河野談話を守る会のブログ2

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【憎悪を煽る新聞報道】「韓国の裁判所は、論理ではなく国民感情に従っている」という事にしたい産経と読売


                

もの言う新聞 と言えば聞こえはいい。
だが、本当はろくに取材もしない新聞だということはとっくの昔にバレている。

いや、取材どころか、資料にもろくに目を通さない。自社の過去記事さえ忘れ去って、平気で矛盾した記事を書く。捏造常習犯のネトウヨの言う事を真に受けて記事を書く。そして偏見に染まった人間にコメントをさせて、ヘイトと対立を煽動する。

今回の徴用工判決に関する記事でも、そんな産経らしさがいかんなく発揮されていた。そして今や安倍ちゃんの覚えめでたい読売新聞も似たようなもんだ、という話。


      1、 「国民感情、国民情緒を重視した判決である」と無根拠に主張する産経


例えば、10月31日。徴用工判決が出た翌日の記事だ。産経はこう書いている。




まず見出しで「国民感情優先」と書いているのだが、この国民感情優先」という主張の根拠と言えるものが何かあるのだろうか、と調べてみたがどこにも存在しない。
こういう見出しで報道する場合、例えば、韓国の法曹関係者に判決に至る経由を取材したり、国民感情そのものを調査したり、報道全体を調べたり、主張の裏付けとなる様々なデータを取得する行程が必要なはずだが、この記事はただ「韓国で徴用工問題は国民感情や日本への不満を元に叫ばれている。」と想像しながら、「・・・「国民感情を重視した判決」と韓国国内の事情を問題視されても仕方がない」としている。
根拠部分が「国民感情日本への不満を元に叫ばれた」という想像であり、さらにその国民感情日本への不満」とやらが、裁判に影響したかという根拠がまるで存在しない。
何が「仕方がない」のかさっぱり分からないし、論理の飛躍も甚だしい。
ところが、次の瞬間には「国民情緒を理由に国際常識をひっくり返し、法の枠組みを壊そうとする国際常識への挑戦でもある」と断定し、断罪するに至っている。

子供の作文みたいに根拠も論理も存在していない。自分の意見感想を書く個人ブログじゃあるまいし、全国紙の片隅に存在しているはずの産経新聞が報道という名の想像を広めて行ってしまうのは、いかがなものか?そしてそれはこの新聞の敗北の原因なのである。虚偽と憶測によって対立を煽る「歴史修正主義」新聞に未来などないに決まっているではないか?





                 2、読売イムズ

ところが同日、示し合わせたように似た考え方を示した新聞があった。読売新聞である。
該当部分は赤線で。



(「一方的な歴史観」て何だろ?)

「韓国では世論の圧力が強く、大法院の司法判断でさえ、国民感情に左右されやすいともされる。」・・・・と書いている。

国民感情に左右されやすいともされる」というのだが、誰が大法院の司法判断でさえ国民感情に左右されやすい」と主張しているのだろうか?またしても根拠は皆無であり、主語を省くことのできる日本語の特徴を利用した伝聞情報である。

こうして<この判決は法理を尽くしたものではなく、韓国民の感情に流されたものだ>と印象操作をしているのである。

しかし、すでに当会を含め、この判決についてその法理の正統性を検証し、理解している人はたくさんいる。
例えば、



大法院判決を受け入れるように促している弁護士たちの声明にはすでに200名以上の弁護士・研究者の賛同があつまっている。

朝日)徴用工問題「根本的解決を」 弁護士らの声明、賛同増加

『日韓協定』財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定』をちゃんと読み、政府答弁等を調べ、2012年およびに今回の判決文を読んでみれば、明らかに大法院の法解釈に理屈が通っているからだ。
すくなくとも、「個人の請求権はない」とか「個人の実体的権利は消滅していないが、訴訟によって行使することができなくなった」などという日本政府の無茶苦茶な主張などよりは根拠が明確であり、筋が通る判決なのである。

