今週の『週刊金曜日』・・・・「産経」が質問状に頬っかむりした件
『週刊金曜日』7月4日号に掲載されている能川元一氏の「右派の「慰安婦」問題歪曲の卑劣」がなかなかの切れ味を見せている。昨日、今日探究したぐらいで理解できるような知識ではなく、長年の蓄積があってはじめて書ける文章である。彼は専門研究の題材が「南京事件」だったはずだが、さすが研究者である。みごとに的に命中している。

解説がてら、読みどころをいくつかあげておこう。(この文章は私の言葉による解説なので、それなりにアレンジされており、能川氏とは違う言葉を使っている部分もある。さらにいくらか省略しているので了承していただきたい)
① 産経新聞は、慰安婦関係の記事というと必ずと言っていいほど「吉田清治」「朝日新聞の捏造」などと書く。右派の造った物語の中では、「「慰安婦」問題とは『朝日新聞』が吉田証言などを利用して捏造したものなのだ」とされている。
しかし、これは事実とは言い難い捏造のストーリーにすぎない。
「朝日が吉田キャンペーンをした」と産経は書いているが、朝日の1985年から今日までのデータベース検索で「吉田清治、慰安婦」で検索してヒットする該当記事は10件にすぎず、しかもそれには訪韓や講演を報せるだけの記事も含まれている。この手の告知記事は、読売新聞も95年8月15日の夕刊に掲載している。
今回の政府の検証報告で、それは否定されているではないか!
(これについて『週刊金曜日』は、産経編集部に質問状を送ったが、返答は無いという)
④ さらに右派は金学順さんが、「キーセン」だった事を「朝日が報道しなかった」と非難している。しかしこれは、他の全国紙も同様であり、「産経」を含む全ての全国5紙が、91年12月6日付けの夕刊において「キーセン」としての経歴にはまったく触れていないではないか。
朝日をはじめとする新聞各紙が訴状を見れば分かったはずの「キーセン」と書かなかったのは、当然であり、日本軍慰安婦として「強制売春」させられたのが問題だからである。
もっと様々な意見、主張、情報が盛り込まれているが、この辺でいいだろう。後は自分で読んでいただきたい。
すでに述べたように『週刊金曜日』は、産経編集部に「5月21日の記事で「河野談話は吉田証言などが「下敷き」に作成されたとしているが、根拠は何か?」「河野談話は「慰安婦」の「強制連行」について言及しておらず、それがどこで吉田清治に結びつくのか?」という質問状を送ったが、返答は無いという。
産経新聞はとっとと答えなさい!
自分の歪曲・捏造報道を頬っかむりしないように。