河野談話を引き継ぐというのだが・・・約束を守らない日本政府と関連公文書を巡る攻防
●河野談話の約束
その謝罪部分は、こうなっている。
「改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」
そして、同時に「我々はこれこれこうします」と今後の展望を約束している。
すなわち
①「われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。」
②「本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。」
と2つの事を約束したのだ。
つまり謝罪して、同時にその条件として◆「歴史研究、歴史教育」◆「裁判と民間研究への関心」を国民と国際社会に対して約束したのである。
にも関わらず日本政府はこれらの約束をまったく果たしていない。民間の歴史研究は完全に無視し、歴史教育は中学の歴史教科書から(今年に入って1社以外は)完全に消えているのが今日的実情である。
「自民党特命委員会」は「道義国家・文化国家を目指す事をー提言」している。(先日の記事http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65137630.html)
結構な話だが、約束を果たさないで、道義国家になれるわけがない。日本政府は、これまで常に河野談話を継承することを表明して来た以上、ただちに約束を守り、これまで民間研究者が発掘して来た資料を精査し、政府資料とし、また歴史教科書に「慰安婦関係」の著述を義務つけるべきである。
●1994年、東京で開かれた第12回アジア連帯会議から、日本政府に提出された538点の公文書資料の行方
さて、去年の6月初旬、我々は日本政府に対して、「河野官房長官談話後に発見された日本軍『慰安婦』関連公文書」の一群を提出した。しかし内閣官房は、一応は受け取ったものの、それらを政府所収資料に加えることを拒否している。「アジア連帯会議」では申し入れ後も何度か、政府関係者と話し合ってはいるが、らちがあかないとはこの事だろう。
<申し入れ書>が書いているように、慰安所が軍の正式な施設として位置づけられていたことを示す公文書として「野戦酒保規程改正ニ関スル件」や、「慰安婦」を徴集したことを隠すため、憲兵隊長が軍の資金を用いて隠蔽工作をした事実を示したバタビア 25 号事件に関する法務省資料(三警事件)も含まれている。
現在、WAMのサイトが詳しい内容を公開しているので見ていただきたい。
http://wam-peace.org/koubunsho/list-001.html (公開されている資料、右の画像をクリックすると内容を見ることができる)
「同日の調査結果の発表までに政府が発見した資 料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである」 (内閣衆質一六六第一一〇号への答弁 2007 年 3 月 16 日)