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日本政府が、RAAを設立した理由としての南京事件





小林よしのり週刊ポスト2013/05/31号に書いた『あえて問う、従軍慰安婦は必要だった』という記事がある。ファジーさが苦手な若者には受けがいいのかもしれないが、相変わらず、自分の脳内妄想にすぎない意見を断定的に書いている。

その中にこういう件(くだり)があったので、少し批判しておこう。


アメリカ下院議会は2007年7月に「慰安婦に対する日本政府の謝罪を求める決議」を採択しているが、当の米軍が朝鮮戦争でもベトナム戦争でも現地女性を集めた軍用の売春宿を持ってきた。日本が戦争に負け、占領軍を受け入れる際にも、日本政府は米兵向けの慰安所特殊慰安施設協会(RAA)」を設置している。なぜ国がわざわざ慰安所を作ったのかというと、日本と同様に敗戦したドイツでは米兵によるレイプが頻発し、沖縄戦でもレイプ被害が甚大だったからである。      週刊ポスト2013/05/31号『あえて問う、従軍慰安婦は必要だった』)


ここで小林は敗戦直後の日本政府が「特殊慰安施設協会(RAA)」を設置した理由について、「敗戦したドイツでは米兵によるレイプが頻発し、沖縄戦でもレイプ被害が甚大だったから」と説明している。

しかし、こうした小林の主張に何か根拠があるわけではないだろう。彼が頭の中で妄想した事を書いているだけである。
敗戦したドイツや沖縄で米兵による強姦が無かったというのではない。しかし、それがRAAを設立した理由などにはなっていない。

当時警視総監だった坂信弥によれば日本政府が、RAAを設立した理由は、「南京事件での皇軍の暴行のようなことが起こるのを心配したため」である。



  東久邇さんは南京に入城された時の日本の兵隊のした事(強姦の頻発)を覚えておられる。・・・・それでアメリカにやられたら大変だろうなという頭があったんだろうと思いますね。・・・・どうしたらいいのかということで、やはり慰安施設をね、一応さばく所をこしらえておこうじゃないかという事が内閣の方針として決まったのですね。それから内務省に回ってきた。
 

   (当時警視総監だった坂信弥の談話「終戦前後の内務省及び地方庁の活動状況」座談会『大霞』より)

もちろん小林のような南京大虐殺否定論者には、認めたくない事なのだろうが、南京で大量の殺害と強姦が引き起こされたのは、それなりの立場の者たちには知られていることだったのである。

そして、こういう細かい部分をいちいち指摘しておくのも重要だろうと思う。それにしても、藤岡とか小林とか・・・この手の妄想的な人物ばかりに歴史を語らせようとする昨今の雑誌・週刊誌はいったいどうなっているのだろうか?