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吉田清治の影響をできるだけ大きくみせたい産経新聞の記事の検証をしてみる




吉田清治の影響をできるだけ大きくみせたい 

そして

朝日新聞の責任を、できるだけ大きくみせたい産経新聞、2014年9月の渾身の記事

イメージ 1



これを機に、朝日の読者を奪いたい魂胆が見え隠れする。https://news.infoseek.co.jp/article/cyzo_20140826_571031/


結局朝日をふくめ、ほとんどのメディアが、92年ころを最後に「吉田に好意的な」報道をやめているのだが、それはまるで書いていない。
(当の産経は93年9月になっても、「(吉田を)無視できない」と書き、94年に本にしている)https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64706957.html

           産経が挙げた「影響」の内容

さて産経が挙げている例を見てみよう



クマラスワミ

クマラスワミ報告は、「千人もの女性を奴隷狩り」として吉田清治を根拠とした部分があるが、同時に歴史学者秦郁彦が疑義を持っていることも書いている。
しかし、産経はそこは書いていない。

2007年の米下院決議の資料を例に挙げているが、結局参考資料からは消去しているのだから、その何が問題なのかさっぱり分からない。参考資料から消したのは吉田証言が信憑性に乏しいことを理解したからだろうに。

③あとは、朝鮮日報が書いたことが一度あるだけ・・・と。

たったそれぐらいしかない報道で「吉田=慰安婦問題の原因」論は、ちとムリくね?

1992年まで、朝日新聞慰安婦報道は約50件。内、吉田清治は10数件。
一方、1991年以降、吉田否定論、吉田糾弾論は、数百記事が書かれてきたのではないか?

量的にも圧倒している。


④産経の教育出版発行の中学歴史教科書へのいちゃもんもすごい。教科書には、「多くの朝鮮人女性たちも従軍慰安婦として戦地に送り出された」と書いているだけだ。しかし教師用指導書に参考文献として挙げた6冊の慰安婦本の一つに「吉田清治」が書いてあるから、「指導書に忠実に従った教師の授業を受けて、吉田証言を信じた生徒は数多くいただろう」と産経は主張する。(ムリだろこれ 笑)


しかし、多くの教師はそんなにまめに参考文献を使って近現代の授業をするだろうか?
私の時代の中学の日本史では近現代なんてスーと大急ぎで通り過ぎていて内容がほとんどなかったのだが、その後、日本の中学では近現代授業をみっちりやるようになったのだろうか?
日本国内でごく少数の意識ある教師たちが、近現代授業に時間をあてており、その中でさらに少数が慰安婦テーマに突っ込んで授業をしてきたのだが、彼らが「吉田証言」を生徒に教えたという何らかの確証があるのだろうか?謎である。

この教科書が使われた1997年ころ(5年間)と言えば、すでに吉田否定論が出回って5年も経ており、その前年から小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』が流行し、学級文庫ゴーマニズム宣言』を置いた学校もあったという。

そういう時代に教師が慰安婦授業を選び、さらにその「吉田証言」が書いてある教材を選び、結構密に授業をしなければならず、それを「信じた生徒は数多くいた」という結論に蓋然性があるわけがない。

さすが、産経である。

      右派のドグマとしての「吉田清治慰安婦問題元凶論」

慰安婦問題は、朝日の吉田記事が造った問題」「吉田清治慰安婦問題の元凶」「日本が慰安婦問題で責められるのは全て朝日の責任」という右派のドグマがよく分かる。

吉田清治否定をそのまま「慰安婦」問題否定へとつなげて行ったのは、上杉千年の『検証 従軍慰安婦』から大師堂経慰の『慰安婦強制連行はなかった』、小林よしのりゴーマニズム宣言』 藤岡信勝自虐史観の病理』などであり、こうした著作群から形成されてきた理屈は「強制連行があれば犯罪だが、無ければ問題ない」という屁理屈である。

この理屈自体がバカみたいなものだが、右派が「強制連行」にこだわるのはこうした理由によるものだろう。
自民党と政府(安倍たち)が認めないのも、同様の理由があるものと思われる。

強制連行を認めてしまえば、国家犯罪であることを否定できない・・・というわけだ。


参考)
河野談話吉田清治の証言を下敷きに作成されたというデマを流す産経新聞
吉田証言は(河野談話の)強制性の根拠になったのか?

朝日の誤報攻撃にかこつけて、歪曲報道するサンケイ