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「少女像の撤去が合意内容に入っていた」という各新聞の社説と政府見解の恣意的変化(後半)



2017年1月7日

毎日新聞 東京朝刊

社説

釜山の少女像 合意の崩壊を危惧する


慰安婦問題を巡る一昨年末の日本と韓国の合意を維持できるか危ぶまれる事態となっている。

 発端となったのは、韓国南東部・釜山の日本総領事館前の公道に昨年末、慰安婦を象徴する新たな少女像が設置されたことだ。地元自治体は許可しない方針だったが、世論の批判を受けて黙認に転じた。韓国政府も事実上これを放置した。

 日本政府は「領事関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の威厳等を侵害する」として撤去を求めている。

 日韓合意では、ソウルの日本大使館前に建つ少女像について、韓国政府が日本政府の抱く「懸念を認知」し、「適切に解決されるよう努力する」とうたわれた。

 この問題で進展が見られない中での新たな少女像だ。民間団体による私有地への設置なら政府にできることは限られるが、外交公館前の公道である。明らかに合意の精神に反している。

 政府はきのう、長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事を一時帰国させる対抗措置を発表した。金融危機時に通貨を融通しあう「通貨スワップ協定」再開に向けた協議の中断など経済面での措置にも踏み込んだ。

 日本として強い不快感を示す外交的措置を取ることは必要だろう。

 ただ、今回の事態で互いの国民感情を悪化させ、合意そのものを揺るがせてはいけない。

 合意はいまや、日韓関係を前へ進めるための基盤である。悪化する一方だった日韓関係は合意を契機に改善基調となり、北朝鮮情勢への対応もスムーズに行えるようになった。

 両国と同盟関係にある米国は合意支持を繰り返し表明している。良好な日韓関係は、日米韓連携のためにも必要だ。米国がトランプ次期政権になっても、それは変わらない。

 残念なのは、合意への韓国社会の理解が深まっていないように見受けられることだ。

 韓国では、朴槿恵(パククネ)大統領に対する弾劾審判の結果によっては今年前半にも大統領選が行われる。主要候補と取りざたされる政治家は軒並み合意に否定的だ。昨年末の世論調査でも「破棄すべきだ」という意見が6割近かった。

 だが実際には、合意に基づいて設立された財団による元慰安婦らへの現金支給事業は順調に進んでいる。合意時点で生存していた元慰安婦の7割超が事業を受け入れた。韓国ではほとんど報じられていないが、当事者の意向はもっと重視されるべきだ。

 慰安婦問題は日韓ともに国民感情を刺激しやすい。両国は、嫌韓反日という不毛な感情的対立を生まないよう冷静な対応に努めてほしい。




















































































2017年1月7日

(社説)韓国との外交 性急な対抗より熟考を


(略)

 少女像問題の改善へ向けて、韓国政府は速やかに有効な対応策に着手すべきである。日本政府が善処を求める意思表示をするのも当然だ。

 しかし、ここまで性急で広範な対抗措置に走るのは冷静さを欠いている。過剰な反発はむしろ関係悪化の悪循環を招くだろう。日本政府はもっと適切な外交措置を熟考すべきである。

(略)

 日本政府と同様に、韓国政府側の責任は重い。一昨年の日韓合意では、ソウルの日本大使館前にある少女像の扱いについて、韓国政府が「適切に解決されるよう努力する」ことが盛り込まれた。

 日本政府は、少女像が在外公館の安寧や威厳の維持を定めたウィーン条約に抵触するとして撤去を求めてきた。努力目標とはいえ、韓国側は合意の文言を尊重しなくてはならない。

 日韓合意は、元慰安婦らの心の傷をいかに癒やせるかを双方が考え、知恵を出し合った結果であり、いまの両政府の関係を発展させる出発点でもある。

 この合意を侵食するような行動は双方が慎むべきだ。

 両政府は合意の精神を着実に実践し、両国民の理解を深めるよう心を砕いてもらいたい。




















































































平成29年版外交青書(要旨)


(略)
韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国である。2016 年には首脳・外 相レベルの意思疎通が頻繁に行われ、全ての首脳・外相会談において、2015 年 末の慰安婦問題に関する合意を双方が責任をもって実施することで一致した。 その一方で、2016 年末の在釜山総領事館に面する歩道への慰安婦像の設置は極 めて遺憾であり、2017 年 2 月の日韓外相会談を始め、様々な機会にこのような 日本の立場を韓国側に伝えている。引き続き、韓国側に対し、粘り強く、あら ゆる機会を捉えて、この合意の着実な実施を求めていくとともに、安全保障を 始めとする幅広い分野において協力関係を深化させ、相互の信頼の下、日韓関 係を未来志向の新時代へと発展させていくことが重要である。

(略)



















































































合意直後の会見で韓国政府は少女像については「努力する」と述べた。対して日本側は「期待する」と述べている。そして「それ以上でもそれ以下でもない」と繰り返している。
国際条約において、「努力する」×「期待する」がはたしてあり得るだろうか?条約内容は「○○をする」であり、「努力する」×「期待する」は合意内容としてあり得ない。ましてやそれを根拠に謝罪するはずの側が、「合意を果たせ」などと言いつのり、あげく大使を召還するなどありえない話である。
ではなぜ、こういうことになったのか?
それは、安倍が日露首脳会談であれほど宣伝していた北方領土返還を完全に失敗してしまったからである。そこで安倍政権は、失望する右派の人気をとるために、少女像問題で大使を召還するという過激手段に出たのである。そうすることでネトウヨを含む右派が溜飲を下げることを狙ったのであろう。







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