河野談話を守る会のブログ2

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寄生虫のように金に吸い付く官僚の弊害と<アジア女性基金>

           

         群がる官僚たち

例えば、Aさんが人々から少しづつ集めたお金をどう使うか?決定する権利があったらどうするだろうか?

Aさんは、公金を横領などしない高潔な人かも知れない。

だが、たいていの人がそうではないことは歴史が証明しているだろう。

Aさんは、人々にはわかりにくい形で、自分たちの懐が潤うようなシステムを造るだろう。

日本の官僚たちが造った「天下り」システムとはまさにそういうシステムである。自分たちの懐にみんなのお金の一部を吸収していくシステムなのだ。
昔はもっと酷かった。公共事業の大金が官僚たちの天下った法人、事業体、企業に食いつぶされて行く。これが日本が借金大国になった理由の一つだろう。


2013年6月17日の<朝日記事>では、国の原発広報事業費24億8千万円分の内7割近い16億3千万円分が経済産業・文部科学両省のOBの会社の懐に入っていく様子が示されている。http://www.asahi.com/special/news/articles/OSK201306160134.html


 

国の原発広報、事故後25億円 天下り・電力系7割受注


【大谷聡】東京電力福島第一原発事故後の2年間に24億8千万円分の原発の広報事業を国が行い、その7割近い16億3千万円分を受注したのは、経済産業・文部科学両省のOBや電力会社の幹部らが役員として在籍する法人だった。朝日新聞の調べでわかった。
天下り先に二重委託
 原発広報の事業費は電気料金をもとにした税金で賄われている。福島事故前と比べると総額は半分程度になったが、事故後も国が原発関係の宣伝をし、担当省庁の官僚OBや電力会社関係者がその利益を得るという構図が続いていた。
 この事業は、経産省の「原子力広聴・広報等事業」や文科省の「原子力教育支援事業」など。
 目的は「放射線の理解促進や原子力政策の情報提供で国民の信頼回復を図る」などとされる。経産省の事業は市民や原発立地地域が対象で、原子力研究者らの講演や放射性廃棄物ワークショップなどを開催。文科省の場合は放射線測定器の貸し出しや教職員への放射線セミナーのほか、新聞・テレビ広告などを行う。
 朝日新聞は両省の発注状況の資料を入手し、受注した法人側へも取材して分析した。それによると、2011、12年度に発注した原発広報事業は、経産省が49件計14億8千万円で、文科省は18件計10億円。民間企業や財団・社団法人など計34の組織が受注した。
 受注した組織の内訳を調べたところ、(1)両省のOBが理事に就任している6法人(2)現在は官僚の天下りはいないが、電力会社の役員や元役員が理事・監事にいる4法人――の計10法人が、事業費の66%にあたる33件計16億3千万円分を受注していた。残りは広告会社などだった。
 10法人の中で、両省OBが常勤役員で在籍し、報酬を公開している日本科学技術振興財団原子力環境整備促進・資金管理センター、つくば科学万博記念財団の場合、常勤理事の報酬は年間1600万円程度という。

 


なかなかディープな話である。

こうなると俄然怪しいのが「アジア女性基金」で使われた莫大なお金である。

http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/64439511.html で書いたが、およそ54億円の事業費の内、被害者に渡されたのは約17億円にすぎず、残り37億円という巨額が人件費や交通費という名目でどこかに消えている。「アジア女性基金」の理事たちは無給だったが、職員には給料が支払われている。
職員はいったい何人いて、いくらの給料だったのか?どこで募集したのか?どんな活動をしていたのか?余ったお金はどうなった?
我々はそろそろそんな下世話な話まで検証する時代が来ているのではないだろうか?

               アジア女性基金」と外務省

アジア女性基金」が外務省と深い関係を持っていたのは事実である。
基金の先立ち、美弥審議官が渡韓して元慰安婦の前で説明していることからもそれが分かる。

挺対協の抗議文では、美弥審議官が被害者たちの前でこんなことを述べたという。
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美弥審議官が本当に「被害者たちが基金に反対でも我々は募金を推進する・・」「本物かどうか調査するだけだ」と話たのだろうか?
だが、官僚が偉そうなのは昔からだし、特に外務審議官と言えば、次官に次ぐポストである。女性とおばあさんを前に、日本でそうするように上から目線で話した可能性は十分に考えられる。
慰安婦問題は微妙な問題である。問題を理解していないような外務官僚がしゃしゃり出て「補償金を出してやる」バリに語ったとしたら、ハルモニたちが、
「アイゴ、侮辱されたみたいだよ。自分達はお金を投げてやって愉快だろうが、アイゴ、侮辱されたんだよ。」金福童ハルモニ、2006年のビデオ『消す事ができない歴史』
「日本の政府は責任をちゃんと取らないで、国民のせいにしています。国民からお金を集めて・・・おかしな話です。・・・」姜日出(カンイルチュル)ハルモニ「被害者の声にこたえ今こそ立法解決を」同時証言集会IN大阪2009
と反発するのも当然だろう。官僚主導国家の限界も見てとれる。



          日本の国家体質

アジア女性基金」が失敗したのは、そんな日本国の体質からの当然の帰結言えるであろう。呼びかけ人の一人であった鶴見俊輔『期待と回想』下巻で「この人たちは「日本政府は民間募金で済ませようとしている」といっている。私もそうした政府のやり方には反対しています。」と述べ、また「日本の内部からも「民間の募金はけしからん。国家がやったことたから、国家か補償するべきだ」と批判が起きていますね。もちろん私も国家は謝罪すべきだと思っています。しかし、ゆっくり考えてみると、日本の国内事情からいって「国家補償はやらない」ということになるのではないでしょうか。」という。
ここでいう「日本の国内事情」こそが問題とされるべきなのである。それは「できれば隠蔽し」「認めない」「謝罪しない」という姿勢なのである。
日韓協定で、「補償」という言葉を一言も使わないまま、「あれで補償は終わった」とした日本。その思想の延長上に生まれた<アジア女性基金>。その基金の背景にいた官僚と政治家たち。そうしたこの国の権力構造のあり方がこの「慰安婦問題」を迷宮入り事件へと作り上げたのである。