河野談話を守る会のブログ2

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「少女像の撤去が合意内容に入っていた」という各新聞の社説と政府見解の恣意的変化(前半)


    合意内容を捻じ曲げることで とっくに「合意破棄」している日本政府

少女像の撤去が合意の中心内容のように混同させようとする 新聞各社の社説が書かれているのだが、日韓合意の内容は、日本政府が謝罪し、10億円払うから、もう終わりにしましょう、だったはずである。

朴ユネ大統領が日韓合意での少女像について、「大使館前の少女像の撤去と結びつけられているけれど 日韓合意ではまったく言及されていない問題である」と述べた以上http://www.sankei.com/world/news/160426/wor1604260039-n1.html 、その点において合意がまったくなされていないことは明らかである。

なぜなら話し合ってお互い合意したなら、このような主張が出て来ること自体が考えられないからである。
そこで、合意の数ヶ月間の話し合いの中では、少女像について日本側が懸念を伝えただけで、話し合いの内容にさえなっていないことが想像できる。

事実、合意の話し合いの中で、少女像の撤去が話合われていないことは、2016年4月27日の萩生田光一内閣官房副長官による記者会見に言及している。https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65478765.html

もし日本政府が、それを「合意の内容である」というのなら、きちんと話し合いの俎上に乗せるべきであった。そしてそれこそ(相手の)合意をとるべきだったのである。

しかし、そのような痕跡はどこにもない。それとも外務官僚たちは、「ただ懸念を伝えたら合意だ」と勘違いしているのだろうか?だとしたら、お寒い外交力と言わざるをえない。

ところでその後、日本政府は「少女像の撤去を合意内容」としたらしい。

下⑥で【平成29年版外交青書】は、「慰安婦像の設置は極 めて遺憾・・・様々な機会にこのような 日本の立場を韓国側に伝えている。引き続き、韓国側に対し、粘り強く、あら ゆる機会を捉えて、この合意の着実な実施を求めていく」
として、合意内容に少女像の撤去が含まれているかのように述べている。

我が会は、「慰安婦」問題の専門NGOとして、このような態度自体が日韓関係を悪化させているのだと指摘せざるを得ない。



2017/1/5 

【日経社説】


日韓の合意をほごにするな 





























韓国の市民団体が昨年末、こんどは釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像を設置した。旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる日韓の政府間合意を揺さぶる新たな火種にもなりかねず、憂慮せざるを得ない。
 ソウルの日本大使館前には2011年末、市民団体によって少女像が設置されており、それに続くものだ。今回、釜山の地元自治体はいったん撤去したものの、市民らの抗議が殺到したため一転して設置を認めたという。
 日韓は一昨年末、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。元慰安婦を支援する財団を韓国政府が設立し、日本政府が10億円を一括拠出するというのが柱だった。日本側はすでに履行義務を果たし、元慰安婦への現金支給も始まっている。
 韓国政府はこの合意で、ソウルの日本大使館前の少女像撤去についても「解決に向けた努力」を約束した。日本側はかねて大使館の保護を定めたウィーン条約に違反するとして善処を求めていた。その合意から1年以上たっても解決のメドがたっていないのに、釜山の総領事館前にも像が設置されるという由々しき事態となった。
 このままでは、慰安婦合意後にようやく芽生えた日韓の関係改善の機運が再びしぼみかねない。
 韓国では慰安婦合意を主導した朴槿恵(パク・クネ)大統領が自身の醜聞によって国会で弾劾訴追され、職務停止の状態が続く。
 政局の混乱が長期化するなか、懸念されるのは野党勢力を中心に日韓合意をほごにしようという動きが出ていることだ。市民団体が総領事館前に少女像を設置したのも、慰安婦合意の破棄を政界に促すねらいがあるとされる。
 だが、朴氏の疑惑と政権の政策は別問題だ。朴氏の早期退陣は不可避だろうが、仮に政権交代後に慰安婦合意を含めた国際的な約束事がほごにされれば、韓国は国際社会での信認を失う。韓国政界にはこうした負の影響を十分に考慮に入れた慎重な言動を求めたい。




















































































2017.1.7 

【産経社説】

釜山の慰安婦像 反日では墓穴掘るだけだ



韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が不法に設置された問題で、政府が駐韓大使の一時帰国などの措置をとった。
 遅きに失した感は否めないが、当然の対応だ。法を守らず、事態の悪化を放置する国を信頼することはできない。
 およそ近代国家の体を成さない状況が、自らの国際的信用を失っていることを韓国はよく認識してもらいたい。
 像の設置は、外国公館の安寧と尊厳を守るウィーン条約に明らかに反する。
 そもそも、再び慰安婦像を反日行動の象徴として持ち出すのは、少女を拉致して性奴隷にしたなどと嘘を唱え、歴史を歪(ゆが)めて日本をおとしめるためだろう。
 ソウルの日本大使館前に置かれた慰安婦像も未撤去だ。新たな像の設置は、慰安婦問題の最終的解決をうたった一昨年末の日韓合意をさらに踏みにじるものだ。
(以下略)



















































































2017/01/08(日)

【読売新聞/社説】


少女像釜山設置 日韓合意を損なう不法行為

韓国政治が混迷する中で、対日関係を損なう不法行為が罷(まか)り通った。憂慮すべき事態である。

韓国南部・釜山の日本総領事館前の公道に、市民団体が、慰安婦を象徴する少女像を設置した。地元の区は当初、道路法違反を理由に制止しようとしたが、団体などからの抗議に屈し、容認に転じた。

韓国政府が、地方自治体の判断する事案だとして、自らの立場を明確にしないのは疑問だ。

朴槿恵大統領は、友人による国政介入事件のため職務停止中で、黄教安首相が大統領代行を務めている。政府は最低限の外交秩序を維持すべきではないか。

日本政府は、領事関係に関するウィーン条約に抵触するとして、韓国に抗議し、撤去を求めた。条約は、領事機関の「安寧と威厳」を守るよう義務づけている。

深刻なのは、今回の設置が慰安婦問題を巡る2015年末の日韓合意の趣旨に反する点である。

合意では、韓国が元慰安婦支援の財団を作り、日本が10億円を拠出する。問題の「最終的かつ不可逆的な解決」と確認する。日本が撤去を求めるソウルの日本大使館前の少女像を巡っては、韓国が適切な解決への努力を約束した。

にもかかわらず、釜山で新たな像が設置されたのは遺憾だ。

財団は、10億円を基に、合意時点での生存者46人のうち29人に各1億ウォン(約1000万円)を支給したという。だが、その事実は韓国で十分に報じられていない。

政局の主導権を握った野党陣営から大統領選出馬を目指す有力者らが、合意の再交渉を主張しているのは、看過できない。釜山の像設置も公然と支持した。反日感情を煽(あお)っているのではないか。

財団事業がこれだけ進展している以上、合意は「不可逆的」であり、再交渉の余地はない。黄首相が「連続性が維持されることが望ましい」と述べたのは、一連の事情を踏まえたものだろう。

朴氏の弾劾の是非は、内政問題だ。国民の政権批判が強まっていることを理由に、外交の成果まで全面否定するのはおかしい。

日韓関係は、合意を契機に改善に向かいつつあった。新たな少女像の設置が、その動きに冷や水を浴びせた。日本国民の嫌韓感情が再び高まるのは避けられまい。

日本との歴史問題を名分にすれば、国内法、国際法や他国との取り決めを順守しなくても許容される。そうした韓国の独善的な体質は、対外的なイメージを低下させるだけである。