しかし産経・読売は、日本政府に忖度しながら、「今回の大法院判決は、法理ではなく国民感情の産物」としたいらしい。約80年ほど昔、軍と右翼の手下のようになっていた新聞業界だが、それによく似ているのである。

これを読んだ国民は「韓国の野郎、理屈も何もありはしねえ」と対立と憎悪を募らせたに違いない。
実際に、一連の産経と読売記事に触発されて今回の判決を「韓国世論」やら「国民感情」の影響と見なし、憎悪を募らせた人を何人も見かけるのである。

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      「タカリ国家」
     「国家と呼べない民族」という謎の文字列

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             楽しいですか?読売さん

ヘイトと対立を煽っているのは、日本側の歪曲報道である。


                3、読売の産経化現象

読売新聞の産経化現象は、様々な人に指摘されている。読売新聞の安倍政権支持率は(産経ほどではないが)常に他のメディアより大きい数字になっていることは誰でも気づく話である。

この「読売新聞の産経化現象」はすでに1999年、『季刊戦争責任研究』という歴史学専門誌の中で、高嶋伸欣琉球大学名誉教授)によって「日の丸君が代」報道にからんで指摘されている。(『戦争責任研究』1999秋号)

(ただし、当会では「自虐史観」にからんで90年代中ごろにはすでにかなり右傾化した人物がいた、と考えている。これはいずれ考証しよう。)











             








(~以下略~)


つづきは、『戦争責任研究』1999秋号


            4、やがて全国紙でなくなる産経新聞

世の中は無関心かも知れないが、もうすぐ産経は全国紙ではなくなるようだ。それに対して、厳しい意見が寄せられている現実を産経は知った方がよいだろう。https://togetter.com/li/1289644

それは、かつて大新聞と並ぼうと200万部を狙い、「営業戦略」として「教科書攻撃キャンペーン」を行ってきた産経新聞の路線の敗北と言えるだろう。https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/63991423.html
それにしても100万部とは、落ち込んだものだ。





「単に慰安婦を支援するTシャツを着ていただけで、クレームがつく」・・・闇の住人が大手を振って歩く国

 


単に慰安婦を支援するTシャツを着ていただけで、クレームがつく国。

「カメラがある場所で身につける事」の何が悪いというのか、さっぱり分からない。

普通は尊敬するんじゃないだろうか?

何か、日本人の心(価値観)が大きく狂ってきていて、それが浮き彫りになっている。

現在、日本は慰安婦問題を中心とする歴史と人権の問題を解決しないでは、前に進めなくなっているのだ。



 
 
 
      

 

紅白出場の「TWICE」、過去ダヒョンが”慰安婦支援Tシャツ”着用で物議… 「BTS」に続き非難殺到か

11/15(木) 14:00配信
WoW!Korea
2年連続で大みそかNHK紅白歌合戦」出場が決定したガールズグループ「TWICE」。「防弾少年団」の”原爆Tシャツ”問題で、K-POPグループの出場がゼロになるのでは、との声も挙がっていただけに、「TWICE出場」のニュースはK-POPファンをひと安心させていた。

ダヒョン(TWICE)のプロフィールと写真

 そんな矢先、「TWICE」メンバーのダヒョン(20)が過去、慰安婦を支援するブランドのTシャツを着用していたことがわかり、物議を醸している。

 問題となっているTシャツは「MARYMOND」というブランドが製作したもの。韓国メディアによると、元慰安婦を後援する社会的企業で、これまでにも多くの韓国芸能人が同企業の製品を身につけて公の場に登場しているという。

 今回、「TWICE」メンバーがこのTシャツを着用する写真が拡散したことで、再びネット上では様々な意見が寄せられている。その中には「ダヒョンが着用した意図はわからないが、日本人(メンバー)と仕事をしている中で堂々とカメラがある場所で身につけるのは…」と理解に苦しむファンも少なくない。

