河野談話を守る会のブログ2

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『南海のあけぼの』考


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これは、『南海のあけぼの』という慰安婦問題ではちょっと有名な著作。
しかしウヨクさんがこの著作を引用する時にはたいていの場合
日本兵のお相手ができるならば」と喜々として応募し、トラックで慰安所へ輸送される時にも、行き交う日本兵に車上から華やかに手を振って愛嬌を振りまいていた。

という部分だけを引用し、その前後をネグる事になっている。

これを最初にやったのが、秦郁彦である。
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まず
「軍司令部の後方係が早速住民の間に慰安婦を募集した」
と書かれている。
それから、こんなことが書かれている。

「もうだめです。身体が続かない。」
と前を押さえ、しゃがみこんでしまった。
それで係の兵が「今日はこれまで」と打ち切ろうとしたら、待っていた兵士たちが騒然と猛り立ち、殴り殺されそうな情勢になってしまった。恐れをなした係りの兵は、やむをえず女性の手足を寝台に縛り付け、
「さあ、どうぞ」
と戸を開けたという。
女性を縛りつけたのである。
確かに彼らにとっては都合の悪い話なのだろう。軍が直接募集した資料だし、見るだに「性奴隷」だからである。明らかに「強制売春」であり「強姦」である。彼らが否定してきた要素が全て入っている。マクドーガルさんは「強姦所」と書いていたが、それを批判する人達も、これを読めば簡単には否定できないだろう。
さらにウヨクさんには、この著作をなかなか否定できない別の理由もある。作者の元軍人総山孝雄はウヨク界ではちょっとした顔だからだ。1994年頃、自民党の歴史検討委員会が大東亜戦争の総括』という歴史修正主義本をまとめた時、講師として、西欧人の侵略と弱肉強食を一生懸命語っていたのがこの人物なのだ。
そういうわけで、根拠として出されても「嘘だ」とか「裏付けがない」とか、彼らの定番の決めつけ罵倒をこの本に関してはすることができないわけだ。

ネグるしかないという意味で産経新聞鹿内信隆元社長の
『いま明かす戦後秘話(上)』と似た位置にある著作なのである。