河野談話を守る会のブログ2

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裁判はいつも良心を取り戻すための闘いである(1)植村さんの娘さん裁判



先月の終わりから今月にかけて裁判情報が二つ入っているので、ご報告しておきたい。


 昨日のニュースである。

下の記事はどちらも、3日の17時すぎの配信だが、ちょうどこの時間私は植村氏の裁判の報告集会に参加しており、植村氏本人の口からこのニュースを聞いている。
「勝ったんだって」ととなりに座っていた友人はそう言いながら目をキラキラさせていた。

写真や個人情報をさらした上に、脅迫的言葉を吐いた卑劣な被告が敗訴するのは当たり前だが、実際に判決が確定するまでは何があるか分からないのだ。
そして、日本の司法が完全に腐敗しているわけでもないことが証明されたのであった。

             裁判所の腐敗した世界
日本の裁判所は、1960年ころから逆コースを辿り始めた。1969年1月11日には、後に元号法制化実現国民会議」の呼びかけ人となる石田和外が最高裁判所長官に就任している。
元号法制化実現国民会議」は、後に日本を守る国民会議」に発展し、1997年には「日本を守る会」と合同して「日本会議」が生まれている。最高裁長官が右翼団体の関係者であるなんてシャレにもならない。

この頃から裁判所にきな臭い空気がただよいはじめ、山本祐司の最高裁物語(上・下)』(日本評論社、1994年によれば、石田は判事の事実上の指名権者として、リベラルの傾向が強かった青年法律家協会系の裁判官を排除した。この裁判官の構成変更が、数の上では、後の大法廷における行政寄り(右寄り)判決続出の一因となっているという。

2001年から2015年6月まで日本会議会長をつとめた三好 達は、こうした空気の中で1995年最高裁判所長官就任している。
今日では、靖国神社崇敬者総代も務めている三好は、任期中に愛媛県靖国神社玉串訴訟大法廷判決(最判平9.4.2)を迎え、違憲とした多数意見に対し、「公費支出に宗教的意義はなく合憲」という意見を可部恒雄と共に述べている。http://article9.jp/wordpress/?p=1364
三好の意見は、法律よりも自分の好悪判断に根ざしており、靖國神社戦没者慰霊の中心施設であり、国や地方公共団体が慰霊を行うことを容認する方向性をもっている。http://nippon-ehime.jp/yotei/1502.html

こうした人物たちが最高裁判所を牛耳り、その指名権を行使して来た以上、とくに靖国をはじめとする神社からみではまともな判決がなされるわけがない。それゆえ政教分離に関して、1960年代の津地鎮祭違憲訴訟をはじめとして多数のトンデモ判決がなされて来たのである。

事務局が気に入らない判決を出せば、左遷人事が待っており、たえず上の目を気にしながら判決を出さねばならず、ストレスが溜まる裁判官の犯罪も多いのが実情なのだ。



又、元最高裁判事であった瀬木比呂志によると、2001年当時、最高裁判所に対して、自民党公明党が名誉棄損基準緩和の圧力をかけたという。
『ニッポンの裁判』(講談社現代新書によれば、森喜朗首相の多数の失言を受けて世論やマスコミから激しく批判され、連立与党の公明党も、最大支持母体の創価学会が週刊誌などから「創価学会批判キャンペーン」を展開されるなど、逆風にさらされていた。そのような状況下、自公は衆参法務委員会などで裁判所に圧力をかけ、裁判所がそれを受けて最高裁を中心に名誉棄損の主張を簡単に認めるように裁判の基準を変えたのである。賠償額も高額化させ、謝罪広告などを積極的に認めるようになったという。

我が国では、「三権分立」など、お正月のお餅のようにコナゴナに砕いてしまう勢力がある。

こうした状況を知る我々としては、裁判はいつも綱渡りのようなものである。靖国、神社の政教分離、歴史問題に関する裁判には、理由もよく分からないような妙な判決が多いのである。
私見を言わせてもらえば、日本の裁判はまず裁判官に良心を取り戻させるための闘いから始まるのである。裁判では、被告や参考人が、良心に元づいて真実を述べることを誓うが、我が国では裁判官にも良心に元づく判決を要求しなければならない。



慰安婦問題」植村隆氏の娘をツイッターで中傷、男性に170万円賠償命令

弁護士ドットコム 8月3日(水)17時36分

従軍慰安婦問題の記事を書いた元朝日新聞記者の植村隆氏を父に持つ19歳の女性が、ツイッターに自身の顔写真や誹謗中傷の投稿をされたとして、投稿主の中年男性に損害賠償を求めていた訴訟の判決が8月3日、東京地裁であった。裁判所は「投稿が、原告のプライバシーや肖像権を侵害する違法なものであることは明らか」として、男性に請求通りの170万円を支払うよう命じた。