 日韓メンバーが在籍し”日韓のかけ橋 ”ともいえるグループ。それだけに、今後の影響が懸念される。

これに対するまともな意見
 
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弁護士有志声明



韓国最高裁判所(大法院)による徴用工判決が出て以来、日本の報道は政府に歩調を合わせており、ほぼ「判決非難」一色に染まっている。朴裕河騒動の時にすでに指摘しておいたが、日本の歴史問題における報道は4年前にはすでに全体主義化しているのである。朝日の吉田報道の取り消しにおける右派の攻撃もさることながら、「自由と民主主義」とは名ばかりな自民党の議員たちが自分たちの意見とは異なる見解を述べる報道を盛んに攻撃してきた結果が今日なのである。むろん自由主義国の一員である。戦前のようには国民の言論活動全体を監視・抑圧するところまでは今のところは行っていない。いやあくまで今のところは・・・である。共産国のようにインターネット監視が

2018年11月5日(月)
「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明 」http://justice.skr.jp/koreajudgements/statement.pdf

とち狂ったサイトも存在している。

韓国最高裁判所(大法院)の判決について  2

 
 
 

         3、「・・・いかなる主張もすることができないものとする」

今回の韓国最高裁の判断は、「『完全かつ最終的に解決された』『いかなる主張もすることができないものとする』の中に「反人道的な不法行為をした日本企業に対する慰謝料は含まれていない」としています。

判断の要点は
①協定は財産権と民事請求権に関するものだが、強制動員被害者の慰謝料は入っていない。
②協定で日本は日本の植民地支配の違法性を認めておらずそれを前提にした慰謝料は協定の範囲に含まれていない

という事です。
日本では「強制動員被害者の請求権は、協定の適用対象に含まれない」という歪曲した報道がなされていますが、こんな歪曲をしてしまえば対立しか生みません。

最高裁判断は「強制動員被害者の慰謝料は、協定の適用対象に含まれない」です。
これを間違えてはいけない。


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(大法院報道資料画像)
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では日本政府が根拠にしているb「・・・一方の締約国及びその国民の財産,権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては,いかなる主張もすることができないものとする。」の「いかなる主張もすることができないものとする」は何を対象としているでしょうか?

「締約国及びその国民の財産,権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権」としています。

これは要するに、例えば日本人が帰国する前に持っていた家など(財産)、未払いの給与や土地建物工場などの権利(権利及び利益)などの「すべての請求権についてはいかなる主張もすることができない」と述べているのです。

ゆえに「慰謝料はそこには入らない」と韓国最高裁は判断したのです。


実は、日韓協定締結時の外務省の認識も、今日の韓国最高裁の判断とあまり変わらないのです。

締結の直前である1965年6月18日の外務省の認識。↓
「完全に解決した」が「財産、権利、利益」の問題であって、「賠償」でないことがよくわかる。
      (以上は吉澤文寿論文「日韓請求権協定と慰安婦」から作成)
外務省は、今日では違う意見らしいですが、ここらで正しい解釈に立ち戻っていただきたいものです。

      4、国際法の専門家たちはどう判断して来たか?


これまで日本政府は戦後補償問題が俎上に上るたびに、「日韓協定により解決済」を主張してきました。しかしその度に、国際法の専門家によって、否認されているのです。


国連人権委員会クマラスワミ報告書(1996年)は次のように法解釈をしています。
サンフランシスコ講和条約も二国間条約も、人権侵害一般に関するものでないばかりか、とくに軍事的性奴隷制に関するものでもない。当事国の『意図』は『慰安婦』による特定の請求を含んではいなかったし、かつ同条約は日本による戦争行為の期間中の女性の人権侵害に関するものでもなかった。したがって、特別報告者の結論として、同条約は、元軍事的性奴隷だった者によって提起された請求を含まないし、かつ日本政府には未だに国際人道法の引き続く違反による法的責任がある。」
 マクドゥーガル報告書(1998年)は
「この条約が当事国間の『財産』請求問題の解決を目指した経済条約であり、人権問題に取り組んだものでないことは明白である。…韓国側代表が日本に示した請求の概要を見れば明らかなとおり、この交渉には、戦争犯罪や、人道に対する罪、奴隷条約の違反、女性売買禁止条約の違反、さらに国際法の慣習的規範の違反に起因する個人の権利侵害に関する部分は全くない…したがって、日韓協定第二条で使用される『請求権』という用語は、このような事実が背景にあるという文脈で解釈しなくてはならない。日韓協定に基づいて日本が提供した資金は、明らかに経済復興を目的としたものであり、日本による残虐行為の個々の被害者に対する損害賠償のためのものではない。1965年の協定はすべてを包含するような文言を使用しているが、このように、二国間の経済請求権と財産請求権のみを消滅させたものであり、個人の請求権は消滅していない。したがって日本は、自己の行為に現在でも責任を追わねばならない。」
(山本弁護士    https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/63926959.htmlより)
 
