただろうーという部分があるのだが、これが絶対許せないというのだ。」
「抗議してきた人々は・・・・この「協力」という見方が許せないというのだ。」
とも書いている。



この「協力」という見方を引き継ぎ、強めたのが、朴裕河の著作である。
だから、これを読んで「自分の考えと同じだ」と思うネトウヨも出てくるわけである。http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64839777.html
朴裕河ネトウヨ産経新聞の記事を読んで、影響を受けているからだ。

        3、やはり、歴史学者による研究を無視

黒田勝弘の著作の特徴の一つは、彼が歴史学者による専門研究をまるで無視している事である。(この特徴は朴裕河にも引き継がれている
例えばこんなことを書いている。
いわいる従軍慰安婦に旧日本軍が関与したのは事実である。「慰安婦の対象が戦地における日本軍将校だったことを考えれば、監視・監督・管理などで軍の関与は当然であろう。この関与には保護の意味も含まれる。これは例えば、戦地でなくても沖縄の遊行街における米軍将兵を対象とした「A・サインバー」への米軍当局の「関与」もそうだし、韓国における韓国軍や米軍基地周辺での民間業者に対する規制・管理なども同じである」
(p24)

 いったいいつの時代の「慰安婦」論なのだろうか?

これは、最初から「強姦が蔓延した軍が兵士の性処理のために、女性を集め「慰安所システム」を造った」・・・という慰安所に関する歴史研究をまるで無視しているのである。

河野談話」が出される前の政府調査によって出て来た資料さえ把握しておらず、それ以後に発掘された資料や歴史学者による論文をまるで理解していない。


ついでだから、歴史学者による見解を掲載しておこう。


歴史的にいえば、日本軍の慰安所は、所属する軍構成員の性欲を処理させるために、日本の陸海軍が設置した軍の後方支援施設であり、そのような軍慰安所で軍人達の性欲を処理するために過酷な労働に従事させられた女性達すなわち軍慰安所従業婦が「慰安婦」と呼ばれました。日本軍は軍慰安所を軍の戦時編制上、必要不可欠の要素と位置づけました。ある程度以上の大きさの部隊には必ず慰安所が付設されたのです。そのため戦争の拡大とともに日本軍の野戦兵力が増大するにつれ、多数の「慰安婦」が必要となりました。しかし、誰も好きこのんでこのような業務につく者はいません。軍の需要を満たすために、軍はすでに存在していた実質的な人身売買制度を大いに利用しましたが、それだけではまかないきれません。必要とする「慰安婦」を充足させるために、軍の意向を体した女衒たちが拉致、誘拐、就職詐欺などの方法で女性を集め、軍はそれをそのまま収受して慰安所で働かせました。さらに前線末端の部隊ではそれこそ文字通り人さらい的に占領地の女性を無理矢理連行し、「慰安婦」の調達をはかることもおこなわれました。

京都大学大学院文学研究科教授/専門近現代史
「永井和の日記」 
http://ianhu.g.hatena.ne.jp/nagaikazu/20140819


こうした歴史学研究をまるで無視しているのが、産経新聞とその論説委員黒田勝弘の意見である。

 さらに「慰安婦の無権利状態=奴隷化」については永井教授はこう書いている。
軍および政府は、軍が性欲処理施設を軍の編制に組み込み、女性をそこで働かせているという「恥ずべき」事実については、これをできるかぎり隠蔽する方針をとりました。軍の威信を維持し、出征兵士の家族の動揺を防止するために、すなわち日本帝国の戦時総動員体制を維持するために、慰安所と軍・国家の関係は公的にはふれてはいけないこととされたのです。慰安婦」は軍・国家から性的「奉仕」を要求されると同時に、その関係を軍・国家によってたえず否認され続ける女性達であったといえましょう。軍は慰安所に関する規則をつくりましたが、このような方針がとられたために、「慰安婦」の保護に関するものはひとつも含まれていません。日本国内や植民地の公娼制度と比較しても、「慰安婦」はまったくの無保護、無権利状態におかれていたといわざるをえません。

これまでの研究成果をまとめており、当たり前のことだと思う。この中の軍が設置した軍の後方支援施設という部分以外は、1999年に黒田勝弘がこの本を書く以前から大要が変わっていない。

黒田勝弘京都大学卒業生として、永井教授の近現代史講義でも受けたらいかがだろうか?

まあ、産経新聞は<歴史戦>とか言いながら、いまだに「南京虐殺は無かった」なんて一面で掲載する呆れた新聞なので、その論説委員が、呆れた内容を書くのもうなずけるのだが。

しかしこの人、93年ころまでは、まともな文章を書いていたのである。ところが、「慰安婦」問題が勃発すると93年ころから友人である豊田有恒西岡力とともに、「韓国は反日」ばかり書くようになった。

機会があればいつかその変質ぶりを紹介しようと思う。