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【少女像問題】ムキになって過剰反応して一体、何の得があるのか?

【韓国・釜山の日本総領事館前の少女像】に対する安倍政権の過剰反応を指摘する『日刊ゲンダイ』の記事をまず読んでみよう。


 少女像設置に過剰反応 安倍政権は「韓国外交」でも大失敗(2017年1月8日配信『日刊ゲンダイ』)
 
 米国には揉み手でヘーコラするのに、中韓にはやたらと居丈高に出る安倍政権らしい対応だ。韓国・釜山の日本総領事館前に少女像が設置されたのを受け、日本政府は6日、長嶺安政駐韓大使の一時帰国や日韓通貨スワップ(交換)協議の中断など4つの対抗措置を発表した。
 尹炳世外相は早速、長嶺大使を呼び、遺憾の意を表明したが、これで安倍政権が「歴史的で画期的」と自画自賛していた一昨年12月の「日韓合意」が吹き飛ぶのは確実だ。まっ、安倍首相は「日韓合意」直後の国会答弁で、「(日韓合意は)戦争犯罪の類いのものを認めたわけではない」「政府が発見した資料には軍や官憲による(慰安婦の)強制連行を直接示すような記述は見られなかった」と強弁し、ハナからヤル気ナシだったから、ほっとしたのが本音だろう。
■「日韓合意」の本質を伝えなかったツケが
日ロ首脳会談ではプーチンに手玉に取られ、オバマのご機嫌うかがいでハワイ・真珠湾を訪問せざるを得なくなるなど、最近は政権基盤である保守層の支持離れも懸念されていただけに「起死回生」のチャンスと考えたのかもしれない。ナショナリズムをあおって支持率を上げるのが安倍政権の常套手段とはいえ、大使の一時帰国まで踏み込むのは異例の強硬手段だ。ネトウヨは大喜びしているが、コトはそう単純ではない。元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
 「日韓合意というのは、安倍政権と朴政権との間で結ばれた話であって、未来永劫、守ることを約束したものではありません。だから、朴大統領が国会の弾劾訴追案可決で職務停止に追い込まれ、死に体状態になった途端、こういう状況になったのです。日本政府は日韓合意の“本質”を国民にきちんと伝えず、『歴史的』などと強調した。この欺瞞があったために今回、厳しい対応を取らざるを得なくなったのです。しかし、日本が強硬姿勢を取るほど韓国側の反発も大きくなり、次の大統領選で政治課題化することになるでしょう」
 韓国の次期大統領選をめぐっては、国連前事務総長の潘基文ら複数の候補の名前が取り沙汰されているが、対日姿勢が政治課題化すれば一気に躍り出てくるとみられるのが城南市の李在明市長だ。
 「朴政権批判の急先鋒で知られる李市長は、日本について『事実上の敵国』と発言するなど反日感情が強い。“韓国のトランプ”と呼ばれる人物です。大統領に就いたら、過激な対日強硬論を唱えるのは間違いない」(在韓ジャーナリスト)

 粛々と対応をしていればよかったのに、ムキになって過剰反応して一体、何の得があるのか。安倍首相の掲げる「地球儀俯瞰外交」はホント、国民を不幸にするだけだ。


長嶺安政駐韓大使の一時帰国や日韓通貨スワップ(交換)協議の中断など4つの対抗措置を発表したというのだ。たかだか民間人が造った少女像に対して、この過剰反応ブリは一体何なのか。

結びの部分で、
【ムキになって過剰反応して一体、何の得があるのか】と日刊ゲンダイは疑問を述べているが、得になる事は、いうまでもなく【支持率】である。

                ★


安倍政権の支持率は、NHK調べでさえ、去年の10月ころには下降していた。http://saigaijyouhou.com/blog-entry-13750.html
(この手の数字が各社バラバラなのはいつものことだが、だいたいの傾向として)





(この50%という数字も信用するのが難しい。今日のNHKの政権寄り体質から考えれば、いくらか水増ししていると推測しうる。)

これに対して、安倍政権が打って出たのが、ロシアのプーチンとの会談である。しかし、いいようにあしらわれ結果を出すことができなかった。結果12月の支持率は【共同通信】も【産経新聞】も低下している。


安倍内閣支持率下落 カジノ法案と日ロ交渉で

 共同通信社が17、18両日実施した全国電世論調査によると、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法の成立を踏まえ、カジノ解禁の賛否を尋ねたところ賛成が24.6%、反対は69.6%に上った。先の日ロ首脳会談を「評価する」が38.7%、「評価しない」は54.3%。内閣支持率は前回11月よりは5.9ポイント下落して54.8%、不支持率は34.1%となった。

 自民党などが先の臨時国会カジノ法成立を急いだことや、15、16両日の日ロ首脳会談で北方領土問題が進展しなかったことが支持率低下につながったとみられる。
[ 2016年12月19日 05:30 ]