 
このように、「経済協力により戦後補償問題が完全に解決した」との日本政府の主張は、国際社会に完全に不信されているのです。
にも関わらず日本政府は、同じ主張を繰り返していて、決して変えようとはしません。


        5、悪事を認めない心が産んだ対立


1965年の日韓協定はマクドゥーガル氏が述べたように、「日本による残虐行為の個々の被害者に対する損害賠償のためのものではない」のです。
もし、1965年の時点で日本政府が「日本は、韓国を植民地にし、数々の暴虐をなしたので、それを賠償するためにこのお金を払います」と謝罪・明言して条約にサインしていれば今日起こっているような問題は起こらなかったでしょう。ところが日本側は、一向に植民地支配の悪業を認めず、「経済協力」という名称にこだわりました。それどころか交渉の当事者久保田 貫一郎は「日本側のほうでは総督政治のよかつた面、例えば禿山が緑の山に変つた。鉄道が敷かれた。港湾が築かれた、又米田……米を作る米田が非常に殖えたというふうなことを反対し要求しまして、韓国側の要求と相殺・・」と述べる始末でした。http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19531027.O1J.html
何か、悪い事をしたとは思っていないわけです。
李承晩は対話の前提として、まず日本の謝罪、「過去の過ちに対する悔恨」を日本側が誠実に表明することが必要だ」としましたが、米国に促された朴大統領は歴史認識問題や竹島(独島)の帰属を棚上げにして、合意に至りました。こうして10数年間ももめたのに、結局はお金を渡したというだけになってしまいました。ゆえにいずれは、この問題が再燃することは分かり切った話でした。そして今日、竹島(独島)の帰属問題も含めて、最終的に歴史問題全体を解決して行かなければならない時代になったわけです。

韓国最高裁判所(大法院)の判決について 「完全かつ最終的に解決された」の意味

 
 
今回の韓国最高裁判所(大法院)の判決について、日本政府は企業に「支払いをしないように」要請しています。そんなに対立を煽ってどうしようというのでしょう?

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外務省のホームページには、河野外務大臣拒否談話が掲載されています。https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_004458.html

日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって,極めて遺憾であり,断じて受け入れることはできません。」とはかなり強い拒否を表しています。
 
会長である安倍氏を含め、ほとんどが神道政治連盟国会議員懇談会の会員で構成されるこの内閣総体の意志であろうと思います。

拒否する根拠は、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(1965年12月18日発効)ーいわいる「日韓協定」の以下の部分です。

第二条
1 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
(中略)
3 2の規定に従うことを条件として,一方の締約国及びその国民の財産,権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては,いかなる主張もすることができないものとする。
 
A「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」
B「いかなる主張もすることができないものとする。」

これについて述べてみたいと思います。

         
      1、「完全かつ最終的に解決された」の意味について


1991年ころ、敗戦直後からシベリアに抑留されて強制労働に苦しんだ人達が、訴えを起こそうとする動きがありました。そこで「日ソ共同宣言」に関して国会で質疑があり、日本政府は「日ソ共同宣言第六項におきます請求権の放棄という点は、国家自身の請求権及び国家が自動的に持っておると考えられております外交保護権の放棄ということでございます。したがいまして、御指摘のように我が国国民個人からソ連またはその国民に対する請求権までも放棄したものではないというふうに考えております。」(3月26日)と答えました。
請求権は放棄してないという解釈を示したのです。

