少女像を「ザーメンまみれにしよう」という筒井康隆ー抵抗する精神の乏しさ
これである。
(すでに、ツイートは消去されている)
ブログ記事) http://shokenro.jp/00001452
少女像を皆で「ザーメンまみれにしよう」という。
筒井氏には、過去作品に天皇に関するパロディがたくさんある。しかし、時の流れは無残なものだ。世の中が大きく右傾化してきた中で、皇室ギャグは封印し、ウヨク勢力の主張に乗っかる形で、今回の発言である。長嶺大使が韓国に行くことを残念がりながら発言しているのだが長嶺大使の帰国が、安倍政権による人気回復のパフォーマンスであることさえ分からなかったのだろうか?安倍に忖度しまくる報道を信じ込んでいるという事だろう。
1980年代までは、出版業界も天皇制タブーに反発する人も多かったから、皇室ギャグを噛ませたわけだ。ところが、政治もメディアも右傾化した今日では、皇室ギャグは封印し、その代わりにウヨクに受けやすい少女像ザーメン発言をしたわけだ。
確かに少女像を非難するような形をとれば、毎年300件も凶悪犯罪を犯している右翼団体から、抗議・糾弾をされたり、放火されたりする事はないだろう。
しかし、なんという抵抗力の乏しさか?
いや、想像力がすでに退化してしまっている。
どうなるか、分からなかったのだろうか?
人は世の中が変化すると自分の軸を簡単に変えて行ってしまうものらしい。
以前、小説『無人警察』のてんかんに関する記述が、「差別を助長する」として日本てんかん協会から削除や訂正を求められた時には「自分はブラック・ユーモアの文学的伝統を守ろうとしている」と述べていたが、「ザーメンまみれにしてこよう」も「ブラック・ユーモアの文学的伝統」だというのだろうか?
▼ 経過を知るためのURL
ネットの声
筒井康隆だけは特別なので、たいていのことは言って良いと思う(か)
togetterまとめ
報道関係
http://news.joins.com/article/21447439
「時をかける少女の原作者、少女像を戯弄し論難」
'시간을 달리는 소녀' 원작자 소녀상 희롱해 논란
ニュースチャンネルのYTN 2017-04-06 15:50
「慰安婦少女像を精液まみれにしよう、時をかける少女の作家が衝撃妄言」
˝위안부 소녀상을 정액 투성이로 만들자˝ ´시간을 달리는 소녀´ 작가 충격 망언
朝鮮日報 (韓国最大部数)2017.04.06 16:48
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2017/04/06/2017040602234.html?Dep0=twitter&d=2017040602234
▼ ▼
実のところ、中学生くらいまでは私はSF小説が大好きで、筒井康隆もフアンだった。
『緑魔の町』や『時をかける少女』などジュブナイルものはたいてい小中生時代に読んでいたし、『 アフリカの爆弾』や『農協月に行く』の毒を含むパロディも好きだった。(ちなみに現在では歴史修正主義にくみし、このブログで批判している豊田有恒も、そのSF作品は好きだった)
高校生ぐらいになると哲学・思想・精神分析・歴史など、興味を持ったものがたくさんあったのでSF小説からは遠ざかったが、その後も筒井作品はたまに読んでいた。筒井氏の作品は毒を含んでいるから面白いのであり、風刺の精神はしばしば時代の盲目を切り裂くものだ。しかし、ここで筒井氏は時代の盲目をそのまま内面化してしまっている。この時代の盲目とは何か?それは【慰安婦問題を否定し、「慰安婦少女像」に関して非難し、貶める言葉は日本では許される】とする我が国の時代精神である。それを体現しているのが安倍政権やネトウヨである。そしてそれは結局のところ、あの戦争に対する日本人としての責任ーーもっと言えば、「天皇の名によってなされた多くの悪逆・非道に対する天皇の戦争・支配責任」を封じ込めようとする力なのである。こうした天皇制タブーを造る力に対して、風刺の精神を発するならそれはパロディとして意味があるものになっただろう。
しかし、むしろ[日韓対立の図式]に立って韓国民に対して、そしてウヨク勢力に抗している日本では少数派の良識に対して毒を噴きかけようとしたのが今回の筒井発言であった。そこにはもはや、パロディのもっていた力が無い。ただの悪言であり、暴言である。残念なことだ。
筒井康隆氏の発言に改めて抗議をしたいのは、実際に日本軍兵士の精液を身体に強制的に注がれてきた人たちに対して、何て残酷な言葉だろうかと感じるから。陸軍では性病予防のために「突撃一番」という名称のコンドームが配られていたそうだが、性病に罹ったり、弱った女性たちは置き去りにされた。
そして慰安婦問題の何が問題なのか?世間にはまだまだ知られていないのが実態なのだと改めて知った。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□