「慰安婦問題」とはいったい何だろうか?
それは旧日本軍が戦争中に犯した悪業行為である。
これに対して、言い訳にもならないような様々な言い訳をし、話をすり替えて来たのが、ウヨク達である。
例えば、「いろんな国で慰安所のようなところはあった」とかいう”すり替え”。
この”すり替え”のお粗末なところは、「軍の組織的強制売春」という部分を無視して、他国の売春行為と同一視しようとしているところである。
「オランダの飾り窓の女」とか良く知りもしない事を口走り、それが何かの証明になると勘違いしたおバカさんもいた。
正直、うんざりしたものである。
もっとも古典的なウヨクのすり替えは、「日本には当時、公娼制度があった」「合法だった」である。これに対してはすぐに「その公娼制度自体が”性奴隷制度”に他ならない」という有力な反論がなされたのだが、なぜか今でも使用中のバカがいる。反論は全て無視するというウヨクの体質がにじみ出ていると言えるだろう。
ネットの中でも、反論するとそれには答えず、すぐに話を変えようとするネトウヨばかりいるので、それが彼らの共通する性質だと分かるのである。
この”すり替え”は、大日本帝国が、「人身売買」や「娼妓への様々な強制」を黙認していた事実を浮き彫りにする結果となった。皇軍が「性奴隷制度」を造る以前に、日本国家は性奴隷制度を造ってしまっていたのだ。娼妓は文字通り「かごの鳥」であった。
まったく関係などありはしないのだ。
ところが、これを「韓国軍の強姦の子」と捏造し、「韓国に慰安婦をあれこれ言う資格はあるか!」などと勝ち誇っていた。
捏造しては、勝ち誇るという彼らのもう一つの性質と言えるだろう。
こうして彼らが何度もすり替えて来たのが、「慰安婦問題」だが、最近でも大きなすり替えがなされた。
だいたい吉田清治にそんな影響力がある訳が無い。1992年には、論壇で否定され、93年3月に挺対協が造った『強制連行された朝鮮人軍慰安婦たち』でさえ、否定されている。吉田清治を読んで、生まれた支援団体は存在しない。吉見義明氏や林博史氏も、吉田清治を読んで、慰安婦研究をはじめた訳でもなく、一度も引用していない。さらにウヨクがよく出してくるクラマスワミ報告にしろ、あの膨大な内容の中からほんの3行程度引用されただけであり、もし吉田証言の部分を抜かして読んでみても特に変わらない内容である。クラマスワミ氏にとって最初から問題は「性奴隷制度」にあったからだ。「書き変える必要はない」とクラマスワミ氏がいうのも当たり前である。
「日韓関係悪化の元凶は朝日新聞である」とかいう話に関してはさらに噴飯ものである。日韓関係悪化の原因は、第一に「日本軍が慰安所を造ったこと」にあり、第2にウヨク政治家が妄言を繰り返したあげく、その事実を誤魔化し、無かった事にしようと企んだからである。自民党の機関紙に近い産経新聞は書かなかったかも知れないが、当時の読売新聞はちゃんと報道していたはずである。ウヨク政治家の妄言の度に、韓国世論は日本政府に対する反発に湧きあがった。特に酷かったのが奥野元国土庁長官である。彼は、戦前の内務官僚であり、自ら戦争中の軍関係文書を焼却した事が判明しているにも関わらず、「慰安婦は売春婦」「証拠は無い」と言い放ったのである。これに対する反発も強かった。もちろん、80年代の暴言と共に奥野のこの発言を報道した新聞が問題ではない。発言した人間の問題である。以後、何人の議員、閣僚による妄言が続いただろうか?
それが、慰安婦問題がもつれた原因であった。
慰安婦問題を無かった事にしようというこうした”すり替え”論説がウヨクの得意技であり、今日まで何度もなされて来たのである。
こうした過程を全て無視し、「元凶は朝日新聞」などという物語を造るウヨクにはあきれるしかない。
元々「慰安婦問題否定」の藤岡に語らせれば、そういうだろう。
つまり読売新聞は紙面を意図的に朝日攻撃になるように造っているのである。
慰安婦問題で朝日「核心変わらず」…識者は批判 (読売新聞)
朝日新聞は28日朝刊で、いわゆる従軍慰安婦を巡り「朝鮮人女性を強制連行した」とした吉田清治氏(故人)の証言を報じた記事を32年後に虚偽と判断して取り消したことに関し、「慰安婦問題 核心は変わらず」との記事を掲載した。
記事では、取り消しを受け「慰安婦問題で謝罪と反省を表明した河野洋平官房長官談話(河野談話)の根拠が揺らぐかのような指摘も出ている」との懸念を示した。その上で、菅官房長官の記者会見や政府関係者の発言を引用し「(河野談話は)吉田氏の証言を考慮していなかった」と記し、談話の見直しは必要ないとの認識を示した。河野談話は、韓国との政治決着を目指して作られたもので事実究明は目的でなく、吉田証言を考慮しなかったことは識者らの間ではすでに知られている。談話では、官憲による組織的な強制連行を裏付ける証拠資料がなかった。にもかかわらず、談話発表時の記者会見で、当時の河野官房長官が口頭で強制連行を認めるような発言をしたことなどが問題視されている。世間の疑問に答えず元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川恵司氏の話「『吉田証言』と河野談話は別だという朝日の指摘は正しい。しかし、世間一般は、政府が河野談話を出さざるを得ない状況をつくった朝日報道に、責任の一端があると受け止めている。朝日はこうした世間の疑問には何ら答えていない」
ところで、ついこの前の「河野談話の作成過程の検証」で、河野談話は資料から分かった内容を元に書かれたことが判明したのに、なんでこの読売の記事は、「河野談話は、韓国との政治決着を目指して作られたもので事実究明は目的でなく・・・」なんて書いてるんだ?
「それまでに行った調査を踏まえた事実関係を歪めることのない範囲で、韓国政府の意向・要望について受け入れられるものは受け入れ、受け入れられないものは拒否する姿勢で」(5「河野談話をめぐるやり取り」(4)P12)と書かれているのだが、無視しないで欲しいものだ。
いくら本社にでかいデータバンクがあっても、記者が内容を理解できてないんじゃ意味がないよな。せめて、ここ1年間に起った出来事ぐらいは頭に入れてから慰安婦問題を書けよ、読売。
お前らみたいに、つまらない事で「捏造だ」どうのこうのと騒ぐ気は無いから安心しろよ。
産経は御存じ、阿比留瑠比記者である。「・・・自社が積み重ねた誤報や歪曲(わいきょく)報道を枝葉末節の問題へとすり替えたいのだと読み取れる。」などと書いているが、「産経が積み重ねた誤報や歪曲報道」をまた指摘して欲しいのだろうか?