河野談話を守る会のブログ2

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菅野完のデタラメ発言を考察する(1)



菅野完氏の日本会議の研究』には、日本会議の裏方に、谷口雅春生長の家創始者の影響を受けた人物たちが暗躍している事を世間の人に、分かり易く示した・・・という功績がありました。その点に関してはなかなかの勉強ぶりだったと思います。
しかし、神社の日本会議への関わり方などについては、調査不足であり、おそらく菅野氏自身の内面の理由により、かなりデタラメな発言をメディアやツイッター等で繰り返しています。
そこで問題点を指摘しておきましょう。




               1、 菅野完の発言内容

まずこの動画を見てみましょう。
菅野完氏が、デモクラTVに出演した際の発言です。


             (デモクラTV 6月23日)

4:50~5:50

「僕たちが宗教リテラシーが低いので、日本会議と言えばすぐに神社本庁とか言いたがるんですが、僕ね、神社本庁本丸論が大嫌いで、神社本庁てほんとう弱いんですよ、人いないんですよ。そもそも。で、お金も無いんですよ明治神宮は金はある。靖国神社は金はありますけど、明治神宮は御存じのように神社本庁とケンカしたりしますし。まず日本会議を見る時に注意しなければいけない。あるいは右派運動を見る時に注意しなければいけないのは、中央に何か宗教的な情熱を持っているおどろおどろしいおじさんたちがいて、その人達が運動を差配しているというようなイメージはまづ頭から消しさらないと何が起こっているかわからない。」

7:18~7:40

神道政治連盟て、神社本庁イコールかというとイコールではないし」
  「あ、そうなんですか?」
全然、違います。」
   「そうなの?」
「で、力があるかと言ったら、自民党の人がほぼ全員入っています。ほぼ全員入っているということはすなわち何でもないって言うことです。」


さらに、ツイッターではこんな事を述べています。

日本の有権者右傾化なんかしてない



追記)2018-6菅野ツイッターは現在凍結されているので、彼のTWIIOGから画像を掲載しておきます。
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国家神道の復活を目指す連中がいる」「神社本庁が運動の中核にいる」とする考え方は間違っている。


神社勢力が改憲運動の中心にいるとさえ思わない

追記)菅野ツイッターは現在凍結されているので、彼のTWIIOGから画像を掲載しておきます。

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山崎雅弘氏は、思い込みで取材をはじめ、現場に行かず、事実よりもストーリーを優先し、陰謀論に陥っている。

追記)菅野ツイッターは現在凍結されているので、彼のTWIIOGから画像を掲載しておきます。
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このほとんど全てが、デタラメな事実関係と理屈を述べている。
一つずつ検証します。


                2、 検 証 その1

まずは、②の
神道政治連盟て、神社本庁とイコールかというとイコールではない」

「全然、違います。」

という発言について。

神道政治連盟は、神社本庁が造った組織であり、ほとんど一体です。

菅野完氏のお友達である宗教学の塚田 穂高氏(国学院)も、その著作の脚注にこう書いています。


(赤線は当「河野談話を守る会のブログ」による)

                                                        『宗教と政治の転轍点』  p68 
                                                                                          ↓
 
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なお設立時から「私共は本庁と不離一体となり」(上杉一枝発起人代表・会長)とされ[神政連十年史編輯委員会 編一九七九一九]、その後も主張・方針・人員・施設等に一体性があることから、本書では[神社本庁神道政治連盟]と表記することをことわっておく。
(『宗教と政治の転轍点』  p68 )

と書いている。

つまり、塚田氏は「主張・方針・人員・施設等に一体性があるから神社本庁神道政治連盟」としているわけです。

神道政治連盟神社本庁評議委員会が満場一致で可決して造りました。
神道政治連盟組織準備委員会は、神社本庁事務長が委員長になり、1969年の9月には上杉一枝氏が神道政治連盟設立発起人代表になりました。上杉一枝氏は、11月8日の設立総会の時に神道政治連盟初代会長に就任し、記者会見を開いて上で塚田氏が書いているように、「私共は本庁と不離一体となり神社界が背負っているこのような問題の内、政治的なものを一つ一つ解決し・・・」と語っているのです。