それから5か月後、今度は日韓請求権協定について聞かれると日本政府(柳井俊二)はやはりこう答えたのです。

「・・・先生御承知のとおり、いわゆる日韓請求権協定におきまして両国間の請求権の問題は最終かつ完全に解決したわけでございます。その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます。」(1991年8月27日 参議院予算委員会

つまり「完全かつ最終的に解決された」と書いてあっても、それは「外交保護権を相互に放棄」を意味しており、「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させてはいない」というのです。

これが「完全かつ最終的に解決された」の意味であります。

   

            2、外交保護権とは?

では「外交保護権」とは何でしょうか?これについて、『デジタル大辞泉』の解説では

「外国にいる自国民が受けた損害について、本国がその国に対し外交手続きによって適切な救済を与えるよう要求すること」


また先ほどの3月26日の答弁でも、政府は


「(高島有終君) 今先生御指摘の個々の国民個人の要求を受け付ける窓口というその窓口の意味合いでございますけれども、これが、先ほども御説明申し上げましたように、政府が我が国国民の利害を対外的に代表するような形で、すなわち外交的保護権を行使するというような意味合いでいわばソ連側と折衝する上での窓口という趣旨でございますと、既に何度も御説明申し上げておりますように、そのような意味での請求権は放棄しているわけでございますので、そのような意味合いにおける窓口を外務省に設けるということは、私どもはこの日ソ共同宣言の趣旨からしまして適当ではないんではなかろうかというふうに考えているところでございます。- 」(参 - 内閣委員会 - 3号  平成03年03月26日
と答えました。

ここで政府は「外交的保護権を消滅しているのでソ連側と折衝する事はできない」という意味のことを述べています。要するに「外交保護権」とは、政府の外交手段により請求すること、です。

より厳密な定義では、

「外交保護権とは、自国民に対して加えられた侵害を通じて、国自体が権利侵害を蒙ったという形で、国が相手国に対して国際法レベルにおいて有する請求権」(『平和条約における国民の財産及び請求権放棄の法律的意味 条規』1965-4-6付外務省文書)
私人の代理人ではなく
「国は自己の裁量により、この種の請求を提起するか否かを決定出来、また相手国の請求の十足に関してもどのような形、程度で満足されたものとするかそれを被害者にどう分配するか等につき、完全に自由に決定することができる。」(同上)
としている。(以上は『「慰安婦」バッシングを越えて』所収・吉澤文寿論文「日韓請求権協定と慰安婦」より抜粋)
 
そこでこういう答弁になるわけです。
「外交保護権」とは何か?非常によくわかる答弁です。

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それを消滅させたと述べているのです。

では、政府の外交手段によらない解決はどうでしょうか?それは当然OKであり、「個人の請求権は消滅していない」と1991年8月27日に政府が述べたのはそういう事です。



Aの「完全かつ最終的に解決された」の意味と「外交保護権」の意味について、今我々は理解しました。


ではBの「・・・いかなる主張もすることができないものとする」はどういう事でしょう?

(つづく)

【これまで書かれなかった慰安婦問題の歴史】キリスト教と神道 最後の闘いとしての「慰安婦」問題①



慰安婦」問題には多くのキリスト者が多く参加している。

「関釜裁判を支援する会」
「『慰安婦』問題と取り組む九州キリスト者の会」
日本基督教団西中国教区性差別問題特別委員会」
「台湾元「慰安婦」裁判を支援する会」
日本キリスト教会 日本軍「慰安婦」問題と取り組む会」
日本キリスト教協議会(NCC)女性委員会」
「平和を実現するキリスト者ネット」
「札幌キリスト教連合会在日韓国・朝鮮人との共生をめざす委員会 」
日本キリスト教団北海教区日韓宣教協力特別委員会 」
日本キリスト教団北海教区性差別問題担当委員会」
「札幌地区カトリック正義と平和委員会」
外国人登録法問題と取り組む北海道キリスト教連絡協議会」
「「戦争と女性への暴力を考える」北海道キリスト者の会」
「宗教法人 カトリック礼拝会」
日本キリスト教団北海教区日韓宣教協力特別担当委員会」

