橋下妄言録 「慰安所はどこにでもあった」論を振り返る
橋下徹市長は最初から、研究者でも何でもない。
その『産経』、『正論』、『will』、『文芸春秋』などに掲載される論説の多くが、事実関係については秦郁彦の著作に依存している。ところがこの秦郁彦の著作というのが、一次資料のデタラメな解釈から成り立っているというシロモノであり、本ブログでは多数の問題点を指摘して来た。
林博史が指摘した「写真や図表の無断盗用、資料の書換え・誤読・引用ミス、資料の混同、意味を捻じ曲げる恣意的な引用・抜粋など」(『秦郁彦「慰安婦と戦場の性」批判週刊金曜日290号http://www.geocities.jp/hhhirofumi/paper44.htm)の他にも、各論説の矛盾や多すぎる論説の変節などが存在しており、とても歴史学者が書いたものとは思えない著作物である。
もちろん秦にも言い分があるだろう。例えば『戦争責任研究』(2000年夏季号、p81)で、『慰安婦と戦場の性』という著作に関して「この本は学術書ではなく一般書」だと述べているが、一般書だからと言ってデタラメを書いていいわけではない。そして秦には、専門性の高い歴史学界で発表した慰安婦・慰安所に関する研究論文・研究書など一つとして存在していない。査読を受けたものが存在しないのである。
一方で、『新しい歴史教科書を造る会』主催の会合で講演を行ったりしている。藤岡信勝は1995年6月の南京事件についてのパネルディス カッションで秦から「次の企画として「従軍慰安婦」問題をとりあげることをサジェストされ」「その後も秦氏からは折にふれて慰安婦問題の情報をいただい ていた」(『教育科学』1996年11月号)と述べている。そこから「慰安婦問題否定論」の歴史が始まったのである。つまり彼らの論説は秦論説からネタ受けしているのである。秦がどこを向いて文章を書いているのかが分かるだろう。
ここで橋下が述べた「(慰安所・慰安婦は)当時はどの国にもあった」論もすでに述べたように(http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65258118.html)、秦論に大幅に依拠するものと思われる。そしてその秦論は『慰安所は戦地における公娼施設、民間の売春施設であり、軍に責任はない』という右翼政治家達の意見をそのまま肯定するために書かれている。
2012年9月25日
http://t.co/17CG9gMX戦時中の慰安所・慰安婦は今考えると不幸なことだが、しかし当時はどの国にもあった。国際社会において日本が責められているのは、暴行・脅迫・拉致で国を挙げて強制連行したということで、これは今のところ全く証拠がない。posted at 19:14:02
2012年9月26日
軍がというよりも日本国家がですけどね。国際社会で日本が批判されているのはこの点です。戦争当時、慰安所はどの国も抱えていました RT @Elcondor_Pasa: 要するに軍が【直接的に徴用】した証拠は出て来ていないというのがお話の本質と捉えていますが間違ってませんでしょうか?posted at 09:40:06
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2013年5月14日
この頃、誰かに入れ知恵されたらしく、「戦場の性」「戦場と性」という言葉を使い始める
5月14日
強姦はどこにでも有ったと言いたいのだろうか?
「慰安所はどこにでも有った」と初期には述べていたが、そんなことは無いと指摘されたので、大きく旋回している。そこで「戦場の性」とか「戦場と性」とか使い始めたのである。
彼は当時、この手のツイートを何百としていた。
2013年5月15日
2014年08月14日
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「「慰安婦必要だった」 橋下氏の「妄言」を批判=韓国」聯合ニュース日本語版/2013/05/13
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2013/05/13/0400000000AJP20130513003300882.HTML
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2013/05/13/0400000000AJP20130513003300882.HTML
「日本「韓国に外交ルート通じ説明」=橋下氏「妄言」」聯合ニュース日本語版/2013/05/14
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/05/14/0200000000AJP20130514001600882.HTML
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/05/14/0200000000AJP20130514001600882.HTML