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「吉田型強制連行」を焦点にしたがる側の思惑についての考察



この動画「少女物語」
日本語翻訳バージョンは無いのだろうか?

ちなみに、木村幹はこの動画を元に、

「重要なのは、韓国最大の元慰安婦支援団体やその関係者が、代表的な元慰安婦の事例としてわざわざアニメーションまで作って世界に紹介している事例が、多くの日本人が想像するようなむき出しの「強制連行」の事例ではないことなのである。

このことが意味するのは、もはや、挺身隊対策協議会に率いられるような元慰安婦支援活動を行う人々が、多くの日本人が重視するような慰安婦の動員過程における強制連行――秦郁彦の用語を用いれば「狭義の強制連行」――の有無を最大の争点だと考えていない、ということである。」

と書いているが、秦郁彦の方もそんなことは先刻承知であり、1999年の『慰安婦と戦場の性』p253では、挺対協の『強制連行された朝鮮人慰安婦たち』に、吉田清治証言への疑義が書かれていることを挙げ、それが韓国政府に「強制連行がなかった」と確信させた事にしている。



イメージ 1










(慰安婦と戦場の性』p253)


つまり、少なくとも1999年の段階で秦は、挺対協が吉田証言に否定見解を打ち出していた事を把握していたことになる。

だから、論争を次の段階に進めるのがあたりまえだが、秦はそうしないで、「吉田清治の言うような狭義の)強制連行があったか?無かったか?」を焦点にし続けたし、同じことを安倍政権、日本政府も追随していたのである。



 
(日本政府は2016年の2月16日に開かれた女子差別撤廃委員会で「・・・右調査とは、関係省庁 における関連文書の調査、米国国立公文書館等での文献調査、更には軍関係者や慰安所 経営者等各方面への聞き取り調査や挺対協の証言集の分析等である。当該調査を通じて 得られた、日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲による「強制連行」は 確認できなかった。 」と主張した)
2016216日女子差別撤廃委員会
  7回及び第8回報告審査に関する女子差別撤廃委員会からの質問事項に対する回答
 
・・・・・(略)・・・・・
2.以上の経緯を踏まえ、委員会から提起された質問に対しては次のとおり回答する。 (1)「『慰安婦』の強制的連行(forcible removal)を示す証拠はなかったという最近 の公式声明」に関する質問について 日本政府は、1990年代初頭以降、慰安婦問題が日韓間における政治問題として取 り上げ始められた際、事実関係に関する本格的な調査を行った。右調査とは、関係省庁 における関連文書の調査、米国国立公文書館等での文献調査、更には軍関係者や慰安所 経営者等各方面への聞き取り調査や挺対協の証言集の分析等である。当該調査を通じて 得られた、日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわいる「強制連行」(forcible removalgovernment authoritiesは 確認できなかった。
 
(2)「中国や東ティモールを含む、アジア女性基金の対象外となる国々の『慰安婦』 に対する補償措置を講じ、加害者を訴追する意思があるか」という質問について そのような意思はない。
・・・・・(略)・・・・・


同じことが西岡力にも言えるだろう。
論争を吉田清治(狭義の強制連行)に絞りたいのである。

それは、「論争を吉田清治(狭義の強制連行)に絞る」のが、右派にとって唯一有利な部分だからだ。だから、そこがすでに焦点になりえないことを知っていながら、「(吉田清治の言うような狭義の)強制連行があったか?無かったか?」以外に焦点は無いという事にしたのである。


小ずるいやり方である。


木村幹にこうした考察は不可能だろう。彼にとって慰安婦問題は、日韓の政治的イシューでしか無いからである。ゆえに誰が、どんな認識を元にどんな誤魔化しをしたか?は、関心の外にあるのだ。
まあ、そこを追及しようとすると、膨大な調査と知識が必要となり、疲れてしまうのだが。