・・・・など無数のキリスト教系団体・グループがサバイバーの苦悩の声を聞きいれ、参加してきた。

そもそも慰安婦問題の始まり自体が1984年のキリスト教7団体の女性たちによる謝罪要求に端を発している。

84年8月23日韓国キリスト教教会協議会(KNCC)の女性委員会(朴英淑委員長)と女性連合会(安相任会長)が慰安婦問題で日本に謝罪を求める書簡を全大統領に送付したのである。この書簡には、連合会傘下の韓国キリスト教長老会女性信徒会、イエス長老会女性伝道会、メソジスト女性信徒会、聖公会母の会など7団体である
これに後押しされて結成したのが韓国挺対協であり、多くがキリスト教徒であった。尹貞玉氏や尹美香氏も洗礼を受けたクリスチャンである1971年、自伝『マリヤの賛歌』を著し、85年には千葉県カニタ村に慰安婦慰霊碑を建てた城田すすこさんもキリスト教徒であり、この時城田さんは「・・・自分が生かされてきたのは、仲間(慰安婦)のことを証言するためではなかったか」と語っている。最初に名乗り出た韓国人サバイバー金学順さんもまた名乗り出る前に教会で祈っていて「これについて戦えという意味だ」と感じたという
初期に「慰安婦」を取り上げ、後にWam( 女たちの戦争と平和資料館)立ち上げた朝日新聞松井やよりもクリスチャンであり、父親は渋谷の山手教会牧師である。そのWamは日本基督教団の本部の横にある。
カトリックからは白柳枢機卿のような有力者も参加しており*5複数のシスターも参加していた。日本ではキリスト者は100万人足らずであり、全人口の1%にも満たないが、慰安婦問題に関わった人では、私の感触では2割以上がキリスト者である。

ではなぜ、慰安婦問題に関わるキリスト者が多いのか?それはこの問題がキリスト教ヒューマニズムに抵触する問題だからである。そもそも近年のボランティア活動がキリスト教精神から始まったこともあるだろう。アムネスティ創始者が熱心なキリスト教徒であったように、近年のボランティア活動の原点にキリスト教が存在している。このアムネスティもまた「慰安婦」問題に関わって来たNPOである。現在国連を形つくっている「人権主義」がキリスト教的だということもある。国連では80年代中ごろから急激に人権思潮が高揚したのである。やがて冷戦が終わると国連の中心課題は世界中の人権問題となり、その中に慰安婦問題も取り上げられてきた。
我が国では明治維新開国以来、民主主義と人権主義はキリスト教と合わさって輸入されてきた。大日本帝国で「天皇制に反する」として徹底的に排除された「天賦人権思想自然権」や「女性の人権」もその一つであり、自由民権運動からは多くのキリスト者が生れた。また世界的廃娼運動に後押しされた「キリスト教婦人矯風会」は「一夫一婦制」運動を展開し、「救世軍」と共に明治から昭和まで「廃娼運動」に精を出してきた。今日我々は「慰安婦制度は性奴隷制度だった」と述べるが、彼等、廃娼運動家たちは、「公娼制度は奴隷制度だ」と主張した。それは苛烈な戦いであった。対立する存娼運動は、神道信者の連合と言える。遊郭業者と右翼たちは1935年、ちょうど慰安婦大量動員がはじまる直前に東京に集まり、「公娼は我が国体に立脚して、神の御威光の下に定められたる制度である。」と気炎をあげている*6。彼らの頭の中には、遊女を具して降臨したという播磨の鎮守賀茂神があったのかも知れない*7直接の関連は無いが、この集会の直後、廃娼運動に追い詰められていた「日本型の人身売買を基礎とした売春」は戦地に蔓延するようになる。
業者の一部は軍に依頼・命令を受け女性を集め、占領した各所に慰安所を経営することになるのだが、この時、軍の中でももっとも狂信的な天皇主義者の一人である荒木貞夫大将と右翼のボス頭山満が女性を送る相談をしたことが公文書『時局利用婦女誘拐被疑事件に関する件』に書かれている。 

