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『遥かなる「文芸春秋」』に見る文芸春秋社の問題ある慰安婦問題




『遥かなる「文芸春秋」』という自画自賛本がある。作者の白川浩司氏は、90年代以降の「諸君」や「文芸春秋」の編集長を歴任した人物である。そして西岡力をひいきにしたのもこの人物である。

そこでこの人の書く慰安婦論は、文芸春秋社全体が考えている慰安婦論であると考えていいだろう。
P144~P157あたりに、作者が信奉しているらしい慰安婦像が書かれている。これが傑作でほとんどデタラメである。
例えばこうだ。

従軍慰安婦とは、・・・軍と行動を共にした公娼のことである。と言っても軍や官憲が直接管理したのではなく、民間の業者がビジネスとして行っていたものだ。慰安婦たちは、貧しさゆえに業者に売られた気の毒な娘が多かった(P146)

こんな短い文章の中に、よくこんなにデタラメが詰められるもんだと関心する。

まず、白川氏は「慰安婦は公娼だ」というのだから、それではどこが女性を登録し管理していたのか?ちゃんと示していただきたい。公娼制度は国家による管理制度であり、当然国家は慰安婦の登録をしていたはずである。そのような登録が無いので我々は苦労しているのだが。それから公娼制度には一応の「自由廃業規定」があったが、慰安婦制度にもそのようなものがあるならぜひ示して欲しいものだ。
このような事を書く以上、この元編集長はちゃんと根拠を示すべきである。

次に軍や官憲が直接管理したのではなく」と書いているが、その比率については記録は無いにしても、軍や官憲が直接管理した慰安所は複数存在していた事が分かっている。また慰安所規定によって誰か(業者)を仲介にした管理もなされていた。これは軍人が帳場にいないというだけの話である。

次に「民間の業者がビジネスとして行ったものだ」と書いているが、軍が兵士の下半身の欲望を満たすために立案・計画して造ったのが「軍慰安所」であり、大抵の場合業者に委託・管理させていた。そのような業者は通常「軍属扱い」であり、食事から被服、酒にいたるまで全て軍から支給されていた慰安所も記録されている。

こうしたデタラメな慰安所慰安婦論が編集長クラスから蔓延しているのが、この文芸春秋社らしい。結局はあの戦争(太平洋戦争)を煽りまくり、戦後も何の反省も示さなかった文芸春秋社らしいやり方である。70年を経て、今度は「慰安婦」問題を煽っている。そして煽られた人々は、中韓の捏造?に憤る。だが、実際には自分たちの述べる慰安婦論の方がはるかにデタラメなのである。