2006年には、宮崎義敬神道政治連盟会長がやはり、「・・神道政治連盟神社本庁と表裏一体の関係である。」「神社本庁が表で、神道政治連盟は裏方を務める・・」と話しています。
またインタビューに答えて、その事務局が神社本庁にあるとも述べています(神社新報』2006年6月19日

地方の場合、神政連の地方支部はたいていは、その地方の神社庁に置かれています。例えば、神政連石川県本部,の住所は 「金沢市小坂町西44,」ですが、http://www.sinseiren.org/shinseirentoha/shinseirenntoha.htmそこは石川県神社庁の所在地ですhttp://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/about/index.html神社庁神社本庁の地方出先機関であり、神政連の支部神社庁よって運営されています。京都では京都神社庁のホームページのトップに神道政治連盟日本会議が飾られていますhttp://www.kyoto-jinjacho.or.jp/。ここも神社庁の住所[京都市西京区嵐山朝月町68-8]がそのまま神政連支部の住所となっていますhttp://shinseiren-kyoto.jp/%E7%A5%9E%E9%81%93%E6%94%BF%E6%B2%BB%E9%80%A3%E7%9B%9F%E3%81%A8%E3%81%AF/また神政連を説明して神政連は、神社本庁内に中央本部を置いており・・」と書いています。


つまり、神道政治連盟神社本庁が造り、本部が神社本庁内にあり、地方でも一体化しており、その会長たちが「不離一体」「表裏一体」と述べており、宗教学者も「一体である」と書いているものを菅野完氏は、「全然、違います。」と断言してしまったのです。

これは有り得ないことでしょう。
私たちは普通、自分のよく知らないことについては黙して話さないのではないでしょうか?
よく知らないことでも話したい時もありますがそういう時には「・・・ではないかと思う」などの曖昧な表現になると思います。

しかし、ここでは菅野氏はまるで自分がその方面の権威のように断定口調で、他の意見を押さえつけるように語っています。
自分がよく知らないことを断言してしまうのは、ハッタリ屋さんか、嘘つきというしかないでしょう。


               菅野完氏と塚田 穂高氏の関係

ちなみに菅野完氏は日本会議の研究』の巻末文献リストで「特記資料」(!)として、塚田 穂高氏の宗教と政治の転轍点について書いていますから、これを読んでいるはずなのです。

塚田氏も喜んで、こうツイートしています。
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菅野完さんの『日本会議の研究』。巻末文献リストで「特記資料」(!)として、拙著『宗教と政治の転轍点』と拙稿「日本会議と宗教」に言及してくださっている!!ありがとうございます。猪野・日隈・堀の大先達と並んでいるぞ!…恐縮です…。 pic.twitter.com/uPpF3WcAZL
Retweeted by 菅野



つまり、菅野完氏は塚田氏の著作を読んでいるはずなのに、なぜか
神道政治連盟て、神社本庁とイコールかというとイコールではないし」
「全然、違います。」
と述べているわけです。
まともに読んでいないということなのでしょうか?
もしくは異論があるのかも知れませんが、異論があるなら、きちんと論拠を述べなければなりません。何も根拠を示さないで断言するところに、ネトウヨとよく似た部分を見出してしまいます。

この二人は大変仲がよくて、菅野完氏はしばしば塚田 穂高氏のツイートをRT(リツイート)し、また対談もしています。
【ウンチク】

上杉一枝の息子はやはり宮司となった上杉千郷と高校教師となった上杉千年(ちとし)です。上杉千年は慰安婦問題に関係している人物です。1993年のごく初期にその著作『検証・従軍慰安婦』で吉田清治否定と慰安婦問題否定論を結びつけた人であり、その理屈は秦郁彦小林よしのりに影響を与えており、広く右派に拡散しています。

当ブログが、上杉一枝について調査したのも、上杉千年の慰安婦論の調査をキッカケとしています。南京事件否定論慰安婦否定論などの歴史修正主義に神社勢力はこれまで主体的な役割を果たして来ましたので、その流れを知る必要があったからです。



(おそらく次々回あたりで、塚田 穂高氏の著作の問題点にも、目を向けるつもりです。乞うご期待)