それから80年も経て今日慰安婦問題に多くのキリスト者が参加し右翼勢力と対立するのも不思議な因果律による必然というしかない。そしておそらくこうしたものを含んで「慰安婦問題」であり「天皇制の問題」なのである。なぜなら天皇制とは、「日本神話の王権神話によって権威つけられた王制」であるからだ。太陽に擬した稲神・天照を中心とする神祀崇拝がなければ天皇は存在しえないし、その疑似宗教の神殿での売春が無ければわが国における遊郭の繁栄も無かったであろうし、慰安所」もまた生まれなかった。遊郭は収入の少ない独身男性がセックスを処理するための必要悪だ」という存娼論の理屈はそのまま*8慰安所正当化の理屈となったのである*9






1 朝日新聞1984年8月25日「日本に謝罪と補償を求めよ クリスチャン韓国女性7団体」

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2 ●尹貞玉『平和を希求して』のあとがきによると、父親は独立運動をして投獄された牧師尹聲烈である、『戦争責任研究』2004年春季号川田文子論文には在日のサバイバー宋神道さんとの「神様」を巡る問答が書かれている。

   ●尹美香:両親は基督教長老会信徒、1983~87韓神大神学科。卒業後世界改革教会連盟総会の女性分科幹事。ここでキーセン観光に触れる。(中央大学商学研究会『商学論集第58巻第5第6号』2017-3-1抜粋 梁澄子著「挑戦、情熱、そして献身、日本軍「慰安婦」被害者と共に』より)

*3 朝日新聞1985-8-19

*4 https://www.youtube.com/watch?v=tMNd9_lYFYo (梁澄子 13分ころから)「名乗り出る前に教会で祈った金学順さんは「神様が私を生かせておいたのは、これについて戦えという意味だ」と感じた。」


*5 白柳枢機卿1994年に日本人で4人目の枢機卿に。世界宗教者平和会議日本委員会理事長、日本宗教連盟理事長。カトリック新聞1995-2-25に談話。

*6『売春』神崎清P26,27


*8『全国貸座敷総合会臨時大会記録』昭和10年(1935)

*9『武漢兵站』 山田清吉 p60-61

<秦郁彦本>笑いもの化翻訳プロジェクト発動す



 <秦郁彦本、笑いもの化翻訳プロジェクト発動す>

秦郁彦のデタラメ慰安婦本『慰安婦と戦場の性』がモーガン麗澤大学準教授の手で翻訳され、英語圏で販売するらしい。この本がどれほどデタラメかは、「河野談話を守る会」で詳細なチェックをしています。https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawom…/folder/1540734.html

翻訳におけるチェックポイントの一つは、日本語版p74の「大元帥陛下が・・・女性をつかわしくだされ」のこの部分

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秦郁彦は、ダディン教授の「天皇の贈り物」記述批判グループの中心人物なのだが、実は秦自身もこんなことを書いていたのだ。
天皇が・・・女性を遣わせた」と自分で書いておいて、「天皇の贈り物」記述を批判できると思っているのだろうか?
翻訳では削除している可能性が大。しかしモーガンさんはそんなことは理解していないので、削除してないかも。その場合、国際的な笑いモノになってしまうんだね。

「対外発信助成会」代表の平川祐弘東京大学名誉教授は、「きちんとした綿密な学問的な註もついております」と自慢げだが、そもそもこの本『慰安婦と戦場の性』については秦自身は「学術書ではなく一般書なので、註の数はあまり増やしたくないと考えていた」と述べているのだ。
(『季刊戦争責任研究』第28号(2000年夏季号 https://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65937759.html )

本人が”学術書ではないから註の数は少ない”と言うとるものを、「綿密な学問的な註もついております」と自慢してどうするんだろう?
日本会議系の平川祐弘、知性が退化しているのではないか?知性が硬直し、老害が目立つようになったら、言論界からは引退した方がいい。