判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した、女性側弁護団長の阪口徳雄弁護士は、「(同種の裁判で)一般個人の慰謝料の金額としては異例。無関係な家族や子どもをネット上で攻撃する風潮はあってはならないという、裁判所の考えが表れているのではないか」と話した。

植村氏は1991年、従軍慰安婦問題に関する記事を書いた。2014年3月に朝日新聞を退職したが、一部週刊誌が記事の内容を「捏造」と報道したことから、ネットを中心にバッシングが発生した。

朝日新聞は同年12月、記事に表現上の誤りや用語の誤用があったことを認めたが、捏造については否定。植村氏は現在、名誉回復を求め、週刊誌を相手に訴訟を起こしている。

●「健全なインターネットの利用」考える機会に

判決によると、問題のツイートは女性が高校2年生だった2014年9月に投稿された。ツイートの中では、女性の顔写真とともに、名前や学校、学年が示されており、「超反日サラブレッド」など誹謗中傷する言葉も書かれていた。

裁判所は投稿当時、植村氏や家族に対する、脅迫状やネット上のバッシングが多数あったことを認定。「当時17歳の高校生であった原告の恐怖及び不安は耐え難いものであったと考えられる」と指摘し、問題の投稿を「悪質で違法性が高い」ものと判断した。

会見では、「匿名の不特定多数からのいわれのない誹謗中傷は、まるで、計り知れない『闇』のようなものでした」とする女性のコメントも読み上げられた。

コメントの中で女性は、今回の判決について「不当な攻撃をやめさせるための契機になってほしい」「健全なインターネットの利用とは何かについて、考える機会になってほしい」などと思いをつづっている。

●匿名ユーザーも「最後は突き詰められる」

裁判を起こすためには、相手を特定する必要がある。弁護団によると、匿名であるツイッターの投稿者を特定するため、裁判前にプロバイダ責任制限法に基づいた、複数の手続きを行ったという。

弁護団はまず、米国ツイッター社から投稿者のIPアドレスなどを入手。続いて、入手したIPアドレスをもとに、国内のプロバイダーに投稿者の氏名や住所の開示を求めた。いずれも東京地裁に仮処分の申し立てや訴訟を提起する必要があったため、今回の裁判を始めるまでに1年以上の時間がかかったという。

阪口弁護士は、「(ネットの匿名ユーザーは)およそ見つからないと思ってやっているだろうが、限界はあっても最後は突き詰められる可能性がある。今回の判決で再確認できた」と語った。
弁護士ドットコムニュース編集部


NHKニュースWEB
ネット公開 元記者の長女勝訴
08月03日 17時29分

慰安婦問題を取材していた朝日新聞の元記者の長女が、ツイッター上に実名や顔写真などをさらされプライバシーを侵害されたと訴えた裁判で、東京地方裁判所は「父親の仕事への反感から娘を攻撃した悪質な行為だ」として、投稿した男性に170万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、朝日新聞慰安婦問題を取材していた元記者の19歳の長女が、おととしツイッター上に、この記者の娘として実名や顔写真などをさらされてプライバシーを侵害され、危害を加えられるおそれが生じたなどとして、投稿した男性に賠償を求めたものです。
男性は「自分の投稿だけが原因で危険が増したわけではない」などとして、訴えを退けるよう求めていました。
3日の判決で、東京地方裁判所の朝倉佳秀裁判長は「危害を加えるという脅迫状が元記者に送られるような状況のもとで、投稿によって原告本人が記者の娘として容易に特定されるようになった」と指摘しました。
その上で「父親の仕事への反感から未成年の娘を攻撃した悪質な行為だ」として、170万円の賠償を命じました。
判決のあと、原告の弁護士は「ネット上で無関係の家族を攻撃する風潮はあってはならない。匿名の書き込みでも投稿者が特定され高額の賠償が命じられることを示した意義のある判決だ」と話しました。
判決のあと、元記者の長女は、弁護士を通じてコメントを出しました。
この中で、当時の気持ちについて「ひぼう中傷の言葉が大量に書き込まれた時、私は『怖い』と感じました。匿名の不特定多数からのいわれのないひぼう中傷はまるで、計り知れない『闇』のようなものでした」と振り返っています。
その上で「今回の判決がこうした不当な攻撃をやめさせるための契機や、健全なインターネットの利用とは何かについて考える機会になってほしいと思います」と訴えています。