このままでは、毎年起こっている右翼団体の安倍政権への街宣攻撃がまた増えるだろう。http://www.npa.go.jp/keibi/biki/kaiko_to_tenbou/H26/honbun.pdf右翼勢力の支持を失うことは安倍の死活問題なのである。さらには自民党内での支持を失うことにもなりかねない。
そこで伝家の宝刀慰安婦問題”の登場である。安倍は、5年前の2012年の9月から12月にかけて「河野談話破棄」を唱え、右翼勢力の支持をとりつけて総裁・総理になったのである。
(もちろん総理になるやいなやヌラントに批判され、河野談話破棄」をひっこめ「河野談話を引き継ぐ」にクルリと変わったわけだが。)

慰安婦問題は安倍にとって、支持率をアップさせる魔法の呪文なのである。

そこで「少女像」だ。

                  ★★


合意直後から、安倍政権はアドバルーン記事を飛ばしまくっていた。 http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65638667.html
そして、12月30日の朝日新聞の記事では、釜山に造られた少女像について、「安倍首相の側近が「まるで振り込め詐欺」と批判した」ということになっていた。これに対して、弾劾を控えて「死に体」の朴クネ政権は、何も有効な反応をしなかったhttp://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65773950.html。そこで、安倍は”くみしやすい”と見て、一気にしかけたのが、今年の1月6日だったのである。



http://www.jiji.com/jc/article?k=2017010600311&g=pol

駐韓大使ら一時帰国へ=少女像設置へ対抗措置-政府

 菅義偉官房長官は6日午前の記者会見で、韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像が設置されたことに関し、長嶺安政駐韓大使を一時帰国させるなどの対抗措置を講じると明らかにした。一昨年の日韓合意の精神に反するとして、異例の強い措置に踏み切った。
 菅長官は少女像設置について「日韓関係に好ましくない影響を与えるとともに、領事機関の威厳を侵害するもので極めて遺憾だ」と表明。当面の間、(1)長嶺大使、森本康敬釜山総領事の一時帰国(2)釜山総領事館職員の釜山市関連行事への参加見合わせ(3)日韓通貨スワップ(交換)協議の中断(4)日韓ハイレベル経済協議の延期-の四つの措置を取ると説明した。
 政府は6日までに、外交ルートで韓国側に伝達。措置をいつ解除するかについて、菅長官は「状況を総合的に判断する」と述べ、韓国政府の対応を注視する姿勢を示した。
 2015年12月の日韓合意では、ソウルの日本大使館前に設置された少女像に関し、「韓国政府は関連団体との協議を通じて適切に解決されるよう努力する」とされた。だが、その後、撤去などの動きは進まず、釜山の像についても韓国政府は積極的に阻止しなかった。日本政府高官は対抗措置について「日本の強い抗議の姿勢を示した」と語った。(2017/01/06-12:25)


1月6日の記者会見で菅官房長官が述べたことはまったくのデタラメな理屈だった。まず2015年12月28日の合意では、謝罪したはずなのに、逆に攻撃している。なぜか立場を入れ替えているのだ。それは多くの元慰安婦たちが見抜いたように、謝罪のフリをしただけで本当の謝罪ではなかったからだ。
さらに四つの措置を強行する理由が民間人が合意にまったく無関係な「釜山の像」が造ったからというのでは、脳みその中身が疑われても当然である。まるでヤクザ者のイチャモンをつけるやり方によく似ている。

そもそも「日韓合意」では「釜山の像」の事なんてまったく触れていない。(別の場所に)「これ以上、像を増やさない」とかいう内容もない。ソウルの像についてだけは触れているが「韓国政府も可能な対応方向について関連団体との協議等を通じて適切に解決されるように努力する」という内容であって、この文脈はどうしても達成しなければならない義務ではないのだ。

時事通信】によれば、菅は「釜山の像に対する対抗措置として、(1)長嶺大使、森本康敬釜山総領事の一時帰国(2)釜山総領事館職員の釜山市関連行事への参加見合わせ(3)日韓通貨スワップ(交換)協議の中断(4)日韓ハイレベル経済協議の延期-の四つの措置」を取るというのだが、やりすぎというより、最初から少女像に対する文句自体がまったく”言いがかり””いちゃもん”の類であり、日韓関係を破壊するだけの行動である。

そんな事をする理由は、「朴政権が弱っているから反撃できない」というだけであろう。「米国には揉み手でヘーコラするのに、中韓にはやたらと居丈高に出る安倍政権」と日刊ゲンダイは書いたがまさにそういうことだ。


                    ★★

政治家が人気を得る手段の一つが、「強さ」や「勇ましさ」をアピールすることだ。人は「強さ」が好きである。力道山が人気があったのは、ずっと勝ったからだ。大山 倍達の空手がブームになったのは「無敗」という神話があったからだ。囲碁でも将棋でも、強くなければ人気は出ないのである。
そういうわけで大衆の心理をつかみたい政治家は強そうにふるまう。ヒトラーのように勇ましい演説が、大衆操作の基本戦略なのである。安倍がやっているのがまさにそういうことなのだ。ロシアのプーチンとの会談の前も「私の世代で終止符を打つ」と安倍は勇ましく述べていた。http://ironna.jp/theme/688 

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安倍の強さのアピールや勇ましい言葉には注意が必要である。それは、ジャロに訴えるべきただの虚偽的宣伝だからだ。そして、自分の人気回復のために対立を煽っているこんな自己中な政権に外交を任せておけば、日本の外交は破壊されるということを肝に銘じておくべきである。